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魔城トーリーは、どんな兵器も効かない。
自衛隊が、既に戦闘機を繰り出して巨大な建造物である魔城に辿り着く。
魔城に対して、警戒して空中を飛び回っていた。
だが、すぐに魔城から翼の生えたレッサーデーモンが飛び出した。
茶褐色の悪魔は、戦闘機に向かって急接近してそのまま素手で殴りつけていく。
一撃の爪で、鉄の戦闘機の翼が引きちぎられて戦闘機はバランスを崩す。
そして、戦闘機はあっさりと墜落していった。
カーナビのニュース番組から見える、悪魔の強さ。
魔王軍は、圧倒的に強い。
それを見ながら、俺たちは魔城トーリーを目指していた。
だが、渋滞にハマっていてなかなか先に進まない。
「この辺りは、一車線道路が多いからな」
「街の中心にあんな大きい城が、突然道を塞いだのがいけないのよ。
誰があんなのを、おいたのよ!」
「恵太だろ」
カーナビのあちこちに、渋滞情報が出ていた。
市内の交通は大混乱、車は完全に立ち往生だ。
「あー、車が全然動かないっ!」いらついている五十土。
「神……『五十土』よ」声をかけたのは、後ろのスピカ。
「何よ?臭っ!」
「この匂いを嗅ぐのだ」
取り出したのは、茶色の匂い袋。
匂い袋を広げると、クサい匂いが狭い車内に広がった。
「な、なに、この匂い?」
「聖鳥の糞だ。これがあれば」
「ああ、知っている。混乱を直すアイテムな」
「そ、そんなの臭いから、しまいなさいよ」
五十土は、鼻を押さえて嫌がっていた。
俺も鼻がひん曲がるほどクサい匂いに、失神しそうになってしまった。
「そ、そうか。分かった」
慣れているのかスピカもエフネも、匂いを余り感じない様子。
つまらなそうな顔でスピカは、匂い袋を閉じた。
袋を閉じた瞬間、不思議と匂いがしなくなっていた。
「冷静になったか?」
「なったし、匂い袋はもうやめて!」嫌がる五十土。
「そうか、それはよかった」
悪気がない女勇者だから、困ってしまう。
その影響もあってか、徐々に車の動きが進むようになった。
「どうしても聞きたかったが、神『男駆』よ」
「どうした?」
「神『男駆』と、神『五十土』は、神……ケイと一緒なんだよね」
「俺と恵太は、一番付き合いが長い。小学校から、一緒だった。
俺と恵太は小学校からの付き合いなのは、さっき話したとおりだけど」
「あたしが出会ったのは、中学だね。
美術部に来た、男駆と恵太と。あたしは一年先輩だけどね」
「初めて美術部で描いたとき、厨二病全開の絵を描いていたよね。
男駆の自画像、今でも写真に撮ってあるわ」
ゴーグルをつけた、男駆の自画像。
それを見た瞬間、俺は顔が一気に真っ赤になった。
「おお、格好いい」スピカは感動したが、エフネは「そうか」と素っ気ない。
見られてしまった、俺の黒歴史。なんで五十土先輩が写真に残していたんだ。
「でしょ」
「先輩、残さないでください」
「でも、あの絵は捨てていないんでしょ。
あのときは、男駆が一番の絵だと思って描いた」
「あのときは、この格好が俺の中でブームだったんだ」
イラスト好きの俺は、同じく絵を描くのが得意な一個上の五十土先輩と出会う。
中学に漫画部が無かったので、美術部に入ったときに五十土先輩に知り合った。
「でも、描いた絵が漫画の絵って?」
「しょうが無いだろ、好きな絵を描きたかったんだし」
「あのときは、恵太君も来ていたよね」
「ああ、恵太も一回だけ絵を描いたんだよな。
その後は、美術部を辞めちゃったけど」
「どんな絵だったの?」
何気なく聞いたスピカの言葉に、俺は難しい顔を見せた。
俺と同時にあの絵を思い出した五十土も、険しい顔をしながらハンドルを強く握る。
「そうね。あの子の絵は、あのときから、おかしかったわ」
ため息交じりに、五十土が前を向いた。代わりに俺が、口に出した。
「崩壊した、廃墟の世界だよ」
俺の言葉に、スピカも首を横に振った。
そんな俺たちの乗っている車は、間もなくして大きな影に隠されていく。
近くのコンビニ駐車場に、車を止めていた。
「着いたわよ、魔城トーリー」
見上げるほどに、大きな魔城。
車は確実に、魔城トーリーに近づいていった。
「本当に行くの?」
「ああ、行くよ。五十土。サポートは頼めるか?」
「勿論、あたしが一番魔城トーリーの詳しいから」
「一番詳しいのは、この私だ」
ウィンクして見せた五十土に、魔王の娘が反抗してきた。
後部座席から身を乗り出して、エフネが自分を指さしていた。
「そう?だけど、魔物がいっぱいいるんでしょ」
「問題ない、僕が魔王と戦う」
スピカは、さっきのガネーシャ戦のダメージが回復していた。
エフネの護符の力で、スピカの傷が治っていた。
「ならば、私も行こう。
護符もあるし、何よりあの父には文句を言ってやらないとな」
「ああ、俺も恵太には話さないといけない事がある」
車から俺とエフネ、スピカが出ていた。
そして見上げるのは、真っ黒で三十階建ての高い城。
魔城トーリーの周りには、既に魔物が現れて人間を襲っていた。




