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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
三話:キャンプ場の巨象をつくってみた
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(DANKU’S EYES)

地方の田舎町は、突然現れた大きな黒い城の登場で混乱していた。

五十土の運転する車に、助手席に僕は乗っていた。

鹿山は自分の乗ってきた車に、一人で乗って後をつけていた。


乗りながらも、カーナビのテレビを見ていた。

テレビでは、緊急放送に切り替わっていた。


「どこからどう見ても、魔城トーリーよね」

「そうだな。五十土が。デザインしたとおりだ」

運転している長い髪の五十土と、俺は言葉をかわしていた。


「いいデザインでしょ」

「こうしてみると、魔城はかっこいいよな」

「でしょー、でも……ミスマッチよね。秋田の町並みとは」

「それがいいのよ」カーナビのテレビに、映された魔城トーリー。

それでも、褒められて照れくさそうな五十土。


「ああ、あの地震で城が復活したと言うことか?」

「そうみたいね。時間帯的にも、間違いなさそう」

「魔晶石を投入して、魔方円をいくつも無理矢理起動させて……大きなモノを転送させると思ったが……まさか」魔王の娘エフネも、驚きが隠せない。

とにかく、その城に俺たちは向かっていた。


「しかし、神『男駆』よ」

後ろ座席から、スピカが俺に声をかけてきた。

「どうした?」

「魔王を感じる」身を乗り出して、女勇者がカーナビのテレビを指さす。

「感じるって?」

俺が聞こうとした瞬間、カーナビの画面が切り替わった。

それは、一人の白い肌の男性を映し出していた。

この姿を見て、俺はあることを思いだした。


「これって、若返った魔王バロルだ」

キャラのデザインを、俺は恵太に頼まれたので覚えていた。

かつての栄華を誇った若かりし魔王バロル。

白く透き通る肌に、画面越しからも伝わる魔王独特の威圧感。


「あら、イケメンね」

「間違いない、これはバロルの若いバージョンだ」

そんなカーナビ画面から、声が聞こえた。


「聞け、愚民共よ。我が魔王軍は、これより世界を征服する。

手始めに我が精鋭達により、この近辺を支配する。

愚民共よ、わしらに降伏しひれ伏すがいい」

その後、電撃のようなモノがカメラに向かって飛び込んだ。

すぐに画面が乱れて……ザーザー画面に切り替わった。


「とうとう魔王も、出てきたか」

勇者スピカは、唇をかみしめていた。

魔王の娘エフネは、心配そうな目で父を画面越しに見ていた。


「はっきり感じる、あの魔王。

これは魔力源(ソーマ)の強さが遥かに上昇している。

この仕業は……精霊神官の『ケイ』か」

「確かに恵太が、ちらっと映っていたわね」

「ああ、ケイも手を組んでいたんだな」

「だとすれば、相当厄介だ。

グランドファンタジアの魔王と、『オベロンの鏡』を彼は持っているからな。

オベロンの鏡は芝童森も知らない、未知のアイテム。

だけど、あのアイテムは……無くなったタブレット」

「それに、精霊王オベロンの力が重なったと言うことは……」

「精霊王の力はとてつもない。全ての精神を操れる。

一番の力の脅威は、実体化だ」

「もしかして、ガネーシャの体力回復も?」

「そもそも、ガネーシャが言っていた神こそこの『恵太(ケイ)』だと考えていい。

だとすれば、この二人はかなり危険な取り合わせになるだろう」

「力を現実にする、精霊オベロンの言い伝えか」

スピカが知っていた。


グランドファンタジアの精霊王、オベロン。

それは全ての精霊を従え、使役することが出来る精霊の王。

タブレットの中には、グランドファンタジアのデータが入っていた。

武器の値段、魔力源の強さ、そして魔物の強さ。


ゲームの数値は、芝童森(バランサー)が設定していた。

だけどその数値は、恵太の持っているタブレットで変更が出来ていた。

グランドファンタジアの世界の一部をこの現代に持ってきた以上、見過ごせない能力だ。


「それより、エフネ。本当に、いいのか?俺たちと一緒にいても」

「私の父は、間違いを起こした」

エフネは、ニューススタジオに切り替わった画面を見ていた。

悲しそうな顔で、若返った父を見ていた。


「間違い?」

「時間に逆行し、若返ったこと。そして、この世界に攻めてきたことだ。

私はこの世界に、短い間だけど触れることが出来た。

だが、私たちはこの世界を支配してはいけない。力を用いてはいけない。

神『男駆』よ、父バロルは間違っていると思うだろう」

「ああ、間違っている。

俺たちの世界に、グランドファンタジアの魔王はいてはいけないんだ」


二つの世界が別々だから、いいこともあるだろう。

地球とルドファーク、二つの世界は交わることの内世界。

それでも今のように現代の世界には、魔王がいるのはおかしい。


始めは、夢のある世界だと思っていた。

非現実的で、わくわくする世界を俺は望んでいた。

だけど現実の世界に、魔王が干渉してはいけない。

魔王だけじゃない、本来ないものが存在する……それはゲームの中だけで充分だ。


「私は父を正す。父の間違いを正して、私は元の世界に帰る」

「やっぱりその決意は、固いんだな」

「うん、私は、やはりグランドファンタジアの世界の住人だからな」

最後はその一言を言われて、神として嬉しかった。

自分と、隣にいる五十土が、エフネの言葉に救われた。


「だったら急ぐわよ、このままあたし達は魔城トーリーを目指すから」

夕方の交通量の激しい道路を、五十土は運転しながら前を向いていた。



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