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(KEITA’S EYES)
――魔城トーリー最上部――
魔城は、黒く輝く。
地上三十階に相当する黒い建物の広いバルコニーで、真っ赤なフードを被った僕は見下ろす。
眼下には、現代の町並みが見渡せた。
この城をこの地に呼び出すことに、僕はとうとう成功した。
(これから始まる、僕のやりたかったことが。
魔城トーリーと、魔王軍がここに来たのだから)
僕は、今見ているこの世界が嫌いだ。
僕は、この世界に受け入れられなかった。
汚くも醜いこの現代を、僕はどうしても好きになれなかった。
だから、やるべき事は一つ。僕はそれを叶える武器も、手に入れた。
真っ赤なローブの中から出てきた、タブレット。
オベロンの精霊が取り憑くこのタブレットが、僕をこの世界に導いた。
知識と情報を知るこの世界の精霊オベロンの力で、様々な事を作用させることが出来た。
「ここにいましたか、神『ケイ』よ」
「魔王バロルか、無事に若返りも成功したか」
僕の後ろから、一人の男が姿を見せた。
銀髪で角が生えているのは、真っ白い肌の若い男。
真っ黒なシャツに黒いローブ、白い若々しい肌の男は魔王バロルの面影を僅かに残していた。
若返った魔王バロルは、筋肉質の腕が見えた。
「素晴らしい力です。魔力もみなぎっております」
「オベロンの力で、お前を若返らせたのだ。
バロルよ、お前はこの世界で最強になった。
ここでは、お前以上の強い奴はいない。勇者スピカ一行だって、お前の敵では無いだろう」
「確かに、この力なら負けはしない」
自分の右手を見て、驚いている魔王バロル。
直根の興奮が、隠しきれない様子だ。
「お前にはここで、お前の夢を果たしてもらうぞ」
「でも、本当によろしいのですか?神『ケイ』よ。
ここの世界は、神が生まれ育った世界と聞きます。
わしの目的を達成すると、この世界は滅んでしまいますぞ」
「構わぬ」俺は、タブレットをじっと見ていた。
タブレットには、様々なデータが書かれていた。
そのデータは、グランドファンタジアのゲームデータだ。
精霊オベロンの力により、そのデータは『生きる』ようになった。
魔王バロルの設定も変えることで、無敵の魔王も誕生させた。
まさに、このタブレットはチートアイテムだ。
地球に彼らが出た事で、どんな化学兵器よりも強力な武器になっていく。
「お前達には、この世界を征服して欲しい。
命令だ、魔王バロル。この世界を滅ぼせ、全ての愚かな人間を、根絶やしにしろ」
「分かりました、神『ケイ』」
僕の前に、最強の魔王バロルは跪いた。
魔王は僕を裏切らない。こんな僕に、絶対の服従を尽くす。
大事なことは、それだけでいい。
この地球に必要なモノは、もう何も無い。
「はっ、承知しました。神『ケイ』。
わしは神の命に従い、この世界を支配して見せましょう」
魔王の背後、魔王城内には多くのギラギラした光る目。
バロルの手下の悪魔達が、全て僕にひれ伏せていた。
「では、手始めにこの集落を攻めようではないか」
などと思いながら、僕の脳裏には一人の男の顔がよぎった。
(これで良かったんだ、男駆……)
それは、唯一の親友とも言える男駆の顔が浮かんできた。




