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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
三話:キャンプ場の巨象をつくってみた
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俺と直根の付き合いは、『シャイニングストーリーズ3』だった。

それから、毎日直根は、俺の家に来るようになった。

俺の家は、市街地のマンション。

大きな公園が、近くにある住宅街の中にあった六階建てのマンション。


俺は、両親と暮らしていた。

専業主婦の母と、元バスケットプレーヤーの父。

ごく普通の家庭で、少しだけ裕福な中流家庭に俺は生まれた。


一人っ子の俺は、変わった格好と名前だったけど、大事に育てられたと思う。

そんな俺は、最近直根とよく遊ぶようになった。

というより、直根がよく俺の家に来るようになった。


昔のゲームで、母親のゲーム機でゲームをやるだけの事だけど。

俺の家のリビングに、直根と一緒だ。

やっているゲームは『シャイニングストーリーズ3』。

十二月にリメイクが発売されるが、俺たちがやっているのは生まれる前に発売された旧作の方。


ゲームは、マルチプレーができるアクションRPG。

昔のゲームなので2Dのアクションだ。

世界観は、純然としたファンタジー。


俺は意外?にも、女のキャラを使っていた。小さな女の子のキャラだ。

直根のキャラは、男の戦士だ。

剣を使うパワー型で、初心者向きのオーソドックスなキャラでもあった。


「直根は、アクションゲームとか好き?昔のゲームだけど」

「ううん、苦手……だと思う」

「何それ」

などとしゃべりながら、直根とゲームをするのが日課だ。


ゲームを始めたころの直根は、すごく下手だった。

いや、ゲームそのものをやったことがなかった。


だからコントローラーの使い方を教えて、直根はゲームに慣れていった。

直根の家には、ゲーム機がない。

スマホゲームも携帯ゲームもやったことがない彼は、目を輝かせながらゲームをしていった。


(ゲーム難民……いや貧しいのかな)

子供ながらに、俺は感じていた。

だからと言って、彼を貧乏扱いするつもりはない。

そういう差別をするつもりもないし、馬鹿にしようとも思わない。


「じゃあ、次のボスを倒しに行こうか」

ゲーム画面は、ボス前の洞窟のエリアだ。

先導するのは、直根だ。


最近の彼は、いつの間にか彼は上達していた。

手際もいいし、何より覚える姿勢が素晴らしい。

彼は、すでに俺を率いてどんどんゲームの中では積極的に行動していた。


「次のボスの弱点属性は?」

「火だよ。武器のバフは、火の魔法で」

「オッケー、バックアップする」

俺は直根についていき、俺のキャラに魔法の詠唱をさせた。


「じゃあ、行こうか」直根が、先を進む。

剣士風のキャラで、前線は彼の独壇場だ。

俺のキャラが、魔法系で後衛キャラなのもあるけど。


ゲーム画面の中では、ボスに突入していた。

ボス敵は、大きな狼男。動きが速いし、攻撃パターンもわかりにくい。


俺のキャラは魔法系で、動きもよく止まっていく。

ダメージを受けやすいから、逃げ回っていた。

だけど、直根の剣士は素早く攻撃をかいくぐって攻撃を当てていく。


前にソロで十五分もかかって倒した狼男を、直根の活躍もあってあっという間に倒れていった。

「おおっ、すご!」

「うん、パターンが分かったから。

それより、シナリオをスキップしないで」

「はいはい」


俺は一度、このゲームをクリアしていた。

ストーリーの流れも大体わかるが、直根は初めてだ。


しかも、直根はこのゲームのシナリオが好きだ。

純粋にシナリオを楽しんで、テキストをちゃんと読んでいた。


「でもいいのか?来月発売のリメイクだと……声優さんのボイスがあるから」

「いいんだ、この話は面白いから」

「そっか」俺は、テレビ画面に流れるゲームのイベントを眺めていた。


このゲームのストーリーは、昔のゲームでもあるけど王道の話だ。

世界各地に暗躍する謎の人物。

それを追いかける、魔王をよみがえらせようとする計画を知る。

主人公たちは各地の英雄だったり、お姫様だったり……様々。

選ばれし八人のキャラクターは、最後に魔王を倒すという大まかな流れ。

シンプルといえばシンプルだけど、王道ならではの面白さもそこにはあった。


「ねえ、ゲームはすごいね」

直根は、ゲームのイベントを眺めながら感動していた。


「それはよかった」

「僕に、このゲームを出会わせてくれてありがとう……伊伝居君」

「ああ、苗字の方か。俺は男駆(だんく)と呼ばれることが多いから」

「そうか、ありがとう。男駆君」

直根が、とてもうれしそうに感謝してくれた。

純粋な直根を見ていて、俺は照れくさそうにしていた。

そんな直根は、俺にさらに迫ってきた。


「あのさ、僕……夢ができた」

「ん?」いきなりの直根の発言。

少し照れくさそうな直根を、俺はじっと見ていた。


「夢?」

「そう、僕……ゲームを作りたい。こんなにも楽しいゲームを作りたい。

胸が熱くなって、泣いたり笑ったりすることができるゲームが作りたい」

それは直根が、初めて語った夢だった。

小学生だけど、直根がまっすぐ夢を見ていた彼が俺は少し羨ましくも思えていた。


「ゲーム制作かぁ……」

「そのときは、男駆君も一緒に協力してくれるよね?」

「え、えと……分かったよ。やると気になったら、声をかけて」

「ありがとう、男駆君」

直根のそのときの顔が、俺は忘れられなかった。

真っ直ぐなその目で、俺にはっきり言ってきたのだから――



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