042
(DANKU’S EYES)
――10年前――
十年前の俺は、小学生だった。
どこにでもいる小学生だけど、どこかませているガキだった。
化粧もするし、香水もかけていた。
背負うランドセルも、緑色で人より違うのが自慢だ。
前髪が立っていて、切れ目の俺。赤い派手目のシャツに、緑ジーンズ。
かなり変わっている格好で、近所でもよく目立つ子供だった。
影響は、完全に周りと変わっていた親だ。
変わりものが好きな親で、目立つことが好きなのだから俺も子供の頃からよく目立っていた。
それでも、俺はこの名前が嫌いではないし……むしろ誇りに思っていた。
なにせ、俺の名前は男駆。かっこよくて、インパクトがあった。
そんな俺は、子供のころから漫画が好きだった。
漫画好きで、よく父のタブレットで漫画を読んでいた。
漫画の絵を描くのが好きで、タブレットを持ち歩く子供だ。
タブレット端末で読みながら、いつも学校に通う小学生の俺。
だから、俺はいつも通学路を一人で帰っていく。
でも、この日の帰り道は俺一人じゃなかった。
「本当にいいの?」
俺の隣には、臆病な少年がいた。
黒いランドセルに、薄水色の長そでシャツ。
元気のない小学生と、俺は歩いていた。
今歩いている場所は、商店街。
古き秋田の商店街は、シャッターも多く閉まる活気のない商店街。
人通りも少ないし、車道の車通りも少ない。
彼の名前は、直根 恵太。
俺のクラスメイトだけど、地味で暗い存在。
クラスの中で浮いている存在。というより、完全な陰キャラだ。
俺となぜ直根が一緒に帰宅をしているかというと、何気ない理由だった。
「なんとなく視界に入ったから、一緒に帰らない?」
俺が、かけた何気ない言葉だ。そこの言葉が、俺と彼の全ての始まりだった。
普段は目立つ格好の俺だけど、友達がいないわけじゃない。
秋で空気の冷たいこの日、俺は気まぐれを起こした。
偶然、一緒に帰る友達に急用が入って一緒に帰れなくなった。
そこで俺は、クラスの端っこにいる直根に声をかけた。
「何が?」
「僕は……クラスで暗いし……浮いているし」
「そうなん?」俺は落ち込んだ顔の直根に、首を傾げた。
「うん、僕は暗いし、変な傷もあるから」
「まあ、怪我をしても治せばいいんだし」
「そうかな」直根は、いつも元気があまりない。
「どうした、どうした?暗いよ」
「え、いつもこんな感じだよ」
「ねえ、好きな漫画とかある?」
「漫画……うーん読まないから」
「そう?あの大男が迫ってくる漫画とか、面白いよ」
「ふーん」俺の話に、あまり乗ってこない。
根暗の性格の直根に、俺も重い空気を感じてしまう。
俺は変わり者かもしれないが、それは見た目だけでしかない。
空気だってちゃんと読むし、ただの馬鹿でもない。
なによりこう見えて繊細で、気にしやすい男だ。
(この子、誘っちゃまずかったやつだな)
などと思っていると、偶然俺たちはおもちゃ屋のそばを通り過ぎた。
おもちゃ屋の前には、テレビ画面。
そこでは、ゲームのでも画面が映っていた。
「あっ、これ」
俺は足を止めた。
それは、昔ハマったポップな世界観のRPGゲームのオープニング画面だ。
それを、俺の後ろを歩いていた直根も眺めていた。
「何……これは?」
「昔に売られた、RPGのゲーム『シャイニングストーリーズ3』だよ。
ママがゲームのファンで、俺も昔のゲーム機でやったことがあるんだけど……
そっか、リメイクが出るんだ」
「リメイク……」
「昔のゲームが、新しくなって出るんだ。
グラフィックとか、イベントとか追加されて」
「どんな話なの?」
「うーん、かわいい女の子が出てくるかな。
小さいお姫様が、使えて……」
「そうじゃない!このゲームは、どんなシナリオなんだ?」
直根が、やたらと俺に迫ってきた。
さっきまでの根暗の直根の目が、輝いているのははっきりわかった。
「そっか……ならやってみる?
リプレイ版じゃなくて、昔のゲーム機版だけど」
「是非、お願いします!」
直根は、鼻息荒く俺の手を握ってきた。
俺は頭を掻きながら、頷いていた。




