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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
三話:キャンプ場の巨象をつくってみた
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(DANKU’S EYES)

五十土の車に、俺とスピカも乗り込んだ。

車の外の風景が、大学やシェアハウスのある郊外から山奥に進んでいく。

後部座席に乗ったスピカは、窓の外を眺めていた。


「本当に、スピカの雰囲気が変わったよね」

「そうか?」

「うん、可愛くなったって言うか、どんどん女って感じになったよね」

「素直に嬉しい」照れているスピカ。

五十土は、何度も仙志荘に訪れていた。

エフネは隠れたり逃げたりするけど、スピカはいつも丁寧に対応していた。

異世界からここに来て二週間、スピカの性格が円くなったような気がした。

料理もできるし、女子力高い女だ。勇者にしておくのは惜しいくらいだ。


「まあ、素材がいいからな。

天才イラストレーターのこの俺が、魂込めて描いたんだし」

「そうね、幼女じゃ無いところが、良かったんじゃない」

「本当は幼女勇者の方が売れると、恵太とは揉めたんだけどな」

「恵太は、王道が好きだからね。アンタと違って、幼女好きじゃないし」

「かわいいは正義だ」俺は言い放った。

たわいもない言い合いを、不思議な顔で見ているスピカ。


「あの、二人は仲がいいんですよね」

「まあね。コイツと恵太と知り合ったのは、中学からね」

「部活の先輩なんだ、五十土先輩は。

それより先輩は、来年4年生だろ。就活準備とか、どうなっているんだ?」

「実はもう就職先は、決まっているんだ」

「え、そうなの?」俺は、驚いた顔を見せた。

「就職活動なんかは、授と仲良くしておくことがコツよ。

コネさえあれば、この世界では何でも出来るから」

五十土は悪びれる様子も無く、にこやかな顔で言っていた。


「ゲーム関係か?」

「いいえ、違うわ。

写真家よ、就職のために写真のカルチャースクールにも通い始めたし」

「コンピューターグラフィックは?」

「ああ、大学卒業したらやめるつもり。

サークル活動だけ、たまに手伝いに行くけど」

「意外だな。なんで写真に?」

「資料写真を集めているうちに、あたしはハマったのよ。

今は、絵を描くのよりずっと楽しいし」

五十土も、自分の夢を考えているようだ。

スピカは俺より年下だけど、世界を救う為に戦っているし。


そんな会話をしていると俺も、そろそろ自分のこれからのことを考えないと、改めて思い知らされた。

俺のイラストだけでは、正直メシを食っていける自信が無い。

イラストは、あくまで趣味の世界になると自分の力量は分かっていた。

だとしたら他の仕事を、何か考えないといけない。


「そろそろ、本来の話をするか。五十土先輩」

「エフネの話でしょ」

「エフネの秘密。いつか話すって、言っていたよな。

俺はあのキャラだけは、デザインしていない。あのキャラはなんだ?」

「あのキャラは、バグよ」

「バグ?」俺は首を傾げた。

「そう。魔城トーリーのデザインをしてマップテスト中に、一つのバグが発生したの」

五十土は、背景やダンジョン設計に携わっていた。


「ダンジョンを完成させて、マップ内で一カ所おかしい場所があった。

それがバグ。このことを恵太に報告したけど……そのバグを彼は残すように言われたわ」

「なんでだ?バグを残すと動作不良を起こすだろ」

「分からないけど、恵太が何かのキャラクターに変換していたの。

あなたの所には、恵太から話は無かったの?」

「ああ、そんな話はない」

初耳の俺は、首を横に振った。


「やっぱり、恵太が一人であのキャラクターをつけたのね。

どこかの素材か分からないけど、バグに女の子のイラストをつけた」

「それが、エフネか」

「うん。あっ、ちなみに鹿山もこのことを知っているわ」

「マジかよ」俺は、苦笑いをしていた。


「鹿山には、音楽を頼んだし、隠しキャラだから」

「隠し要素としては、かなり入れ込んでいるな。それに……」

「それに?」

「エフネを見たときに、俺は初めて見たような気がしなかったんだよな」

「どこかの、ネット素材でしょ。

恵太がどこかフリー素材から、ツインテールの女の子のイラストをもらってきたとか」

「そうだろうか?」エフネの姿を見て、俺はそんな気がしなかった。

そんな俺と五十土の話を、スピカがただ聞いていた。

あるいは神々の戯言のように、スピカには聞こえているのかもしれない。


「それより、スピカちゃん」

「はい」

「今の話は、エフネちゃんには絶対に内緒ね」

「分かりました。でも、なぜ僕に聞かせるように話したんですか?」

「うーん、今から行く場所には魔物がいるのよ。

象国(マーモリアン)は、クリアしたのよね」

「ああ、あの国は強かった。

魔王軍に支配されていたとはいえ、あそこには強敵がいた」

「その強敵が、生き返ったとしたら?」

「倒すまでだ」スピカが、力強く言っていた。


「その言葉が、あなたから聞きたかったの。もう、着いたわ」

そして、五十土の運転していた車がキャンプ場の駐車場に辿り着いていた。


「あなたには、最悪戦ってもらうかもしれない。ガネーシャと」

五十土の言葉に、スピカは静かに頷いていた。



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