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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
三話:キャンプ場の巨象をつくってみた
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(???’S EYES)

――十五年前――

僕にとって、安らげる場所は家には無かった。

ここは三階建ての一軒家。見た目は立派な日本家屋で、大きな庭もあった。

手入れの綺麗に行き届いた大きな庭、縁側もあり、奥には畳の部屋も見えた。

いくつも部屋が見え、一番奥の部屋にあのときの僕がいた。


小学生だった僕は、畳に膝待ついていた。

茶色のパーカーは、血で汚れていた。

畳が、赤く汚れていた。僕の頬は赤く腫れていた。


「全く、気持ち悪いガキだ」

僕のそばで、仁王立ちの男がいる。僕の父だ。

水色のスーツを着ている若い男性。

金髪に髪を染めていて、背も高い。隣には女性もいた。

長い髪のカールのかかった女性、厚化粧の顔で僕を見下す。

二人から感じられるのは、恐怖の感情しかない。


「どうしてお前は、こうなんだ?」

「言いつけを破って、学校に行っただろ!」

「学校に行くのは……」

「行くなと言っただろう!お前が行くと、問題が起こるんだ!面倒なんだよ!」

スーツを着た若い父は、怖い顔でボクを睨んでいた。

隣の化粧女は、父にひっついて僕を侮蔑の目で見下す。

そんな会話、怒り交じりの声が怖かった。


「アンタなんか、消えればいいのに」

「まあ、殺すといろいろ問題だからな。

バレないように、コイツを飼い慣らすだけだ」

「アンタが、いっぱい子供なんか作るから」

「男は、いつだって現役なんだよ」

「その割には、アイツは大人しくて助かるわね」

「俺に似てか?」

「ええ、あなたの外面にそっくりよ」

馬鹿にするような、下品な笑いを見せる女。

畳の部屋の奥には、小さな人影が見えた。


それは、小さな女の子だ。

短いツインテールの女の子は、怯えているようにも見えた。

大人二人に囲まれて、萎縮しているようにも見えた。


「お前もしつけがいるようだな。俺に逆らったら、どうなるのか。

体で分からせないと……分からねぇよな」

僕の短い髪を、乱暴につかんだ。そのまま高圧的な目で、僕を睨む。


「そうだー、やっちゃえー」

化粧女の、軽いノリの声。

背の高いスーツ男は、僕を叩きつけた。


「二度と、学校なんかに行くなよ。

お前が行くだけで、この家の恥さらしになるんだ。いいな?」

「……」

「返事は?」男は僕に足を振り上げて、そのまま振り下ろした。

僕の小さな腹を踏みつけて、男は猪狩の顔を見せていた。


苦しい、痛い、辛い。

父であるこの男は、なんでこんなことをするのだろう。

なんで、こんなにも僕を殴ったりするのだろう。


畏怖と、悲しさ、痛みが小さな僕に襲う。

嫌だ、嫌だ、嫌だ。こんな生活は嫌だ。

父に殴られて、父に蹴られて、父に罵られて……嫌だ。


そんなどん底な俺の状況で、次の瞬間目を疑う光景が起った。

僕を踏みつけた足……父の足が赤い血で濡れた。

襖に隠れてみていた女の子が、いきなり包丁で父の足を刺してきた。


それは、俺の血ではない。父の血だ。

水色のズボンが、赤く濡れていた。

「あら、何をしているの?」

「お前……なんのつもりだ?」

「お兄さんをいじめないで!」

それは初めて聞いた、女の子の魂の叫び声。

いままでずっといじめられてきた僕を見かねて、叫んだ声だ。

だが、それは覆すほど大人達の優勢は変わらない。


慧風(えふ)、お前は何をした?」

父である男は、小さな女の子慧風を睨んでいた。

その目は、怒りで血走っていた。


「これ以上やめて!パパは、そんな人じゃない。この人がいけないの?

パパは、この人と一緒になったから」

「俺が誰とつきあおうが、勝手だろ!」

叫んだ父は、女の子を蹴り飛ばした。

右足に刺さった血で濡れた包丁を抜き、怒り狂った目で父は包丁を持ったまま怯える娘に近づく。

女の子は、怖がった顔で後ろに下がった。


「悪い子は、しつけが必要だな」

そういいながら、激高した父は包丁を投げつけた。

投げつけられた包丁は、女の子の後ろにある畳に突き刺さった。


この瞬間、僕の地獄はここで終わり……これから慧風の地獄が始まった。

そして慧風は……半年後に自ら命を絶った――



現代……十五年後。

僕の姿は、現代にない。

赤いフードを被った僕は、白昼夢を見ていたのだろうか。

ここは、魔城トーリーの二十三階。儀式室と言われる場所だ。


周りには、いくつもの棚が置かれていた。

儀式室と言うこともあり、魔術に関する品物がいくつも置かれていた。

足元には、光を失っている魔方円が見えていた。


(相変わらず、胸糞悪い夢だ)

フードの上から、手を当てて首を横に振った。


「なにかありましたかな?」

僕の後ろ、闇の広がる場所から声が聞こえる。野太い声だ。


「いや、なんでもない。今より数分間だけ、ここを通す。

お前には、外界にある魔方円を目指せ。仕事はきっちりこなせよ」

「魔王様の命ならば、蘇ったこの命……必ずお役に立てましょう」

「ではゆくぞ」

僕はそういいながら、懐からタブレットを取り出した。

指で操作すると、目の前の魔方円が赤黒く光り出していた。



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