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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
三話:キャンプ場の巨象をつくってみた
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目を覚ました鹿山は、赤いパーカーを着ていた。

見慣れないズボンは、茶色のズボン。

俺の知らないメーカー、というより無地だ。


見た目の衣装もさることながら、一番気になったのは長くなった髪だ。

魔方円に吸い込まれて一週間後、再会したら髪が長くなっていたし、髭も生えていた。


「どうした、その髪は?まるで、無人島にでも行ったかのようだぞ」

「さあ、わからない」

頭を掻きながら鹿山は、真顔で俺に言い放った。


その後、俺はいくつかの質問を鹿山にしていた。

何かを思い出そうとしても、分からない。記憶が抜け落ちたかのようだ。

誤魔化そうとか、嘘をつこうとか、そういう雰囲気もない。

博物館の裏の時みたいに、逃げようとする様子もない。

だけど、困惑した顔の鹿山にスピカが口を開く。


「もしかして僕たちの、世界に行ったのではないか?」

「そ、そうなのか?」

「グランドファンタジアの世界……ルドファーク」

「ううっ、それは」

それでも、鹿山は明らかに苦しんでいるのが見えた。

そのまましゃがみ込んで、汗が噴き出してきていた。


「大丈夫?」

「平気、頭がちょっと痛いけど」心配する五十土を。制した鹿山。

「記憶障害の、一種かもしれない。

やはり鹿山は、異世界に行った可能性は高いと言うことね」

「問題は、そこで何をしてきたかということだ」

二週間前に魔方円は、鹿山を招いて引き込んだ。

博物館の倉庫にも魔方円はあったし、運河の下にもあったし、なによりこの仙志荘のリビングにもあった。


「もしかして恵太も、異世界に行ったんじゃない?異世界で何かに巻き込まれたとか」

五十土が、何気ない事を俺に言ってきた。

確かに鹿山の姿が、大きく変わっていた。

しかもその間の記憶が、一切残っていない。


「恵太って、なんだ?」スピカが、聞いてきた。

「ああ、俺や五十土の知り合い。

グランドファンタジアを作った『道標(インディケーター)』の一人だ」

「恵太、ケイタ……僕の仲間にそっくりだ」

「スピカの仲間?」

「ああ、僕の仲間に『ケイ』という男がいる。

彼は精霊神官で、精霊の力を使うことが出来る」

「それって、精霊王オベロンの力も使役出来るのか?」

「無論だ。彼はしかも『オベロンの鏡』を持っている」

「『オベロンの鏡』?」

スピカの言葉に、聞き覚えのない新しい単語が出てきた。


グランドファンタジアのある程度の事は、俺も知っていた。

だけど、そんなアイテムの名前を俺は聞いたことがない。

一緒にゲームを作った五十土も、首を横に振った。


(知らないアイテム……か。隠しアイテムだろうか?これは芝童森に、確認しよう)

俺は再び、LONEで芝童森にメッセージを送った。

さっきのメッセージも、まだ彼には届いていない。

既読マークは、ついていなかった。


(メシの時間だろうか。返信には、少し時間がかかっているようだ)

などと思いながらも、俺は考えていた。


スピカの仲間で言っていた『ケイ』は、俺も描いていた。

だから俺は自分のタブレットで、グラフィックを出していた。

精霊神官『ケイ』、確かに俺はこのキャラクターを描いていた。


だけどキャラクターの立ち絵に、鏡らしきモノは持たせていない。

唯一持っているのは、一本の細いレイピアだ。

精霊神官のメイン武器は杖……よりも魔法の発動も兼ねたレイピアを使う。


「何かが、良くないことが起こっているな。

鹿山が移動し、異世界が存在し……鹿山とパイアが何かをしていた。スピカはどう思う?」

「やはり、魔王が悪いと思う」スピカは直感で言い放った。

「魔王を悪と決めつけるの早いけど、絡んでいる可能性は否定できないな」

パソコン画面には、鹿山が魔王軍のモンスターとして出てきていた。

鹿山もその姿を見て、自分のことながら驚いていた。


「ねえ、それで……一つ情報があるんだけど」五十土が声をかけた。

五十土は、すぐにスマホを取り出した。


スマホ画面で、見せてきたのは地図。

これは秋田市街地から、少し離れた山奥の地図だ。


「これは?」

「この辺りにも、キャラが出てきたってネットに上がっていたの」

「ここって、山奥のキャンプ場のあたりだな」

なぜか俺は、この場所を知っていた。


「ここって俺が、中学の時に林間学校で行ったキャンプ場だ」

「知っている場所なのね」

「ああ、何せ俺は恵太と一緒に行ったからな」

「そう、不思議よね」

「ああ、全くだ」俺と五十土は、同じ中学高校だ。

一年先輩の五十土先輩だけど、林間学校の場所は俺と同じだ。

しかし、鹿山は首を傾げて俺と五十土の顔を交互に見ていた。


「何が、あったんだ?」

「たいしたことは無いけど、懐かしいなって。

でも、その場所に出てきたのは?やっぱり魔物か?それとも鹿山みたいなのか?」

「俺みたいなのって……」

「後で説明する」鹿山が聞いてくるけど、俺は適当に流して五十土に話していた。


「魔物よ、男駆が描いた事あるでしょ」

写真を見て、俺は確信した。

そんな写真を見ていると、スマホの時間を見て五十土はスマホを閉まった。


「まあ、今日のところはあたし、帰るから。写真も後で送るね。

それに、あたしはこれからバイトだし」

「そうだな、俺も休みたい。

ペストラの事もよく調べたいし、芝童森のメッセージも調べたい」

こうして、五十土は玄関の方に歩いて行った。俺も玄関に、五十土を見送りに出ていた。


鹿山は、スピカと一緒に残されて困惑の顔を見ていた。

「俺には、何が起こったんだ?」

スピカに、質問をして困らせていた。



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