029
大学所有の博物館の倉庫を出た俺は、芝童森と合流。
その後、俺たちはエフネと合流していた。
博物館の周りには、住宅街も見えた。
巨人騒動もあったけど、ペストラが消えて……騒ぎが収まっていた。
今いる場所は、そんな住宅街の近くの森の中。
人気のないところで、眠っていた鹿山を俺は運んでいた。
博物館の倉庫には、例の魔方円があった。
魔方円には、エフネ達が出てきた黒い柱が出てきた。
だけどその柱は天井に延びて、やがて消えた。
それと、魔方円の中で拾った小さな石。
(なんだろう、この石は?)
小さな石は、こぶし大の小さな石。
だけどよく見ると、何か小さな文字のようなモノが掘られていた。
伸びた柱は数秒後、背景に溶け込むように透明になって消えていった。
その中から、誰かが出てくることはなかった。
ただ、俺は草むらに寝かせた鹿山を芝童森と一緒にここに運んでいた。
誰もいない、森の中の茂み。
「鹿山、しっかりしろ!」
目をつぶる鹿山に、芝童森が心配そうな顔で声をかけた。
日に焼けた男は、金髪に染めた髪がかなり長い。
髪はかなり伸びていたけど、俺はコイツが鹿山だとすぐに分かった。
耳のギターピックのピアスに、鋭い目。
爽やかな顔で、毎日シェアハウスで顔を合わせた鹿山だ。
「男駆……こいつは鹿山か?」
白と赤の子供服を着ていた幼い子供のエフネが、俺の後ろから顔を覗かせた。
小さな石を、エフネに渡す。
「そうだ、髪は長くなっているが」
「彼が、これを投げたのか?」
「ああ、そうだ。エフネ、この文字を読めるか?
「うむ、読めるぞ。魔力を込めた悪魔魔法の文字だ。これは『魔晶石』だな。
魔晶石は、魔力源を石に込めたエネルギーの塊。
小さなこれ一個で、私の魔力源と互角の魔力源がある」
エフネが、文字の書かれた小さな石を俺に投げ返した。
「エフネの魔法源は……700だっけ?」
芝童森の持っているステータス計測器で、エフネは700だった。
これはゲーム内で表示されるパラメーターであり、ステータス。
700というのは、当然高いレベル。
何せ俺も芝童森も、魔力源は1しかない。
「その魔晶石を、なんで鹿山は魔方円に入れたんだ?」
「魔力源の出力と、動力源の魔晶石。つまり魔方円を、強引に作用させた」
「作用って、どんな効果だ?」
「転移魔方円だから、何かを転移させたのだろう。
さっき博物館の倉庫内で、魔方円も見てきたけど……文字は消えていたから分からない。
消耗品の魔方円でどうやら、間違いはなさそうだな」
「消耗品の魔方円なのか」
「おそらく、彼はこの魔方円を設置したのだろう。
文字も、彼が描いた可能性があるのだ。
まあ魔力効果が切れた魔方円は、私の父やパイアならば……あるいは分かるかもしれぬが」
「流石、エフネ様です」
そこには、黒髪の少女が眠そうな顔……全裸で拍手していた。
エフネが一緒に連れてきた、黒いロングヘアーの少女。
眠そうな目で、エフネに拍手をしていた。
「ペストラ、その格好はいいな。
大きくなることがあるから、服が着られないんだよな」
「服なんか無くても、平気だよ」穏やかに言うペストラ。
「女巨人族は、衣服を普段から着ない。
だけどそれは、この世界ではマズイのだろう?」
エフネが、もっともらしいことを言っていた。
巨人は、姿を大きくしたり小さくしたり変化できた。
俺はペストラのキャラデザインをしていた。
大型巨人と、普通の人間バージョンの二つの絵を描いていたのでよく覚えていた。
魔力源が消耗し、体が小さくなったペストラは、小学生ぐらいの女の子に見えてしまう。
これも、間違いなく俺の趣味だ。
「えー、いいでしょ。エフネ様も一緒だし」
エフネにもたれかかってきた、裸の女巨人……もとい裸の少女ペストラ。
ペストラに抱きつかれて、エフネは困惑の顔を見せていた。
「あたたかーい、エフネ様」
「こら、やめろ!ううっ……」
普段は冷静な幼女、エフネが俺に助けの眼差しを向けていた。
そんな俺はスマホを片手に、LONEである場所にメッセージを送っていた。
「おい、男駆……」
「とりあえず、ここに一旦帰ろう。
眠っている鹿山に、裸の女の子ペストラ。
いくら森の中とは言え、見つかれば犯罪モノだ」
裸の幼女ペストラを見ながら、俺はスマホでアイツに声をかけた。
俺の知り合いである、唯一車を持ったあの女に。




