020
俺の質問に、芝童森の顔が曇っていた。
タブレット端末が、最近無くなったことが分かった。
そのタブレット端末は『グランドファンタジア・闇の大地』のほとんどのデータが入っていた。
タブレット端末の持ち主は、恵太だ。
恵太がいなくなり、最初の一週間は確かにあった。
俺も見ているし、鹿山も見ていた。
場所はリビングにあって、みんなが見られる場所に合った。
だけど、ある日から急に見えなくなった。
家を探しても、鹿山に聞いても、五十土に聞いても出てこない。
「そういえば、見当たらないよな。ずっと、探しているんだっけ?」
「ああ、無いんだ。
いつから無いのか分からないが……エフネやスピカがこの世界に来る前から、無くなっていた」
芝童森の顔が、曇っていた。
「LONEで、話したけど消えている」
「さあな。だが俺は、家に帰っていないし。
普段、家にいる男駆なら分かるんじゃないか?」
「俺も分からないし、探してみたけど……なかったし」
「そういえば、恵太の部屋には入ったのか?」
「うん、大分前に俺が鍵を開けたし」
「合鍵、持っているんだな。恵太の」苦笑いをする芝童森。
「一応、大家に連絡入れたし。まあ、今はおそらく警察が持っているけど」
「そうか、恵太が持っていたよな。もしかして、アイツが戻ってきたか?」
「来たなら、LONEしているだろ」
「そうか、そうだよな」落胆の顔を見せる芝童森。
「芝童森、お前もたまには戻ってこいよ。仙志荘は、今では女ばかりだ」
「ハーレムでいいじゃないか、男駆」
「違う……かな。そもそも、あそこは男子寮だろ。大家にバレたら大変だろ」
「ああ、そうだっけ?」芝童森が、しらばっくれた。
「まあ、それより……エフネ、エフネか」
「エフネは、魔王の娘だからな」
「マジで?」俺の言葉に芝童森は、首を捻っていた。
かわいらしい女の子のエフネは、胸を堂々と張っていた。
エフネの顔を見て、芝童森はある事を考えていた。
「本当に、あの魔王の娘なのか?」
「ああ、魔法も使える」
「『悪魔魔法』だっけ?」
「よく分かるな」
「魔王は、悪魔魔法を使いこなす。
魔王の手下、悪魔や魔族も使いこなす能力。
プレイヤーが使うことの出来ない、敵専用のスキル。
自分は何でも知っている、どんな能力があり……どんな威力かも」
「さすがは、数字の神」などと持ち上げる俺。
そんな中、俺のスマホに電話がかかってきた。
「あっ、五十土からだ」
俺はそのまま、テレビ電話にして電話に出た。
相手の五十土もまた、テレビ電話だ。
背景に運河が見えていた五十土が、私服で手を振っていた。
そして、五十土の隣には短い髪の女……ブラウスを着ていたスピカも照れくさそうな顔でこちらを見ていた。




