019
芝童森は、サークル道標のメンバーの一人。
そして、このサークルの中で一番重要な役目を担っていた。
彼の仕事はプランナー、様々な仕事に携わっていた。恵太とも仲がいい。
何より仙志荘のメンバーでもあるが、ほとんど家に帰らないけど。
「相変わらず家には、帰らないのか?」
出会ったら最初に聞くのが、恒例になっていた。
「大学の授業が、忙しすぎる。マジブラックだ」
芝童森が、いつも通りに不満を口にした。
芝童森は、単位を取るのが、かなり高難度だ。
日本の大学にしては珍しく、入学よりも卒業が厳しい学部になっていた。
「それは大変だな」
「まあ俺が、この学部を選んだわけだけど。その子がエフネか?
グランドファンタジアのキャラクターの」
「ああ」実際の所、エフネを俺はデザインしていない。
「エフネ……なるほど。早速だけど……」
いきなり、そういいながらスマホのカメラを向けてきた芝童森。
そのまま、エフネの全体像を写真に撮っていた。
その後、スマホ画面を確認する芝童森。
エフネは、驚いた顔を見せて俺は険しい顔を見せた。
「芝童森、何をした?」
流石に、失礼な行動に俺は眉をひそめた。
それでも、芝童森はスマホ画面をじっと見ていた。
スマホを見ながら、唸っていた様子だ。
「何を見ている?」
「能力があるのか、確認したんだ。そしたら……」
「そしたら……」
「本当に出たぞ」スマホを、俺に見せてきた芝童森。
出てきたのは、エフネのパラメーターだ。
「なになに、レベル126、HP771、魔力源700、攻撃力32……」
「凄いな、本当にゲームから出てきたんだ」
「おいおい、ちょっと待て!この数字って?」
「数字じゃない。これが、彼女のステータスだ。
写真を撮った人物の能力が、数字になって現れる」
「本当かよ?」
俺が半信半疑で眉をひそめると、芝童森が俺の写真を撮った。
「ほら、お前のステータスも出たぞ。男駆」
「俺のレベルは1、HP5?メッチャ低い」
「神『男駆』は、体力が無いのだな」エフネにまで、突っ込まれた。
「そうだよ、俺は体力が無い。
インドア派だし、漫画とかアニメとかゲームとか好きな普通の大学生だ」
ステータス結果に不満がある俺は、ふて腐れた顔をしていた。
エフネが慰めつつも、芝童森は悪戯っぽく笑った。
「まあ、俺もレベル1だし、HPは6だから」
「それと、五十土にここで朝会ったぞ。
一限目だけの授業だった五十土と一緒にいた女、アイツはこれか?」
見せてきたのは、スピカだ。
今日のスピカは、五十土と一緒に行動していた。
「レベルは56、HP509、魔力源23、これだけでいいのか?」
「そうだな、やはり情報は合っている」俺は、首を縦に振っていた。
「何があっているんだ?」
不思議そうな顔で、俺に聞いてくるエフネ。
「スピカは、俺がプレーしていたグランドファンタジアのゲームキャラだということだ。
ほら、昨日のゲームでやっただろう。
ステータスは、ゲーム遵守の能力だ。
そのアプリの整合性は、確かに取れた。
相変わらず、趣味の悪いモノを作るな。芝童森」
「まあ、数字を扱う仕事だしな」
「数字?」首を傾げるエフネ。
「そう、芝童森はゲームプランナー。
グランドファンタジアの全ての数字を、ほぼ決めた人物なんだ」
俺は、芝童森のことをエフネに紹介していた。
「そうか、芝童森も正真正銘神なのだな」
「多分、一番神に近い……神だ」
「おう、俺は数字の神とでも呼んでもらおうか。
古来、数字と神は密接な関係にある。
数学者が神を、証明しようとした過去があるぐらいだからな」
芝童森が、相変わらず得意げに話していた。
そんな俺が、芝童森の作ったアプリをじっと見ていた。そして、ある事を思い出していた。
「芝童森に、そういえば聞きたかったことがあるんだ」
「なんだ?」
「あの、タブレットを知らないか?
グランドファンタジアの全データが入った、タブレット端末を」
俺の質問に、芝童森は難しい顔を見せた。




