017
(DANKU’S EYES)
仙志荘の俺の部屋、エフネとスピカを招いていた。
元々、この部屋で二人は寝ているわけで今……家主は俺しかいない。
俺の部屋には、パソコンがあって……グランドファンタジアがついていた。
パソコンデスクには、スピカが座っていた。
スピカに抱きかかえられて、エフネも一緒にパソコンを見ていた。
二人の手にはコントローラーが握られていた。
「現在……リードしているのはエフネ」
画面では、レースが行なわれていた。
草原を走る、ほのぼのとしたレース。
二画面に別れたレース画面を、二人も見ていた。
走っているのは、うさ耳をした女の子。
『ラビッタース』という、兎を擬人化した種族だ。
二足歩行で、人間のような肌をしていた。
うさ耳が長いけど、足がかなり速い種族。
これは『グランドファンタジア・闇の大陸』のミニゲームの一つだ。
「早い!エフネ」
追いかけるのは、黄色のエプロンを着ているラビッタース。
かわいらしい少女のラビッタースは、うさ耳を風になびかせて、走っていた。
「無論だ。ゲームであっても、勇者には負けぬ」
エフネの使っているラビッタースは、黒いビスチェのラビッタース。
見た目は少し大人っぽい、クールビューティなラビッタースだ。
「ならば、こちらはブーストマジックを」
「させぬ!」
スピカがスキルを発動させようとするが、エフネのスキルが上書きさせた。
黄色エプロンのラビッタースは、スキルを発動できなかった。
光を纏うスキルは、一瞬にして消されたのだ。
「そのスキル、ズルいぞ」
「魔法の使い方は私の方が、ずっと上だ。
一から魔法の勉強を、し直したらどうだ?勇者よ」
エフネに言われて、反論できないスピカ。
そのまま、エフネの黒いラビッタースが勝利を収めた。
「勝ちだな」
「むむっ」スピカは不満そうに、結果を見つめた。
エフネは俺の方を見上げながら、モニター前にいる俺のそばに近づいた。
「勝ったぞ!」
「おめでとう、スキルの使い方も見事だ。レースの運び方もいいし」
「まあな。ゲームというのは、なかなか面白いな。
しかも、父が出ていたゲームをやるとはな。ラスボスだけど」
「悔しいですよ。これ、僕が主人公なんですよね?」
スピカが、悔しがっていた。
「ああ、そうだ。前にも説明したと思うけど」
ラビッタースレースは、グランドファンタジアのミニゲームだ。
唯一のミニゲームで、シナリオにも組み込まれたゲーム。
シナリオでは、主催する王様が、勝ったら姫をやるという話だ。
その後、姫は仲間キャラではないけどデボネラを仲間にするイベントでもあった。
無論、俺はラビッタースのキャラデザも担当していた。
幼女が一番強いのは、あたりまえだけどな。
「それより、なぜ私とスピカを戦わせた?」
「ああ、それなんだが……実はそろそろ動こうと思ってな」
それは、二つの写真だ。
その写真には、グランドファンタジアのキャラクターが写っている写真。
一つは市内にある大学の夕暮れ。
紫の建物と、大きな人間。
もう一つは市内の運河の歩道。川沿いの歩道を疾走する猪。
五十土にもらった写真を、エフネに見せていた。
「明日、この二つの場所に行く。
片っぽは俺と、もう片っぽは五十土と一緒に行き、調査をする」
「神『男駆』と一緒がいい」即答のエフネ。
五十土の妖艶さが、エフネはなぜか苦手のようだ。
なぜか、エフネは顔が引きつっているようにも見えた。
「僕も行きたい、神『男駆』と」
なぜか照れていたスピカだけど、エフネが冷めた目を見せていた。
「ゲームに負けたお前に、負けた権利はない」
エフネは速攻否定して、スピカはがっくりと肩を落とした。
そんな二人のやりとりを見ながら、俺はため息をついていた。
(もう少し、仲良くしてほしいんだけどな)と思いながら。




