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『グランドファンタジア・闇の大地』をつくってみた  作者: 葉月 優奈
二話:大学の巨人をつくってみた
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016

――魔城トーリー・王の間――

(BARORU’S EYES)

わしの目の前では、次々と驚きの光景が広がった。

真っ黒の大理石の石、外も暗い闇の大地。

魔城トーリーは、高層の城。最上階で、王の間に確かに勇者達が攻めてきた。


この城の最上階で、世界の命運を賭けた戦いが行なわれていた。

だがその結末は、わしの予想を大きく裏切ってきた。


王座で見ているわしは、余り驚くことはない。

だが、今回の出来事は驚きでしか無かった。

数百年と長い間生き続けたわしにとって、これは驚きでしか無かった。


(勇者一行は、バラバラ……)

わしの前に、数分前勇者スピカ一行がやってきた。

魔城トーリーに攻め込んだことも、わしは知っていた。

知っていたからこそ、わしは行動に移した。


正直な話、最後は勇者に負ける。それは世界の摂理だ。

わしが神により作られた存在であり、本来は倒されて終わるべきものだ。

だからこそ、最後に……大事な娘を転移させた。


当然敵として勇者スピカと仲間三人が、わしの目の前に現れた。

だけど、今大理石で倒れているのは戦士の男デボネラ。

赤い金属鎧を全身に纏う中年の男。持っている武器は鉄球だ。

もう一人、緑色のローブと緑色の帽子を被った中年の女。

『新緑の魔女』アルクは辛そうな顔で、立っているのがやっとだ。

この二人は、勇者スピカ一行の二人の仲間だ。


しかし、勇者スピカはいない。

いきなり転移魔方円が発動し……スピカは消えた。

それを消したのは、一人の神官だった。


「君らには、感謝している。特に勇者スピカ。

彼女がいないと、このフォートマス大陸に来ることが出来なかったのだから」

「スピカをどこにやった、裏切り者!」

叫ぶのは、中年戦士デボネラ。

叫んだ大男は、鉄球を神官に投げつけた。

投げつけたが、神官の周りに突然発生した強い風が、鉄球を押し返す。


「お前……そんな魔法まで使えたのか?」

「僕を舐めてもらっては、困る。

僕は、君らよりもずっと高い次元にいるのだから。

さながら、僕はこの世界の神と言ったところだろうか」

「そんな奴が、いるわけないでしょ!」

フラフラのアルクは、神官風の青年に向けて炎を放つ。

強い炎が、風で吸い上げて炎の嵐となっていた。

風の中の温度が、一気に上昇して蒸してしまうつもりだ。


だけど、一瞬にして炎の嵐は消え去った。

着ている緑色の神官服の埃をはたいて、余裕の顔を見せた。

まるで、何事も無かったかのように。涼しい顔の神官は、歩くを見ていた。


「あんた、何を?精霊の力でも?」

「言っておくが、この僕には絶対に勝てないよ。

僕の魔力源は、君よりもずっと高い。

『新緑の魔女』アルクよ、君なんかよりも遥かに……ね」

「馬鹿なこと言わないでよ!あんたに、あたしの30年の魔法の力を……」

「普通の人間じゃ、理解できないと思う。だって僕は神だから」

青年の男は、不敵に笑っていた。

魔女アルクは、強気に魔法の詠唱を始めた。

だけど、青年の男は突然1枚の鏡を取り出した。


それを指で操作すると、精霊の幻影が鏡の上から出てきた。

いや、それは鏡ではない。黒い板状の何か。

数百年生きているわしだけど、それが何か分からなかった。

だけど何かを操作していると、魔女アルクの顔色がみるみる変わった。


「馬鹿な、魔法が……使えない」

顔色が一気に、青ざめた様子に変わるアルク。


「君の魔法は、僕の力で封じた」

「どうして、それを使ったのか?本気で、あなた……」

「僕は、初めから本気だよ。

勇者スピカ一行には、邪魔だからここで消えてもらう。

忙しい僕は、そこにいる魔王と話があるんだ」

「くっ!この手は、使いたくなかったけど」

そばにいるデボネラにアイコンタクトをしたアルクは、唇をかみしめながら懐に手を伸ばした。

右手を出した瞬間、そこには1枚の護符が出てきた。


出てきた護符が光り輝くと、そのままデボネラがアルクの手を掴む。


掴んだ瞬間、二人の体が光で輝きだした。

まばゆい光を放った後に、二人は消えていった。


「覚えてなさいよ!」

アルクが恨み節に、叫びながら消えていった。

わしは席に座りながら、人間の僧侶の裏切りを眺めていただけだ。


「使った魔法は、『テレポーテーション』か?」

「そうだな、魔王」唯一残ったのは、青年風の男。

裏切った勇者一行の仲間、わしは王座に座ったまま青年を見下ろしていた。


「ケイだったかな?」

「ええ」神官の格好をした男『ケイ』は、にやりと笑っていた。


「さて、初めまして。魔王バロルよ。

たった今より、あなたにはこの椅子からどいてもらいます。

あなたに変わってこの僕が、魔城トーリーの主になりますから」

「ふむ。わしに、一人で戦うのか?」

「戦わなくても従わせるさ。

僕には、あなたは絶対に勝てない。やってみるかい?」

余裕たっぷりの僧侶は、不敵な笑みを浮かべていた。


そして、わしは数秒後に感じていた。

この男の言葉に、嘘偽りが無かったことを。



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