110 対戦ゲーム
自己紹介動画の評判も上々。
次はなにをやろうかと思ったところ、以前購入した『恋の配達人』というカードゲームのオンライン版があると聞いた。
オンライン版は4人の対戦となり、相手を脱落させるところは同じ。
ただしゲームの進め方が少し違う。
それぞれが場に一枚カードを出して、同時に効果が発揮されるのだ。
これによって順番の有利不利がなくなり、カードが配られた直後に脱落、自分は何一つできなかったということもなくなるらしい。
「それじゃ、やってみようか」
ゲームに登録してランダム対戦を選ぶ。
4人は赤、黒、白、青の4色に対応していて、俺は白。
最初に全員、カードが2枚ずつ配られて、そのうちの1枚を場に出す。
「強さ2の情報屋を赤に使おう」
カードを選ぶ時間は10秒とシビア。
全員の出したカードが表に返される。
赤→青 強さ3の散歩する人(自分と相手の手札を比べて、弱い方が脱落する)
黒→青 強さ1の配達人(相手手札を当てたら、脱落させられる)
白→赤 強さ2の情報屋(相手の手札を見ることができる)
青→白 強さ4の警官(相手が使ったカード効果を消す)
同時処理だが、その中でも効果を発揮する順番が存在する。
青が白(つまり俺)のカード効果を消したため、俺は赤のカードを見ることができなくなった。
黒が青のカードを当てられなかったので、青はそのまま。
赤と青の手札を比べて、青が脱落。
結果、赤、黒、白で2回戦が始まった。
「カード効果が消されたか。まあ、それでも青が脱落したから、あとは赤と黒なんだけど……さてどうしようか」
俺の手札は、強さ1の配達人と、強さ6の紳士だ。
配達人は相手の手札を当てるカードだが、当たらなければ意味はないし、同じ配達人だけは、指定できない。
だが、このカードゲームの中には、配達人が一番多く入っている。
「紳士は自分と相手の手札を交換するんだよな。これは使いたくないな」
配達人を赤に使って、相手を強さ8の最強カード、『恋人』と予想した。
10秒経って、3人のカードがひっくり返される
赤→黒 強さ8の恋人
黒→赤 強さ1の配達人(予想カードは『郵便局長』)
白→赤 強さ1の配達人(予想カードは『恋人』)
赤と黒のカードが比較され、黒が脱落。
赤のカードは、恋人だったため、赤が脱落。
結果、白だけが勝ち残った。つまり、俺の勝ちである。
「やった! 赤は序盤から『散歩する人』を使ったから、よほどカードに自信があると思ったけど、やはり最強カードだったか」
これでハートを1個獲得できた。
この部屋はハートを3個手に入れたら勝利となる。
「さあ、次も勝つぞ!」
短時間で勝負がつくため、気がついたら1時間も熱中してしまった。
タブレットで遊んでいたが、それをパソコンに繋げて録画してあり、俺は、三脚付きのビデオカメラで撮影されている。
「これはあとで2画面を合成してアップロードしますわ」
これは貴重な映像が撮れましたと、橋上さんがにやけていた。
最初のビギナーズラックを終えたあとは、なんだかんだと勝率が悪い。
とくに山札の残り枚数が少なくなるにつれて、負ける確率があがっていく。
「これはあれだな、全カードの枚数と出たカードの枚数をみんな覚えているんだな」
「みなさんは、『配達人』カードをうまく使っていますね」
「そうなの? あれって、ただ当てるだけだと思っていたけど」
「自分の手札が弱いと『散歩する人』を指定していたり、『恋人』を持っているときは『情報屋』を指定していたりもしていましたね」
「……あ、そうか。たとえ当たらなくても、その回で負けないことを目指しているのか」
さほど駆け引きの必要ないゲームだと思ったが、やはりうまくカードの特性を理解して使わないと勝てないようだ。
「別撮りの準備ができました」
このあと、ゲーム実況ではない動画を撮影することになっている。
「了解。このままでいいかな」
「はい、問題ありません」
問題ないようなので、このまま別録りをスタートさせた。
「1、2、3、スタート……みなさん、こんにちは。たったいま『恋の配達人』のオンライン版をプレイしたところです。これ、とてもおもしろかったので、自分で部屋をつくって、対戦相手を募集しようと思います。……方法は簡単。○月□日の*時から、武人チャンネル初の生放送をはじめます。そのときに部屋のパスワードを伝えますので、毎回早いもの勝ちということで、遊んでいきたいと思います。それまでいっぱい練習しておくので、みなさんの挑戦、待ってます!」
「オーケーです。いい絵が撮れました」
「そう? ありがと」
「これも対戦動画と一緒にアップしておきますね」
「うん、お願い。……なんか、短い時間だけど、喋りながら遊んでたら、疲れちゃったよ」
「普段から、話し慣れていないと、そうかもしれませんね、当日は大変ですわよ、ふふふ」
いま告知したように、俺はオンライン対戦を生放送する。
生配信は一度、やってみたかったのだ。
これも人気獲得の一環。視聴者はどんな反応をするのだろう。
当日が楽しみだ。




