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8 決戦(?)

要は階段を上っていく。

普段は、適当でめんどくさがり屋の要であったが、今この時は珍しくまじめな表情をしていた。


ロイドがいると思われる部屋へと、静まりかえっている屋敷の廊下を、黒い影が一直線に進んでいく。





♢♢♢♢♢♢♢





アリスたちは、学園内に瞬間移動してきていた。


アリスの力により、女性たちは誘拐される前よりも健康的な身体を手に入れている。


今の彼女たちを見て、長い間劣悪な環境で監禁されていたと言われても、誰も信じないだろう。


ただ、それは見た目だけであって精神的には参ってしまっている人が多い。


そんな状態の中で、彼女たちは自らを救ってくれた、この不思議な少女に夢中になり、精神的支柱として崇め始めたのだ。


彼女たちは、アリスから異常な力の波動を感じていた。


さっきまでは、アリスから神聖力を全く感じなかったためレジスタントだと思っていたが、ここに来てからは、プロフェッサー程度の神聖力が感じられるのだ。


こんなことは、本当は有り得ないのだが、そんなことお構いなしに彼女たちは、アリスを崇拝していた。


世界に新たな宗教が誕生した瞬間だった。


「悪いけど貴方たちには、要が来るまでここでアリスと待機してもうけどいいかしら?」


アリス自身は、やっと解放された彼女たちを、また拘束するのは気が引けたが、彼女たちからしたら断りようが無い申し出だった。


「はい!お近くに居させて下さい!」


「は〜、?まぁ、いいわ」


女性たちのあまりの剣幕に、アリスは首を傾け、引き気味であった。





♢♢♢♢♢♢♢





要は、ロイドの執務室の前に立っていた。

だが、なかなか中に入ろうとしない。

どのように入っていけばいいかを悩みに悩みまくっていたのだ。


どうしても悪役のセリフしか思いつかないんだよなぁ、、、

ヒーロー的なセリフはテンプレすぎるしなぁ


え?急がないとアリスがロイドを殺しに来る?そんなことは知ったこっちゃない!

今はいかにカッコよく入るかが最重要だ!


と考え始めて早3分マジで思いつかない。


…………。


もうめんどくさいから無言で行こう。


3分間を見事に無駄にした要はやっと執務室に足を踏み入れるのだった。


要は、とりあえずドアをノックして反応をみてみることにした。

しかし、少ししても全く反応がない、


待ちきれなくなった要は、執務室のドアを蹴り開け臨戦態勢を整えた。


、、、ところで、要の時間は停止した。


「はっはっはっ、危ない危ない、気付くのが遅れたわい。

ただのレジスタント如きが我が屋敷に土足で入りおって、、、

どうやってここまで来たかは知らんが、プロフェッサーのわしに敵うと思ったんかの〜?なあ、一ノ関?」


「ロイド様の敵ではございません。」


「そうだろう!そうだろう!」


要は、ロイドの神術により時間を止められてしまったのだった。

要だけの時間が止まっているため、周りからは攻撃され放題となっている。


これまた要が聞いたら嫉妬しそうな能力だが、神楽さんからロイドの情報を受け取っていたのにも関わらず、この有り様である。


その様子を見たロイドはご機嫌そうだが、一ノ関は時間を止められて全く動けないはずの要に、強い警戒心を抱いていた。


すると突然ロイドが立ち上がった。


「まさかっ!?」


要の侵入により、もしかしたら自らの命が掛かった取引商品となる女たちが、逃がされている可能性にやっと気づいたロイドは、急に焦り出す。


「まずいっ!あの女たちがっ!」


ロイドはものすごい剣幕で叫ぶと、机を押し除ける勢いで、地下へ向かって走っていった。


体型は完全に豚なのだが、プロフェッサーだけあって身体能力は高いため、動けるデブの代表みたいな走りを見せている。


こうして執務室には、一ノ関と要だけが残された。


一ノ関は長年スミス家の執事を務めており、ロイドが行っている悪事も把握していた。


実はロイドのことをあまりよく思っていない一ノ関であったが、昔の大恩により忠誠心だけは決して揺らぐことは無かった。


「ロイド様の計画の邪魔になりますので、殺させて頂きます」


壁に飾ってあった剣を手に取り、今も時間が止められて身動きできない要に、その鋒を向けた。


要から発される不穏な雰囲気を感じ取っていた一ノ関は、時間が止められている今のうちに即行で排除しようとしたのだ。


一ノ関は、要の首を落とすために剣を横に構え一息に振り抜いた。


キィィィーーーン


甲高い音が執務室に響く。


一ノ関が振り抜いた剣は、要の首に触れる直前で漆黒の剣により止められていた。


「ふぅ〜、間一髪だな」


「なにっ!?」


それまでは大人の余裕を漂わせていた一ノ関も、目の前の現状には声をあげて驚かざるおえなかったようだ。


ただ、流石はベテラン執事ということか、すぐに剣を構え直すと、今度は鋭い突きを放ってきた。


しかも、ご丁寧に剣の刀身に神術による電気を纏わせている。


要も素早く対応し、突き出された剣を上手く下から弾いた。


その後も、何度も互いの剣を交わらせた2人は互いの実力を把握したのか、剣を構えたまま動きを止める。


「あなたは身体能力は凄いようですが、剣の扱いはあまり慣れてないようですね。

残念ながら、それでは話になりません。では、さようなら。」


一ノ関は再び動き出し、要もそれに合わせるように剣を振るった。


しかし、一ノ関は要の剣を滑らせるようにして弾くと、終わりかと言わんばかりの表情で、鋭い突きをくり出す。


剣は、先の刀身半分を要の体に埋もれさせているように見えた。


一ノ関は要の殺害を確信し、表情を和らげる。しかし、、、




カラン、カラン



金属が床に落ちる音が部屋に響く。

そこには剣先が転がっていたのだ。


要の体に刺さったと思われた剣は、要の身体を貫く前に、剣先が両断されていたのだ。


「なぜだ!?いつ、、、」


最後の剣戟の際に、要は剣先を見事に切り落としていた。


「勝負ありだな、俺からしたら剣の腕なんて関係ないってわけだ」


そう言うと、要は漆黒の剣を振るい一ノ関を気絶させた。


その時、下の方から悲痛な絶叫が屋敷全体に響き渡った。


ロイドがもぬけの殻となった地下牢を目にしたのだろう。


このまま逃げられては困る要は、ロイドのもとへ急ぐのだった。


その頃、ロイドは途方に暮れていた。

自らの命綱であった、女性たちが誰1人としていなくなっていたのだ。


「なぜだ、、、」


ロイドはこの数分で、血の気の引いた顔にぐしゃぐしゃの髪と、一気に老け込んでいた。


これでは明日に迫った取り引きは行えず、借金を返すことができない。


そうなれば、今の地位を剥奪され命も奪われる可能性が高い。


この恐怖にロイドは震え上がっていた。その恐怖と絶望が頂点に達したとき、ロイドの中に新しい感情が浮かんできた。


怒りだ。


ここでロイドは気づく、この絶望を招いたと思われる張本人がこの屋敷内にいることを、、、


するとロイドは怒りに任せ、まるで発狂したように階段を上り、玄関ロビーに出た。


そこにお目当の人物がいることに気づくと、怒りのあまり不気味な笑みを浮かべるのだった。


なんだコイツ、なんかさっきと全然違くないか?

なんか笑ってるし、気持ち悪いな、


「はっはぁーー!!殺すっ!」


こわっ!なんだコイツ狂ってんのか?


ロイドは、まるで発狂した殺人鬼のようになっていたが、要はおかしいくらいに冷静だった。


ロイドは神術を発動させ、再び要の時間を止めると一気に接近した。自分の拳などお構い無しに、殴り潰す勢いで要の顔を殴りつけた。


しかし、時間が止められて身動きできないはずの要は、何事もなかったかのようにかわす。ロイドの拳は空を切った。


勢いをつけすぎたのか、肉団戦車のようになったロイドはそのまま壁に激突する。

さらには、そのまま壁を突き抜け、先程、要達がいた裏山の方まで、突っ込んでいった。


この光景少し前に見たような?

おいおい、俺が住む予定なんだから壊すんじゃないよ。

手賀崎も教室の壁を穴を開けていたが、それとは比べ物にならないほどの大穴が空いてしまった。


要が穴から様子を伺うと、裏山が禿げ上がっており、巨大なクレーターが形成されている。

その中央で、ロイドが前のめりに倒れていた。


おいおい、バカ力がすぎるぞ、、、

かわしといて良かった〜、かすっただけでもやばかったんじゃないか?


まもなくロイドは起き上がった。

要を殴りつけた右腕は外傷こそ見当たらないものの、肩より下はぶら下がっているだけで、力が全く入っていない。


要はかわした隙に、ロイドの右腕を切り上げていたのだ。


発狂しているためか、ロイドは全く痛がる素振りを見せず、再び神術を発動させた。


「ときよ!もどれぇぇ!」


ロイドの言葉とともに、要の周囲が淡く光った。



。。。。



が、それだけで何も起こらなかった。


この力は、対象となった人や物の時間を巻き戻し、この世に生まれる前の状態まで戻すことで、存在さえも消し去るという、凶悪極まりない能力なのだが、なぜか要には全く効果がないようだ。


「なぜだっ!?」


「なぜだと言われても、、、ね?

 俺は体質的にそういうの効かないから」


「そんなわけあるかぁぁああああ!!!」


鬼気迫るロイドに対し、この場に於いては逆におかしいほど冷静な要なのであった。


「でも、そろそろめんどいから終わりでいいよな」


要はそう言うと、その場から消え、ロイドの目の前に現れた。


ロイドも咄嗟に反応して、殴りかかる。


ロイドの拳と要の剣がぶつかる直前、要の動きが一瞬鈍くなった。

ロイドが再び時間停止を使用したのだ。


要は当たり前のように、時間停止を突破していくが、動きが鈍ったことは確かであり、ロイドはその瞬間を狙い殴りつける。


見た目は完全に肥満体型であるが、特殊警察という仕事柄、戦闘経験が豊富にあるロイドは、怒りに駆られながらも確実に最善の手でもって攻撃を繰り出していく。


こいつめんどくさいなぁ〜、目が完全に逝っちゃってるし、、、

すこしギアあげるか。


要は少しづつ剣を振るスピードを上げていく。ロイドは自分自身の時間を加速させることで、それについていく。さらに、拳には鈍化の力を纏っているため、要の剣が過度に加速するのを防いでる。



拮抗する時間が続く。それに耐えかねたのかロイドが動いた。


「腐食の拳!」


おっと、これはなんかまずそうな雰囲気出てるな。名前とこいつの能力からして、時間をめっちゃ進めて、朽ち果てさせる系かな?


まぁ、こいつの底も見えたしそろそろいいか。


要はロイドの神術などお構いなしに、剣を振りかぶった。

それを見たロイドは、その顔をさらに狂気に染める。


要の剣とロイドの腐食の神術が衝突する。

しかし、剣は腐食の力など意に返さず斬り裂いていき、ロイドの身体まで到達した。


「なっ!?なぜ、、だ、、、、」


ロイドは意識のみを刈り取られ、前のめりに倒れ込んだ。


「ふ〜、終わったか。残念ながら、この剣に斬れないものはないんでね」


なんかずっと叫んでて気持ち悪かったし、なぜか申し訳ない気持ちになるが、大丈夫だよな?


こうして、要とロイドの一騎打ちはあっさりと終わったのだった。


要はまたもや空に向かってアリスを呼んだ。


「アリス、ちょっと来てくれ〜。」


「遅いっ!何をちんたらしてるのよ、ちょっと心配しちゃったじゃない、ふんっ!」


「まぁまぁ、とりあえず終わったから、そこのロイドと上の部屋の執事を拘束してくれ、あとくれぐれもロイドを殺すなよ!」


「っち!分かったわよー。」


コイツ舌打ちしやがったよ!恐い恐い、油断も隙間ないな。


2人の拘束が終わると、要とアリスはロビーに並べられていた奴らを連れて、学園内の地下牢に飛んだ。


なぜ学園内に地下牢があるのかは不明だが、これで取り敢えずは、大丈夫だろう。


それから2人は、助けた女性たちのもとへ向かうのだった。


アリスは、要が戦っている間に揉みくちゃにされたせいで多少行くのを嫌がっていたが、それを知る者は誰もいない。

やっとロイドが倒されました。


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