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7 救出完了

要とアリスは未だに、山からロイドの屋敷を観察していた。


二階にいたロイドと思われる強い力の波動が、地下に降りて行っているのが感じられる。


あの屋敷の地下には何かしらの施設があるようだ。

攫われた女性たちが地下に監禁されていれば、探す手間が省けて楽なんだが、、、


「アリス、お前の便利すぎる力で、あの屋敷の地下の生体反応的なやつを知ることってできたりしないか?」


「なによ便利って、人を道具みたいに!」


アリスはこうやって、俺の発言からつっこめるところを無理やり作って、ネチネチ言ってくるからたちが悪い。


ただ、アリスの言ってることも、あながち間違ってないかもしれないから怖い。


某ネコ型ロボットの道具のように、アリスには必要な時だけ呼び出して、用事が終われば帰ってもらっていることが多々ある。


ちょっと気をつけないと、本当にキレられる可能性があるな。

アリスがキレたら、絶対に死なない空間とか作り出して、その中で永遠と殺され続けたりしそうで怖い。


アリスへのアフターケアをしっかりしよう!


要はこの時、この考えに至ったことによって最悪の地獄を回避したのだった。


「褒めたんだよ!悪かったな、じゃあいいや。」


「えっ?や、やるわよ!」


「さっすが!」


我ながら、この素直じゃないアリスの扱いにも慣れてきたと思う。

アリスの性格上、そもそもやらないって選択肢は無いからな。

いかに、素直にさせてあげるかがポイントだ。


まぁ、誰得の情報ではあるが、、、


ただ、マジでアリスの能力は羨ましすぎる。おそらく世界一凡庸性の高い能力だと言えるだろう。


それと比べて俺の力は、、、


「地下にレジスタントの人たちが9人いるみたい。たぶん要が探してる人たちだと思う。」


「やっぱすげぇなアリスは!さんきゅー。」


今度はどストレートで褒めてみたが、どういう返しがかえって来るだろうか?


「なっ、これくらい当然でしょ!褒めても何もでないわよ。」


アリスはいきなり褒められて動揺したのか、口では強気なことを言いながらも、顔の緩みは隠せていなかった。


ロイドは数分の間地下で何かをしていたが、しばらくして、地下から上の階に戻って行くのが感じられた。


「よし、じゃあ結界を頼む」


「わかったわよ」


アリスはそう言うと、2つの神術を発動させた。

それは手のひらの上に透き通った立方体として現れた。

ゆっくりと回転するそれを、アリスが指で弾くと、屋敷の方へ飛んで行く。

屋敷の真上に差し掛かったところで一気に広がり屋敷全体を覆う結界が張られた。


「できたわよ」


「ありがとうございます、アリス様。

よし、じゃあ行きますか。」


「なんか、嫌」


あれ?心を改めて感謝の気持ちを丁寧に伝えたはずだったんだが、、、

お気に召さなかったようだ。





♢♢♢♢♢♢♢





2人は、屋敷の裏手まで来ていた。

流石に門から堂々と入るわけにはいかないため、裏門から侵入することにしたのだ。


ロイドやその部下たちも無能ではないため、一般的な能力者が屋敷内に侵入すれば気付けたであろう。


しかし、この2人はその一般的に含まれることは無かった。


そうして、易々と侵入を果たした2人は、まずロイドの部下たちから片付けることにした。


「それにしても、でかい屋敷だなぁ。どんだけ金持ってんだよ。」


あくまで独り言のつもりだったのだが、案の定アリスは反応してきた。


「そうね〜。って、感心してる場合じゃないでしょ!」


見事なノリツッコミを炸裂させたアリスだったが、少しばかり声が大きすぎたようだ。


長い廊下を歩いていた男に気付かれてしまった。


「誰だ!そこにいるやつ出てこい!」


凄いテンプレ展開きました。

セリフも完全に使いまわしかってほど聞いたことあるやつだし。

それは置いといて、


2人は素早く曲がり角に身を隠し、しゃがみ込んで男を観察した。


ここは、あの男から見たら影になっているので、まだ姿は見られていないが、男は警戒しながらこちらに歩いて来ている。


「ちょっと、アリス!」


「ごめんなさい、」


アリスは、この緊迫した場面で1人盛大に落ち込んでいた。

結構こういうの気にするタイプだからなぁ。


アリスのメンタルケアは後にして、今は取り敢えず目の前の男の処理だ。


気は乗らないが、背に腹はかえられないか、


「エヴァーローズ様、お願いします」


要は、素早く気を引き締め集中態勢に入ると、手にはいつのまにか漆黒の剣が握られていた。


落ち込んでいたアリスだったが、その剣を見ると目を丸くして驚き、尻餅をついてしまった。


要はそうとも知らず、剣を鞘から引き抜くと既にその場から消えていた。


男は、力の波動が感じられないことから、侵入した何者かがレジスタントだと決め付けていた。


しかし、男は用心深い性格であったため、いつでも神術を発動できる状態に整えて歩いており、隙はないように思われた。


だが、次の瞬間、男は目を見開いた。それまでは人影のない長い廊下だったはずの場所に、いきなり剣を持った男が現れたのだ。


要はその隙を見逃さなかった。男が防御姿勢をとるよりも速く、男の身体を斜めに切りあげる。


男は、避けることも防御することも出来ずまともにその一撃を食らった。


とりあえずの決着がついたと思ったのか、アリスが隠れるのをやめて近づいて来た。


「殺しちゃって良かったの?」


「よく見てみ、」


「あれ?死んでない、でもさっき要がその剣で切ったよね?」


「まあ、この剣にはちょっと秘密があってな」


「なにそれ、教えて!なんか、この剣からやな感じがするし」


アリスお得意のわがままが発動してしまったようだ。

特に、知らないことがあると気にくわないらしく、理解するまで徹底的に調べ上げる癖があるため、今回はなかなか逃れられなそうだ。


だから、この剣はアリスの前では使いたくなかったんだよなぁ。

まぁ、それはおまけの理由ではあるが、、


今も、俺にまとわりついてきて必殺下から見つめるを実行中だ。

アリスの場合、これが俺に有効だと分かった上でやっているのでめちゃくちゃ厄介だ。


ただ、ここは心を鬼にしないと、、、


でも、ちょっとならいいかな、、、アリスだし、


はっ!やっぱりダメだ、、、でも、、、


要の中の天使と悪魔が、壮絶なバトルを繰り広げていると、廊下の曲がり角からまたもやロイドの部下が歩いてきた。


「お前ら、そこで何をしている?」


ナイスタイミング!最高の仕事をしてくれた!

セリフは相変わらず手抜き感満載だが、それを抜きにしても最高だ!


これで、なんとかこの場は誤魔化せそうだ。


部下の男は、既に臨戦態勢を整えていたが、要に背後に回り込まれ、あっさりやられてしまった。


その後も、気分を良くした要による蹂躙は続き、あっという間に、ロイドの近くにいる部下以外の排除が終わった。


彼らは、アリスの能力で身動きを制限され、玄関ロビーに並べられている。


2人はロイドを確保する前に、地下にいると思われる、攫われた女性たちを保護することにした。


地下への通路はいちおう隠されていたが、コレまたテンプレの本棚が扉になってるパターン。

個人的には好きなので文句は言わないでおこう。


地下への階段を下って行くと、下水道のような猛烈な匂いが漂ってきた。


長い長い螺旋階段、秘密基地への通路のようで、なんとも男心をくすぐる作りになっている。


下に着くと、そこには左右に5個づつ独房が設けられており、右側の1番手前を除く独房には、心身共に疲れ切った様子の女性たちが入れられていた。


女性たちは、こちらを見て鋭く睨みつけてきたが、いつもと様子が違うことに気づくと話しかけてきた。


「あなたたちは、あのクソ豚野郎の仲間なの?」


1番手前の独房に入れられていた女性が、すがるような目をして聞いてきた。


「安心してください。俺たちは、あなたたちをロイドの手から解放しに来た者です。今から助けるので、少しお待ち下さい」


そう言うと、女性たちは安堵したのか一気に顔の表情が和らぎ、感謝の言葉を述べてきた。


2人は、女性たちの精神面を考え素早く鍵を開けていく。


彼女たちは、最低限の食事しか与えられておらず、ひどく痩せ細っていた。さらに、お風呂にも入れてもらえず、非常に不衛生な状態だった。


応急処置のつもりで、アリスに対処をお願いしたが、この地下に来た時から完全にキレていたアリスは、まるで監禁されていたことが嘘のような状態まで、一瞬で回復させていた。


それにより、今アリスは彼女たちから神のような扱いを受けている。

あながち間違っていないかもしれないが、


マジでおかしい。なんなんだコイツの能力は、みんな違ってみんな良いというが、コレはあまりにも不公平すぎる。


問題は、彼女たちをどうやって屋敷の外に連れ出すかだ。

流石にこの人数で移動したら、ロイドに気づかれてしまう可能性が高い。


「アリス、この人たちを安全な場所に連れ出してくれ。俺はロイドを捕まえてくる」


「ロイドとかいうやつをぶち殺したい気分だけど、しょうがないから譲るわ、彼女たちはアリスに任せて」


「アリス、その見た目でその言葉遣いはやめといた方が良いぞ、ほら、彼女たちが引いてる」


「あっ、そうね。じゃあまた後で、気をつけてね?」


なんか『気をつけてね?』に他意が含まれていそうで怖いんだが、、、

顔は笑っているが、目が笑っていないぞ、


『ちんたらしてたら、アリスが殺しに行くから』とか思ってそうだ。

全力でロイドを確保しよう。


ロイドのもとへ向かおうとしたとき、1人の女性が恐る恐る手を挙げて言った。


「あの〜、あなたたちはレジスタントではないのですか?私たちと同じで神聖力は感じられないのですが、、、

悔しいですが、あのクソ豚野郎は恐ろしく強いはずです。

ですから、、、」


つまり、この人は俺じゃロイドに敵わないと言いたいが、助けてもらったのと、俺があまりにも自信満々に言うもんだから、はっきりと言えないわけだ。


確かに彼女たちからしたら、助けてもらった恩人が、憎い相手に殺されに行くってなったら止めるのが当たり前だろう。


しかし、彼女たちは致命的な勘違いをしていたのだった。


「あ〜、それなら大丈夫よ、要がロイドとかいうクソ野郎に負けるはずがないから」


「まぁ、そうかもなぁ」


彼女たちは、困惑したように首を傾げたが、アリスがあまりにも自信満々に言うもんだから、無理やり納得したようだ。


「じゃあね、」


いまだにロイドへの怒りが収まっていないアリスはそう言うと、彼女たちと共に消えていった。


「さて、パパッとロイドを片付けますか。早くしないと、アリスに先越されて殺されそうだし。」


なんかこれだと、俺がロイドを助けてることになるような、、、

気にしないようにしよう。


要は、ロイドのもとへ急ぐのだった。


お待たせしてすみません。

毎日読んでくださってありがとうございます。

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