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13 手賀崎道場

買い物の帰りに手賀崎を目撃してから、初めての登校日となった。


結局休日はアリスに持ってかれるし、手賀崎のことは気になるし、全く疲れが取れてない。


「はぁ〜、」


おじさんのような大きなため息をついた要は、職員室の机に突っ伏していた。


「おはようございます!要先生お疲れですか?」


みかん先生の登場に、瞬時に起き上がると背筋を伸ばし姿勢を正した。

しかし、顔の疲れは隠し切れていなかった。


「おはようございます。元気ですよ、ただ色々と考えごとがありまして、」


明らかに疲れが見て取れる要に呆れたみかんは、キャスター付きの椅子を転がして要に近づいた。


「あのですね、私もGクラスの副担任ですよ!先生が困ってることは、一緒に解決するんです!」


要は急に近づいてきたことにはびっくりしつつも、あまりの距離の近さに心臓が飛び出るくらい鼓動が激しくなっていた。


無防備すぎるぞこの人!


「みかん先生、近い近い、、、そうですよね。手賀崎について、先生の知ってることをなんでも教えて下さい。」


言われて気づいたのか、みかんは顔を少し赤らめて自分の机に戻った。


「ごめんなさい、、、忍くんのことですね。喜んで!」


「ありがとうございます。歩きながら聞かせて下さい。」


それから2人は授業の準備を素早く済ませると、旧校舎に向かって出発した。


「話す前に、忍くんに何かあったんですか?」


「土曜日の夕方ごろに、凄く必死な表情をして走り回っているのを見たんですよ。」


「そうなんですね、確かに心配です。」


「何か分かりますかね?」


「ごめんなさい、すぐに分かることはこれといってないです。」


「ただ、忍くんは喧嘩っ早いので恨みは買いやすいんですよね。」


確かに、前に保健室行く時も他クラスのやつからかなり睨まれてたな。

やっぱり、武道をやってて喧嘩するのは良くないよな。


名前からして矯正するのは無理だろうか?


「忍くんは、性格はとても優しいので何か裏があるんじゃないかと思って調べたんです。

そうしたら、ほとんど全てに於いて正当防衛が成立してることが分かったんです。」


なるほどな、初日の様子からしてキレやすいのは否定できないが、漢らしい性格してたもんなぁ。


あの見た目や喋り方、レジスタントにも関わらずエスパー並みの強さとか喧嘩を売られやすい要素しかないよな。


つまり、自分から手を出しておいてやられたら逆恨みしてるわけか。


これはなかなか厄介かもしれない。

1番手っ取り早いのは、手賀崎をめちゃくちゃ強くして、誰も手出し出来なくすれば良いんだろうな。


「家は手賀崎流の道場をしているんですけど、審判の日以前の身体能力のみを用いる武術みたいで、門下生はごく僅かみたいです。」


「つまり、経営悪化による金銭的な問題か?」


「前に家庭訪問した時は、バイトの給料と昔からの遺産を切り崩して生活してるとは言ってました。」


「こればっかりは聞いてみないと分からないな。ご両親は働いてるんですかね?」


その質問に、みかんは少し顔を暗くした。


「それが、ご両親はお二人とも若い頃にお亡くなりになられているそうです。

今は、妹さんと2人で生活しているみたいです。」


「そうなんですか、、、すみません変なこと聞いてしまって。」


「いえ、聞かれなくても言っていたと思いますから。」


ご両親が亡くなっているということは、手賀崎も相当苦労してきたんだろう。


確かにいつも手賀崎は誰よりも早く帰っていた。あれは、バイトや家事をするためだったのだろう。


そんなこんなで、2人は旧校舎まで辿り着いた。


もはや慣れた手つきで教室のドアを開け、朝のチャイム少し前に教室に入る。


「おはよ〜。」


だが、いつもなら返ってくるはずの適当な挨拶も、教室の端から発せられる強烈なオラオラ雰囲気も無かった。


「あれ?手賀崎いないのか。何か聞いてる人いるか?」


「聞いてませんわ。けれど、数日前に妹さんを見てないかという連絡が来ましたわ。」


「なに!?まさか行方不明になってるのか、」


「犯人は捕まったはずじゃなかったんですの?」


「いや、そのはずだ。」


どういうことだ?あの連続行方不明事件はロイドが裏で手を引いていた事件のはずた。


ロイドは捕まってるから犯行の指示はできないはずだし、手賀崎が今日来てないってことは、妹がまだ見つかってないか、手賀崎自身に何かあったかだな、


保護者のいない手賀崎たちに何かあった場合、気づくのが遅れるからな、


一刻を争う事態かもしれない。


「みかん先生、俺はとりあえず学園長に報告してくるんで、後は任せます。」


「分かりました!お気をつけて、」


「みんな朝からすまんな、いちおうみんなも連絡がつかないか試してみてくれ!頼んだぞ!」


要はそう言って教室から飛び出した。


何か嫌な予感がする。いつも当たらないんだから今日も当たってくれるなよ!


要は全速力で新校舎に向かった。普段だったら20分はかかる道のりを1分足らずで走り抜けると、そのまま保健室に向かった。


あの人はどこにいるか分からないからな、保健室にいてくれよ〜。


ガラッ


保健室のドアを勢いよく開けると、そこには少し驚いた顔をした神楽さんがいた。


「良かった、伝えたいことがあってですね、、、」


それから要は忍の状況について神楽さんに説明した。


「なるほど、確かにそれは心配ね。最近世界中で大きな事件が発生してるみたいなのよね。」


「クラスはみかん先生に任せたので、俺はこの後手賀崎の家に行こうと思ってるんですけど、大丈夫ですか?」


「その方がいいでしょうね。みかん先生がいれば大丈夫でしょうし。ただ、一つだけ条件があるわ。」


「何ですか?」


「私を連れて行きなさい。」


神楽さんは、お茶目な顔をして言った。


「心強いですしいいですけど、仕事は大丈夫なんですか?」


ジト目で勘ぐるように見てくる要を鬱陶しそうにしながら、神楽は反論した。


「もちろん大丈夫よ。私を誰だと思ってるのかしら。」


「そう言って、秘書の人に押し付けてるんでしょ?」


珍しく果敢に攻める要であったが、これは誰が見ても要の負けである。


「みかん先生に仕事を押し付けておいて、どの口が言うのかしら?」


「ぐっ、まぁ分かりました。行きましょう。」


要は言い返せなくなると、すぐさま出発の準備を始めた。

要の場合は、チャレンジ精神はあるが実力がそれに追いついていないのである。


つまり、頭が弱いのである。


「そうね。」


神楽は、少しニヤっとすると着ていたナース服を着替え始めた。


「ちょっ!どこで脱いでるんですか!」


「あぁ、ごめんなさい。要ちゃんは子どもだから大丈夫だと思っちゃったわ。」


「どこをどう見たら子どもに見えるんですか!」


「そのウブな反応とかかしらね。」


忍がピンチかもしれない状況のなか、神楽は要をおもちゃにして遊ぶのだった。


そうして、やっと準備が終わると、2人は神楽さんの瞬間移動で手賀崎道場まで来た。


「でかっ!」


目の前には木製の立派な門が建っている。そして、敷地を囲うように塀がずっと建てられていた。


この見た目からして、旧世界の建造物がそのまま残っているようだ。


その塀はどこまでも続いてるかのように見える。ここから見える範囲は全て手賀崎の家なのだろう。


「あら?要ちゃん知らなかったの?学園からいつも見えてるじゃない。」


「公園かなんかだと思ってました。」


街のど真ん中に森で覆われた広大な土地があるのは知っていたが、ニューヨークのセントラルパーク的なものだと思っていたのだ。


これだけ広い土地を、街のど真ん中に持っているなら、経済的な問題では無さそうだな。


入り口にインターホンがあったので、押してみた。


「ピンポーン!」


しばらく反応が無かったが、少しすると男の声で反応が返ってきた。


「はい、どちら様っすか?」


「おっ!手賀崎か?担任の敷島要だけど、今日はどうしたんだ?」


「先生?どうしたんすか?まさか、クラスの奴らに聞いたとか、」


手賀崎の声のトーンが下がった。やはり、何かあったのだろう。


「そうだ、とりあえずこの状態で話すのもなんだし、家に入れてくれないか?」


悩んでいるのか、なかなか返事が返ってこない。俺には関わって欲しくないのかもしれないな。

だが、担任としてほっとくわけにはいかない。


「ダメか?話しだけでも聞かせてくれ。頼む!」


またもや少し間が空いた。


「、、、分かりました。少しそこで待ってて下さい。」


少しと言われたが、かなり待たされた。

見るからに土地が大きすぎるため、しょうがないだろう。


忍は、メインの門の横にある小さなドアから顔を覗かせた。


「お待たせっす、先生こっちです。あれ?その人は保健室の先生っすか?」


「おぉ、元気そうでなりようだ。もしものために、ついて来てもらったんだ。」


要は咄嗟に嘘をついた。

神楽さんはナイス!という目線を送ってきたが無視しておいた。


前から思ってたが、神楽さんは式典の時などは生徒の前で話をしているはずだ。

それにも関わらず、なんで手賀崎は神楽さんを保健室の先生と認識しているんだ?


もしかして、神楽さんの神術による効果か?自分が仕事をサボるために、生徒に神術を行使するとは、悪い大人の典型だな。


「そうっすか、ここから中に入って下さい。」


「了解。悪いないきなり。」


ドアから中に入ると、まさにそこは別世界だった。

木々が生茂る中、道には岩の飛び石が置かれ新世界では味わえないような趣がある。


2人がそこを気にいるのは必然だった。


「凄いなぁ、なぁ手賀崎、ここにたまに来てもいいか?」


「えっ?うちにっすか?まあ、暇な時なら大丈夫っすけど、」


「おぉ!ありがとう!」


忍を心配してここに来たはずが、完全に自分の世界に入ってしまった要なのであった。


読んで頂きありがとうございます。

自分的には、手賀崎はカッコよく書きたいです。

このまま下にスライドすると、五つ星の評価欄があるので、ぜひお願いします。

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