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11 能力測定2

要は100m走のお手本を見せた後、生徒たちのもとへ戻ってきた。


「分かったか?」


「分かるか〜!!!」


まぁ俺も分かると思ってないがな、、

ただこれで、生徒たちはだいぶリラックスできたようだな。


「よし、じゃあ測っていくぞ〜。やりたいやつから並んでけ〜。」


要がそう言うと、なにかとやる気だけはある手賀崎と神崎がスタート位置についた。


要は素早くゴール地点に戻ると、準備完了と言わんばかりに手を振って合図を出した。


この2人がスタート位置についたことで、校庭にいる生徒たちの目線がまたもやみかんに殺到した。


さすがにみかんも視線に気づいたのか、今度は控えめに合図を出したようだ。


「よーい、どん!」


それを見た男子生徒たちは、顔を逸らすと舌打ちをしたが、女子たちは男子たちに軽蔑の視線を送るのだった。


走り出した手賀崎と神崎はというと、これまたレジスタント離れした速さで走っていた。


これ、速すぎて測るのめっちゃ難しくねぇか?絶対正確じゃないよなぁ。


「4秒6! 5秒1!」


結果的に手賀崎が勝った。神崎は5秒をきれなかったのがよほど悔しかったのか、やり直しを要求してきている。


が、十分速いので却下だ。


神崎は文句タラタラで帰っていった。この一年でどこまで伸びるかが楽しみだな、、、


次に走るのは、ロッドと藍染のようだ。俺が今最も注目しているのが、このロッド・アービングという生徒だ。


みかん先生の合図で走り出した2人は、気づくとゴール直前まで迫っていた。


「2秒7! 4秒8!」


藍染はこういうのは手を抜くタイプだと思ったが、まじめにやったようだ。


隠したいのであろうマスターだということを、全く隠せていないような気もするが、さっきの俺のお手本が良い隠蓑となったようだ。


「ロッド、お前速いな!」


「藍染に負けてるじゃないですか、それにいくら100mが速くても何にもならない、、、」


能力至上主義の弊害か。

レジスタントへの差別だけではなく、レジスタントの絶望も生んでしまう。


ただ、ロッドからは定期的に神聖力が漏れ出している。

やはりこいつには何かしらの秘密がありそうだな。


残りの生徒たちも測り終わり次の種目に移るために集合した。


「お前たちに言っておくことがある。

このクラスで1番遅かったのは、誰とは言わないが9秒4だった。

じゃあ、旧世界での100mの世界記録は何秒だと思う?」


「えーと、レジスタントの中で最速と考えると、俺が4秒5だから、4秒くらいっすか?」


「あのな〜、まあしょうがないか、9秒56だ。

つまり、何が言いたいかっていうと、旧世界の人間とレジスタントには、決定的な差があるってことだ。」


「マジすか!?おそっ!」


あの人類最速の男がザコ呼ばわりされる日が来ようとは、、、


これにはみんなも驚いていたが、若干一名あざとく驚いているやつがいた。


「旧世界の人間とレジスタントは両方神聖力を持たないという点では、一致しているな。

決定的な違いは、リミッターの有無だ。審判の日に神々の力に触れた人類は、ありとあらゆる制約から解放されたというわけだ。」


「せんせいは、ものしりなんですね〜。」


藍染が、薄ら笑いを浮かべて攻撃を仕掛けてきた。


「ま、まあな、知り合いの研究者から聞いたんだ。」


「それで、リミッター?とか制約?とか足の速さに関係あるんすか?」


「ああ、つまり新世界の人類は鍛えれば、神に近い身体能力を得ることも可能だということだ。」


「えぇぇーーー!!!」


いい反応だ。この調子なら訓練にも自主的に参加してもらえるかもしれないな。


「でも、強くなったところで所詮はレジスタントだろ。」


「それはそうだ。だが、ここは神術学園だろ。神獣と戦える人材を育成するための機関のはずだ。力を認めさせるチャンスなんて、この先いくらでもあるじゃないか!

それに、上のクラスのやつらに見下され終わっていいのか?」


「ぐっ、それもそうっすけど、、、」


やはりレジスタントが世の中に抱く絶望感はそう簡単には払拭することができないようだ。


だが、あとはこの子たち次第だろうな。俺が求める強さは、他人に強制されてたんじゃたどり着くことは不可能だ。


「俺は訓練の場を用意することはできる。あとはお前たち次第だ。強くなりたいと思ったやつは、俺に言ってくれ。」


生徒たちは、悩んでいるようだ。ほとんどの子が視線を下にして、眉毛を下げている。


「急に真面目な話をして悪かったな。残りの種目も片付けちゃおう。」


みかん先生のフォローもあり、生徒たちは淡々と他の種目もこなしていた。


最後は神聖力保有量の測定だ。この名前すらも嫌っているのか、聞いた瞬間に顔を青ざめさせている生徒もいる。


この機械にトラウマを植え付けられてきたんだろう。


一瞬にして終わっていくが、出て行く生徒たちは笑っているものはいなく、諦めているような顔や悔しそうな顔をしていた。


そうして、俺たちは旧校舎に戻ってきた。


生徒たちは、肉体的よりも精神的に疲れていそうだ。


「さあ、みなさん今日はお疲れ様でした。体育祭も近いから、頑張りましょう!えい、えい、おー!」


みかん先生の言葉を聞いた生徒たちは、心が和らぐような幸せそうな顔をしていた。


こんな時は、みかん先生の出番というわけだ。

この人を見るだけで疲労を回復してくれるという万能っぷり。一家に一人みかん先生だな!


「本当にお疲れ〜。今日はもう終わりだ、最近かなり物騒だからな、気をつけて帰れよ〜。」


「あと、ロッドは話あるからちょっと残ってくれ。」


生徒は1人また1人と帰って行く。

教室には、俺とみかん先生とロッドだけになった。


窓からは夕日が差し込み、なんとなく寂しさを漂わせていた。


「なんですか?話って、」


ロッドは、気怠さを顔全面に押し出して早く帰りたいアピールをしてきている。


ただ、要はそんなことはお構いなしだ。


「お前、どこかで神話級の神獣と会ったことないか?」


要がそう言うと、ロッドは明らかに動揺していたが、なんとか隠そうとしている。


「どういうことですか?どうでもよさそうなので帰りますね。」


ロッドは話を無理やり切り上げると、そそくさと帰り支度を始めた。


「お前の神聖力を縛り付けている呪いが解けるって言ったら?」


教科書をカバンにしまっていたロッドの手が止まる。

しかし、それは一瞬でまたすぐに帰り支度を再開した。


「会って欲しい人がいるんだ。そいつならお前の呪いの解き方が分かるかもしれない。」


「どうせ無駄ですよ。俺の呪いは黒龍王にかけられたんだ。人類最強と言われるマスターでさえ手に余るバケモノですよ、、、」


ロッドは、怒ったようにささやいた。


やはり神話級の神獣だったか。それにしても、世界に数体しかいない龍種に呪いをかけられるなんて、何をしたんだコイツは。


「俺はお前の気持ちが知りたいんだ。呪いを解きたいのか、解きたくないのか。」


「解きたいに決まってるじゃないですか!でも、これまでありとあらゆる方法を試してダメだった。だから無理です、、、」


「そうか、呪いを解きたいと思うなら、ちょっと強引な手段を使わせてもらう。」


「アリス!朝のを申し訳なく思ってるなら来てくれ!」


要はここにはいないアリスを呼んだ。

ロッドとみかん先生は頭に?を浮かべいる。


恥ずかしいぃ〜人前でアリスのこと呼ぶのがこんなに恥ずかしいとは、、、


早く来てくれ!頼む!ロッドとみかん先生が完全にやばいやつみたいな目で見てくるんだ!


「なに?」


「きゃ!」 「おわっ!」


ロッドとみかんは急に少女の声が背後から聞こえたので、びっくりして後ろを振り返った。


アリスは要の要望を遂行したようで、要が驚かない位置に瞬間移動してきていた。


その結果、ロッドとみかんの後ろに急に現れたため2人を驚かせてしまったのだ。


「こいつはアリス、俺の物知りの知り合いだ。」


「こいつとはなによ、ふんっ!」


朝のことで、まだ素直になれないようだ。


「ああ!アリスちゃん!昨日ぶりだね〜。昨日は本当にありがとう!」


「アリスは何もしてないわよ。」


「ううん、そんなことないよ!」


この中で1人だけ事情を知らないロッドは、置いてきぼりにされていた。


「それでアリス、この子の呪いを見てくれないか?」


「わかったわよ。」


そう言うと、アリスはロッドに近づいて行った。

幼女とはいえ、恐ろしくかわいいアリスが間近に来たことでロッドは緊張しているようだ。


「この呪いはすごく強いわね。人間じゃ解くのは不可能だわ。」


アリスが瞬間移動で現れたことで、少し希望を抱いていたロッドは、この言葉で再び絶望に突き落とされた。


「おいおい、しっかり説明してやってくれ。」


「言われなくても分かってるわよ!

人間には無理ということは、神獣に解いてもらえばいいのよ。

まあ、黒龍王の呪いだからそれと同クラスの神獣で話が通じるやつじゃないとダメね。

アリスも一時的になら解けるけど、それじゃ意味ないでしょ?」


そう言うとアリスは少し考えだした。

ロッドは、一時的にでも解けるという話が出てきたため、少し顔に光が戻る。


「ちょうど良いのがいるじゃない、アルプス山脈のどこかに住んでいると言われる白龍王なら解呪できると思うわ。」


「なるほどな〜、白龍王に呪いを解いてもらえば良いのか。」


アリスの言葉に、要は納得して頷く。しかし、みかんとロッドは絶望していた。


白龍王は、たった一体で世界を破壊することができると言われている化け物中の化け物だからだ。


世界にたった6体しか確認されていない神話級の神獣たち。

未だに表立って活動したことはなく、その詳細は何も判っていない。

新世界になり神獣が現れてから人々の間には1つの共通認識が存在していた。


「神話級の神獣には、何があっても近づくな」


かつて神話級の化け物たちに、不用意に近づいた者は、ロッドのように何かしらの絶望を埋め込まれた。

そしてそれは、誰にも避けることが出来なかったと言われている。


「結局無理なんじゃないですか!先生は、俺に絶望を教えたかったんですか?」


ロッドは、最初は希望を見せながら最後には絶望を突きつけてくる要に対して怒りを露わにする。


「そんなことはないぞ、白龍王のもとまで俺が連れて行くからな。」


「は?先生レジスタントでしょ?無理に決まってるじゃん。死ぬくらいなら、一生レジスタントでもいいし、、、」


ロッドがこう思うのも無理はないだろう。

俺も死ぬつもりも死なせるつもりも無いがな。


「私も反対です!いくら要先生でも危険すぎます!」


みかん先生も止めてくれるようだ。

だが、ロッドが呪いを解きたいと思っている以上行かないという選択肢は無い。


ロッドとみかんを説得できる要素がないことに、ここに来て気づいた要は引き下がるしかなかった。


完全に見切り発進である。


「うーん、しょうがないな。この話はとりあえず保留にするか。ただ、俺はいつでも白龍王のもとへ行く準備はしておくからな。」


「ロッド、引き留めて悪かったな。もし、俺のことを信用できるようになったら言ってくれ。」


要は少し残念そうに言った。

そんな要をロッドは睨みつける。


ロッドは諦めたように帰って行ったが、要の言葉は確実にロッドの心に刻み込まれていた。


読んで頂きありがとうございます。

基本的には、毎日投稿していこうと思います。

広告の下にある評価欄をつけていただけると幸いです。モチベーションになるのでよろしくお願い致します!


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