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10 能力測定1

要は朝日で目を覚ました。

昨日は1日中ハードワークをしていたので、家に帰るとすぐに寝てしまった。


布団から出ようとすると、違和感に気付いた。

なんと隣でアリスが寝ていたのだ。


「ん?どゆこと?」


まだ意識が覚醒していないので、上手く状況が掴めない。


少し時間が経って意識がハッキリしてくると、色々と思い出してきた。


たしか昨日はアリスのためにもう一枚布団を敷いたはずだ。それなのに、なぜかアリスは俺の布団で寝ている。


つまり俺はめちゃくちゃ危機的状況にあるということだな。理解した。


じゃなくて!ヤバイヤバイ!すぐに布団から出ないと!


その時、最悪のタイミングでアリスは目を覚ました。


「ん〜、ん?、え?」


まだ起きたばかりで、頭が回ってないのか周りの状況を把握できていないようだ。


そんな姿は、見ていてとても絵になるのだが今はそんなことを考えている余裕は無かった。


「こ、この、この変態!やっぱりロリコンだぁ!」


アリスは、意識を覚醒させると顔を真っ赤にして叫んだ。


それだけで終わればかわいいんだが、もちろんそれだけで終わるはずがなく、神術を発動させて何かしら結界を作ろうとしている。


見れば分かるやばいやつやん!

アレは死ぬ!殺される!


「おいおい!その結界はヤバイって!第一、これは俺の布団だろ、入って来たのはアリスの方だぞ!」


要は必死になり、アリスのために敷かれていた布団を指差しながら身の潔白を訴えた。


アリスは、自分から要の布団に入ったことを理解したのか、先程よりもさらに顔を赤くした。


「へ?・・・・・・・とりあえず死ねぇ!!」


「そんな理不尽なぁぁーーー!!!グハッ」


要死亡、、、チーーン


♢♢♢♢♢♢♢


朝から酷い目にあったぞ、あぁ身体中が痛い。


要に理不尽な暴力を振るった後、アリスは逃げるようにどこかに行ってしまった。


その後で、アパートの大家さんが何事かと駆けつけてきたり、隣の住人に白い目で見られたりと色々大変だったのだ。


アリスめ!いくら見た目が幼女だからって、今度会ったら容赦しないぞ!


学園の職員室で1人キレていると、みかんさんがやってきた。


昨日助け出されたばかりだというのに、今日から出勤とは先生の鏡だ。

おそらく、Gクラスの生徒たちに早く会いたかったんだろう。


「みかん先生、おはようございます。もう大丈夫なんですか?」


「おはようございます!はい、元気もりもりです!昨日は、本当にありがとうございました。」


やっぱりみかんさんは良いなぁ、アリスとは大違いだ。


今日の朝あんなことがあったばかりで、どうしても比較してしまう要なのであった。


そこで要はあることを思いついた。


「みかん先生、ちょっと生徒たちにサプライズしませんか?」


♢♢♢♢♢♢♢


要とみかんは、新校舎にある職員室から遠く離れた旧校舎に来ていた。


旧校舎は、確かに古くてボロいが見た目だけは重厚感に溢れていた。


下手したら旧世界の建造物かもしれない。ハルマゲドンの影響で、旧世界の建造物は殆どが破壊され、今では大変珍しくなっている。


大丈夫かなぁ?先日手賀崎が派手に壊してたけど、、、

まぁ手賀崎が責任とってくれるらしいしな!


要はみかんを目標にしておきながら、クズさは全く変わらないようだ。


「おはよ〜。」


「は〜ざいま〜す。」


教室に入ると、適当な挨拶が返ってきた。

いちおう全員揃っているようだ。


偉い偉い、遅刻ゼロっと、学級手帳に出欠を書き込んでいると、神崎が近づいてきた。


「先生、おはようございます。昨日は、本当にありがとうございましたですわ。」


「おう!無事で良かったよ。今後も気をつけて帰るんだぞ。あと、昨日見たことについては色々問題あるから他言無用で頼む。オヤジさんとか、大変だろうけど頑張れよ。」


「了解ですわ。お父様がどうかしましたか?」


神崎は、キョトンとした顔で尋ねてきた。

あれ?神崎父って普通の人だっけ?昨日は調子悪かったのかな?


前も言ったが、神崎にとっては良い父親であることに間違いないのだ。


「頼むな〜、なんでもない、忘れてくれ。」


神崎が席に戻ると、ちょうど朝のチャイムが鳴った。


「じゃあ、朝のホームルーム始めるぞー。

今日は、みんなに重大発表がある。

このクラスに新しく副担任の先生がつくことになった。

みんな驚くと思うぞー、では先生、」


生徒たちは、思ったほど食いつきが良くない。つまらないなぁ〜


しかし、絶対の自信がある要はニヤつく顔を必死で隠していた。


廊下で待ってもらっていたみかん先生を投入すれば、驚くに違いない!


呼ばれたみかんは久しぶりの教室に懐かしさを感じながら入っていった。


しかし、教室のドアを開けたみかんは俯いている。


久しぶりに会う生徒たちと、どういう顔をして会ったらいいか分からなくなってしまったのだ。


それでも生徒たちは、誰だかすぐに分かったらしく、みかんのもとへ駆け寄っていった。


クラスが、一瞬にしてみかん色に染め上げられ感動のシーンが形成されていく。


みかんは涙脆いのか、昨日に引き続き生徒たちと再会すると号泣している。


それを生徒たちが慰めるという構図になっている。これじゃあ、どっちが先生か分からない。


ただ、これこそがみかん先生の強みなんだろう。


完全に蚊帳の外である要は、みかんと生徒たちが再会を喜び合うのが一段落するまで、謎のみかん先生分析を繰り広げていた。


生徒たちの興奮が収まって席に戻り始める頃には、ホームルームの時間はとっくに終わり、1時限目にだいぶ食い込んでいた。


これほどまでに、生徒に慕われている先生はかつていただろうか。


要はみかんと生徒たちの様子を観察して、あくまで真剣に自論を展開していた。


全員が席に着くと、要が緩んでいた空気を引き締めにかかった。


「これからは、俺とみかん先生でこのクラスを担当するからよろしくな!

それでだ、今日は能力測定を行うぞー。先生たちは準備してるから、体操着に着替えて校庭に集合してくれ〜。」


生徒たちは、それを聞くと露骨に嫌そうな顔をした。


まぁ名前からして能力の測定だしな、レジスタントのこの子たちには、またもや無能力者という残酷な事実を突きつけられる日になってしまうのだろう。


ただ、このクラスには色々と混ざっているようだがな。

特に、藍染桜楽はおそらくマスターだしな。彼女は規格外すぎるが、その他にもいそうだ。


俺が先生としてできるのは、この子たちを強くしてあげることだけだ。


まずは、可能性を提示してあげることが重要だな。


校庭は新校舎の方にあるため、朝来た道をわざわざ戻らなくてはいけない。


同じ敷地内にあるのだが、天下の早蕨学園は広大な敷地を有しているため、なかなかに遠いいわけだ。


敷地内には、路面電車まで走っており山の中腹にあるため眺めはいいのだが、敷地の奥にある旧校舎までは、路線が伸びていない。


そのため、うちの生徒たちはほとんどが自転車で通学をしているようだ。


俺も自転車持ってこようかなぁ、でも、この行き帰りはみかん先生と話せるからな、うーん悩ましい。


要とみかんは楽しく楽しく話しながら校庭に向かって行った。


要の中で、もはや選択の余地は無いようである。


校庭に着くと、他のクラスも同じく能力測定を行なっていた。


日本随一の神術学校だけあって、生徒の量と質を両方とも兼ね備えているようだ。


要は一通り校庭にいる生徒に目をやり、実力者をチェックすると、少しだけその生徒たちを試した。


目をつけた生徒たちに、一瞬だけ殺気を送ってみたのだ。


その結果、ほとんどの生徒がそれに反応して、要の方に振り返った。


しかし、振り返った生徒たちは数名を除いて、要のことをレジスタントだと認識すると、蔑んだような目で見て、また能力測定に戻るのだった。


要は、何かを納得したように頷くと能力測定の準備に取り掛かった。


準備がだいたい終わる頃、生徒たちは揃い始めていた。


誰もがだるそうにしており、他のクラスの生徒のことを気にしているようだ。


それも当然というべきか、今校庭にいるほとんどの生徒が、Gクラスの生徒を嘲笑うかのような視線を向けてきているのだ。


さらに、それは間違いなく要やみかんにも同様に向けられていた。


聞いてはいたが、これほどとはな〜。

なんとかしてやりたいが、今すぐにどうこうするのは難しいか、


なんとかこいつらが卒業するまでには、この状況を自分たちで打開するだけの力をつけてやりたいな。


教師としての新たな目標ができた要は、生徒たちとは反対にやる気に満ち溢れていた。


「なぜか注目されてるようだが、能力測定始めていくぞー。まずは、身体能力だな。じゃあ、100m走をやるか。」


要は、敢えて分からないフリをして机上に振る舞った。


その姿に、多少は安心したのか先程よりは他クラスからの視線を気にしなくなったようだ。


でも、まだ足りないな。こんな状況じゃ実力の半分も出せないだろう。

ここは俺が一肌脱ぐしかないようだな!


我ながらカッコいい、、、


「まず俺がお手本を見せるから、目を凝らして良く見てろよ〜。」


要はそう言うと、100m走のスタート位置についた。その表情は、珍しく真面目だ。


「みかん先生合図お願いします。」


「はい!分かりました。よーい、どん!」


みかんは元気な声で言うと、同時に旗を振り上げた。それに合わせて胸も揺れたため、男の視線を一気に引きつけた。

しかし、その動作は小学生みたいで可愛らしい。


可愛らしさと色気を両立させているみかんは、自然と人を惹きつける才能を持っているようだ。


蔑んだ目を向けていた他クラスの男子たちも、みかんを見ると今度は嫉妬の目をGクラスに向けていた。


そんなわけで、校庭にいたほとんどの人の目がみかんに吸い寄せられたことによって、要が既にゴールにいることを気づいたのは者は、ごく僅かだった。


そのごく僅かな者たちが、要の異常さに騒ぎ始めると、それは全体に伝播していった。


全く力を感じられないレジスタントの男が、まるで瞬間移動を使ったかのように2点を移動したのだ。


いくら色眼鏡を掛けようとも、この事実は驚かざるおえなかったのだろう。


先程まで、向けられていた蔑みの目は好奇の目に変わっていた。


「みかん先生においしい所を持ってかれるところだったけど、これでなんとかなったかな。」


状況の変化に満足した要は、今度は歩いて生徒たちのもとへ戻るのだった。


読んで頂きありがとうございます。

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