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Read New World  作者: りのあ
新世代編
48/55

22話 「状態異常」

 ミロクと敵の男が向き合う。

 見た感じ細身なその男は手に「長い刃のようなもの」を爪のようにつけている、恐らくあれが武器だろう。


「ミロク本当に大丈夫なのか?」


 カイザが心配そうに声をかける。

 それもそのはず、今のカイザは相手部隊の一人と本気(マジ)でやりあって身体もボロボロの状態。

 思ったより早く決着がついたにしては物凄いダメージであることなど、誰よりも本人であるカイザが理解している。


「なあに、そう簡単に僕は死にやしませんって」


 ミロクは持っているレイピアを数回まわすと、敵へと向けて恰好をつけた。


(本当は戦いなんて僕の得意分野じゃないんですけどね、デリトの姉御の為なら仕方ないな!)


「ケケケ…ミロクとか言ったかぁ、俺と当たるとは運が無かったなぁおい」

「ハッ、そういう言葉はフラグを建てる前提なんですよ」


 敵の男は「ギリッ!」と歯を鳴らすと、すぐに爪を構えてこちらへと飛んできた。

 ミロクは攻撃を左右にかわし、カウンターで剣を振るう!


「ケケケ、冥土の土産に俺の名前を教えてやるよ。聞いたことあるんじゃねえのか?『ガーゴイルのクライ』をよぉ?」

「ガーゴイルだと!?」


 ミロクは剣に力を込め、クライを突き飛ばすと後ろへと間合いをとった。


「上級ギルド『ガーゴイル』、その名を知らぬ者はいないほどの歴戦ギルドだな」

「ケケ、よくお分かりで。そうそのギルドが一人、クライ様とは俺のことよ!」


 確かにクライという名も聞いたことがある。

 なんでも様々な状態異常を引き起こす爪を武器とし、冒険者を襲うって話を。


「俺のこの爪は『モルヴォリアント・ドラゴン』の牙、爪、体液から出来ている。いわば状態異常の塊ってわけよ!」


『モルヴォリアント・ドラゴン』


 その生態は上級冒険者(プレイヤー)にのみ侵入を許された地域で、数少なく生息している希少な龍。

 存在は『古龍種』と呼ばれる遥か昔から生息している龍のみに与えられる称号をも受けている、それどころかクエスト難易度はレベル制限がかかる程。


「ヒヒ、状態異常を引き起こすことで有名な古龍の素材を使ったこの爪。コイツは俺にピッタリだぜぇ!」


 厄介なことになったな。

 あの古龍種の素材から作られた武器が相手となれば、俺なんて一捻り。

 しかも、あいつは歴戦のプレイヤー俺なんかが敵うような相手じゃない!


「ケヒヒ!いくぜぇ!」


 クライは自らの爪をクロスするように構えると、そのままミロクへと突進した!


「『シールド・オブ・ザ・ソード』!」


 ミロクの前方への"突き"が高速化し、相手の踏み入るスキのない刃の盾を作りだす。

 その光景に目を見張りながらもクライは突進を止めない!


「その脳を突き刺してくれる!」

「ヒヒ!やってみなぁ!」


 クライは刃と刃のギリギリの間を縫いながらミロクへと近づく、そして次の瞬間懐へと入り…


「『デビルズ・クロウ』!」

「しまっ…!」


 剣を止めたときにはもう遅く、クライの放つ暗黒の爪先はミロクの肉を食い破っていた!


「うぐっ!」

「喰らったな、今に毒が広がるぞぉ!」


 ミロクは自分のステータス表示を見ると、そこには『猛毒』『麻痺』が追加されていた。


(くそ、身体が動かねぇ!)


 その場に片膝をついてしまう。

 一秒、また一秒と時が経つにつれHPゲージもどんどん消費されていく。


 とうとう黄色に差し掛かった時、クライの攻撃が再度始まった。


「ん~動けないだろぉ?『デビルズ・クロウ』!!」


 もう一度ミロクへと攻撃する。

 傷口はゲームなのですぐに閉じるが、痛みは確実にミロクへと伝わっていた。




 ◆




「ヤロウもスフィアを入れてやがるんだな!?」

「あぁ、恐らくはアイツの爪にもスフィアが入っているんだろう」


 デリトとカイザの話を聞きながらも、視線はミロクのほうに固定している。

 俺がミロクと戦った時の宝石の威力、あれは凄いものだった。

 そういえばミロクの宝石からは炎が出ていたが…


「なぁ、デリト。ちょっとその宝石を貸してはくれないか?」

「ほう、気がついたかゼノ。」


 俺はデリトから宝石を受け取ると、その宝石をミロクへと投げ渡した。


「これは…」

「ミロク、そいつをお前の宝石と同じように使ってみろ!」


 ミロクは自分のスフィアを使っていた時のように宝石を前へと突き出し、願った。


「…傷が」


 ミロクの状態異常などが回復し、傷もある程度癒えていくのがわかる。

 やはり俺の勘に間違いはなかった。


「スフィアは攻撃系だけじゃないってことだな」

「…いいなぁ」


 フィリアが指を咥えてスフィアを見つめているが、そう簡単にほいほい渡してもいい代物ではない。

 今回はミロクがピンチだったからである。


「ケヒヒ、俺のスフィアとどっちが上かな!」


 もう一度クライが爪を構えてこちらへと飛ぶ!


「僕の勝ちだ!」


 ミロクの身体から光があふれ出し、足元を包み込んだ。


「『フォート』!」


 初級魔法であるフォート、その効果はただ空中浮遊が出来るだけだが…


「『リヴァーシング・ブレイド』!!」


 フォートを解除して空から勢いよく落下してくるミロク、それを迎え撃つべくクライは爪を突き出した!

 しかし、ミロクはクライを叩き切らぬまま着地し…


「英語を覚えろ…『燕返し』だッ!」


 下からクライを渾身の力で斬り上げた!


「なんだとぉぉおおおっ!?」


 クライのHPは斬り上げている間に底をつき、その実態は武器だけを残して消滅していった…


「やれやれ…だな!」


 ミロクはこちらへと親指を立てると、満面の笑みで笑った。



「"グッジョブ"!!」

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