21話 「スフィア奪取戦」
デリトと共に基地内への潜入に成功した俺たちは、とある部屋の前まで来ていた。
「ほう、これまた立派な扉だねぇ」
「あぁ、我々の場合は本部なんて無いからな」
「悪かったな、私の甲斐性が無くて」
本当にそうかもしれない、何故かデリトは大量の敵を倒しているにも関わらず金が無い。
故に俺の生活費の負担は重くなる、ただでさえ現実でも重いのにゲームでも重かったらキリがない。
そのうえ、今となってはフィリアの分も生活を支えなくてはならない。
「えっと…そろそろ突入しませんか?」
「うむ、そうだな」
シロによって本来の目的へと引き戻された俺たちは、ゆっくりと扉を開いた。
「コイツは…」
一瞬、室内の眩しさに目を奪われた。
全てが白一色の無機質な空間、体育館四個分はあるであろう広さを誇っている。
「こりゃあ、ずいぶんとまぁ光が反射するわけだ」
その広い部屋の奥にのみ唯一出口らしき扉があり、その前には男が立っていた。
男はゆっくりとこちらへ近づくと、軽く一礼した。
「ようこそお越しくださいました、侵入者御一行様。」
するとデリトも前へとでる。
「侵入者…ってのは頂けないなぁ?せめてそうだなぁ…」
「『未来の開拓者』とでも呼んでいただけるかな?」
男へと指を鳴らして決めポーズをとる、
こんなところに来て、何を格好つけているんだか。
「これは失礼、ですが…土足で勝手に他人の基地へと乗り込んでくる貴女方も十分無礼なのでは?」
「まぁ、そう言うな。私たちはデリートスフィアの回収に来ただけだ」
作戦内容や目的を何から何まで喋ってしまうデリト、
俺はそれを止めようとするがミロクに止められる。
「まぁそう焦りなさんな、デリトの姉御のことだ。何か訳があるにちげぇねぇ」
確かに、あのデリトがミスなんかで口を滑らせるとは思えない、きっと何か訳があるのだろう。
と俺は信じたい!
「では、侵入者にはご退場願いましょうか」
男のかけている眼鏡が光る。
「来た!」
デリトがニヤリと笑った、これが作戦なのだろう。
「さぁ!お前たち、侵入者を排除しなさい!」
男が叫んだ途端、後ろの扉が開き5人のキャラクターが飛び出してきた。
「な、なんだアイツら…」
五人のキャラクターは全員、似たような雰囲気の武器を装備していた。
「カイザ、お前からいけ。恐らくアイツは一対一でのバトルをさせようって魂胆だ」
「お、おう…そ、それは構わないが…」
腑に落ちないままカイザは前へと出る、それに対して相手もカイザのようにガタイのよい男を出してきた。
「悪いが手加減はできない」
「ヘッ、いいぜ。来いよ」
二人とも武器を構え、飛び出す!
「うおおおおっ!」
「どりゃああっ!」
相手の斧とカイザのハンマーがぶつかり合う、反動によって二人とも後ろへと下がった。
「やるじゃねぇか!」
「斧なんかには負けんよ」
いかにも犯罪者のような男が斧をもう一度振り上げて飛びかかる、無論カイザはかわしたが少々掠ってしまった。
「ぬぐうっ!?」
掠った腕に激痛が走る、思わずその場にハンマーを落としてしまった。
「ヘヘ、教えてやるよ。この武器にはなぁ、お前らの探し求めているデリート・スフィアが一つ入っているんだよ!」
周りの瞳孔が開く、まさか戦う相手の武器にデリート・スフィアが組み込まれているとは誰も思うまい。
いや、デリトだけは気づいていたのかもしれない。
「カイザ、構わない。やれ」
「そんなこと言っても、やつの強さは五分五分…ダメージ付きってんなら話は別だ!」
しかしデリトはその言葉を受け付けない、ただ「やれ」とだけ言う。
「畜生…ならどうにでもなれ!」
ヤケクソになったカイザは足元に先ほど落としてしまった槌をもう一度拾いなおし、敵へと向かっていった。
「ヘッ!そんなもの効くかって…」
「『グラウンテッド・バースト』!!」
瞬間、辺りは謎の空間に包まれる。
まるで稲妻が走っているように演出されているその景色からいきなり四つの柱のようなものが現れ、そのあとにはその柱に支えられる城のようなものが現れた。
「『アレクサンダー』ァァアア!!」
その城のような物体からは主砲のようなものが現れ、敵へと狙いを定めた。
「な、なんだありゃあ…っ!」
「…召喚獣」
「あぁ、フィリアの言う通り。あれは召喚獣だな、ただし召喚師のクラスじゃなくとも呼び出せる特殊な召喚獣だ」
アレクサンダーの主砲は周囲の光という光を全て吸い込み、辺りを漆黒の闇へと叩き落した。
「な、なんだ!?何も見えないっ!?」
敵はパニックへと陥り、斧をただただ振り回す。
が次の瞬間、今までのそれとは裏腹にあたり一帯は光の渦へと飲みこまれた。
「うっ…ぐあぁぁあああっ!!」
アレクサンダーが吸い込んだ光エネルギーを一気に射出したのだ、そのエネルギーの塊は敵へと命中し存在をもみ消した。
「うぅ…」
全員が眩しさに耐えかねて閉じていた目を開けたとき、そこにはもうカイザ以外はいなかった。
「へっ、まぁ…とりあえず1人目って、とこ…だ…」
勝利をもぎ取ったカイザはその場へと倒れ、気を失った。
「ふっ、よくやった」
デリトも何気にうれしそうである。
みんなでカイザの手当てをしているときに気がついたのだが、どうやら召喚には非常に膨大なMPを消費するらしい。
「じゃあ、次はお前が行け」
休む暇もなく、敵の眼鏡はまるで道具のように使いを出してくる。
「そんじゃ、僕がいきますかね」
槍を二、三回頭の上で回すとミロクが堂々と前へと歩み出ていった。
「よろしく頼むよ」
「ケヒヒヒヒ…せいぜい気をつけなよ…ヒヒッ」
第二戦の火ぶたは切って落とされた!




