↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Read New World  作者: りのあ
新世代編
42/55

16話 「ゴーデスの願い」

 ゲテルグルブ東の闇市、

 そこに一台の鳥馬車が到着する。


「ん?あのマークは第一階級の鳥馬車だ」

「女を捕まえたかなんかだろ、女だけ回収しておけ」


 紅い鎧を着た男達に誘導され、鳥馬車はインスタント・テレポートゲートへと通された。

 ゲートの先には洞窟があり、大量の兵が立っている。


「よし、荷台を確認しろ」

「はっ!」


 兵の中の一人が命令し、荷台へと近づく。

 そしてカーテンを開くと…


「へへ…女が二人と…ん?ギエッ!!?」


 荷台を覗いていた兵が勢いよく吹き飛ぶ、

 そのまま地面へと落下し消滅した。


「な、なんだ!?」


 荷台からは白銀に輝く鎧を纏った大男が1人と女キャラが2人、

 鳥馬車の運転手と思われた男がフードを脱いで4人目。


「誰だ貴様ら!」

「俺の顔を覚えていないのか、第二階級ごときが」

「お、お前は…"カイザ"、生きていたのか!!」


 兵士が一斉に剣を構える、

 がコチラは構えない。


「ミロク」

「はいよ」


 ミロクが右手を前に出すと五本の指さき全てに火がともる、

 そして放つ。


「『ヴァーン・トリニティ』!!」


 思わずその場を離れようとするが間に合わず、

 兵士は全員消滅した。


「よし、先に進むぞ」


 デリト達が洞窟内へと入っていく、

 その様子を眺めている者が1人。


「ほほおー面白そうなことになっているじゃないかァ~」


 被っている帽子の鍔を直し、黒いコートを脱ぐと男は崖から飛び降りた。




 ◆ ― レッド・スコーピオン/本部内部 ― ◆


「さぁて、ギルマス様はどこかな~?」


 洞窟内を黙々と歩き続ける、どうやら内部は一方通行のようだ。


「本部なのに一方通行なのか?」

「あぁ、俺たちのギルマスはゴチャゴチャしたのが嫌いだからな」

「そういうのだけ聞いてるといい人そうなんだがなぁ…」


 ギルマスのキャラがよくわからなくなっている最中(さなか)、先頭を歩いていたデリトが扉に気がつく。


「ずいぶんデケェ扉だなぁ、僕の背丈の何倍だろう?」

「俺たちのギルマスは目立ちたがりだからな」

「だからそのギルマス、キャラが掴めねぇよ」


 ドアをゆっくりと開く、その先には大広間があり…


「よぉ、今俺達のギルドを嗅ぎまわっているってのはお前らか」


 一番奥には大きな玉座があり、そこには頬杖をついた男が座っていた。

 恐らく、奴がギルマスだろう。


「うむ、間違いはない。お前たちを潰しに来た」

「ハッキリ言うんですね…」

「ほう、お前たちがギルドを潰すと?」


 男はニヤリと笑うと、それに応じるようにデリトも不敵な笑みを浮かべた。


「じゃあちょっとゲームにしようか?おたくらのギルドは普通に戦えば相手にならないんでねぇ」

「…っ!言ってくれるじゃあないか、いいだろう。乗ってやるよ」


 想定外の返答に男は一瞬戸惑いを見せるが、すぐに元の勝ち誇ったような表情へと戻る。


「じゃあ説明しよう。簡単な話だお前の部下の中から一番強いやつを出せ、ソイツとこいつらビギナー三人を戦わせる」

「おやぁ?三体一は卑怯じゃないのかい?」


 言ってやったりといった顔で男は言い放つ、

 がデリトと口で勝負するなど勝敗以前に勝ち目がない。


「ビギナー三人に負ける程度の部下しか持っていないのか」

「…くっ!わかった、いいだろう」


 男が手を鳴らすと玉座の左右に一組の男女が姿を現した。

 片方はいかにも悪役といった外見をしており、もう片方は太っている。


「ほう、悪女と頭悪そうなのが出てきたか」


 絶え間なく煽る、

 挑発とは言えないような言葉で煽り攻める。


「俺はこの"ゴーデス"をお前ら三人と戦わせてやろう」


 男の合図と共に玉座の横にいた男が前に出てくる。

 口からは涎を垂らし、息遣いも荒い。


「グヒー…グヒー…」

「うげぇ…僕らあんなのと戦うんですか!?」

「俺も気は進まんがな、我慢しろ」

「汚いのはちょっと…」


 全員がドン引きする中、

 ゴーデスは勢いよく上へと飛び上がった。


「なんだ?」

「くるぞっ!」


 勢いよく天井ギリギリまで飛び上がったゴーデスはそのまま地面と垂直に落下してきた、

 全員武器を構えてガードを試みるが間に合わない。


「ぐあっ!」


 着地時の風圧に負けミロクが飛ばされる、

 カイザはその場に槌を構えたまま微動だにしない。


「まぁ、腐っても元第6階級の戦士ってとこか」

「お前が来てから階級制度が設立されたが、意味を成していないんじゃないのか?」

「なに?」


 カイザは武器を構えなおし、勝利を確信したように笑う。


「この鎧の力、見せてもらうぞ!」


 槌を振り下ろす、

 流石は槌使いといった動きで鉄の槌を軽々と振り回す。


「グフッ!鎧なんて砕いてやるブフッ!」


 カイザは槌を振り回す手を止め、身体を前に突き出す。

 まるで攻撃してくださいと言わんばかりに。


「喰らえ!おでの必殺の拳!」


 先ほどの攻撃でハッキリしていること、

 それはあのパワーで攻撃されたらタダでは済まないということだ。


「うおおおおおっ!!」


 気勢を上げ、

 足を開き仁王立ちの体勢となったカイザはもろにその拳を胴体へと受ける。


「決まったグフ…」


 確かに胴体にクリティカルヒットしたゴーデスの拳、

 先にその反動を受け崩壊したのは…


「効果発動だ」

「何ィ!?」


 その拳のほうだった、

 拳の先から亀裂が走り右手が崩壊していく。

 カイザのクラインテッドアーマーの効果が発動したのだ。


「うごあああっ!こんなの嘘ブフゥ!!」


 崩れていく右手を抑えながら背中から転倒するゴーデス、

 それを見下すように槌を振り上げるカイザ。

 この勝負は既に決着がついていたのだ。


「ゴーデス!確実にダメージは与えられているわ、そのまま攻撃をするのよ!!」


 玉座のほうから飛ぶ命令、

 ゴーデスはそれに忠実に従う。


「わ、わかったグフ…」


 その場に立ち上がり、

 残っている左手で更にカイザの鎧を殴る。


「やめろ!俺にダメージを与えることはできな…」

「その調子よゴーデス!確実に相手のHPは減っているわ!」


 左手が砕け、

 両腕が無くなったら今度は足で攻撃をする。


「テメェ…女ァ!気づいてやがるなァ!?」


 玉座の手すりに座る女は「作戦通り」と言った顔で笑う。


「畜生、おい!ゴーデス!お前も攻撃を止めろ、このままじゃ死ぬぞォ!」

「無理ブフ、おれはクインさまの命令ブフ!」


 唇から血のエフェクトが出るほどに歯を噛みしめるカイザ、

 ただひたすらにカイザの鎧へと攻撃を続けるゴーデス。


「そろそろネタばらしといこうかしら」

「ブフ…?」


 クインが口を開く、

 そしてそのネタばらしとは…


「カイザの口元を見てみなさい?」


 ゴーデスはカイザの口を見た、

 そこからは血のエフェクトが流れているだけで…


「ブフッ!?」


 否!

 血はみるみる間に治まっていく!


「いくら馬鹿なあなたでも分かるでしょう?」


 ゴーデスはあたりを見回す、

 そこに答えはあった。


「お、女…!」


 そう、シロがカイザに対して『リヒルト』を唱えていたのだ。

 故に常に回復状態のまま相手にのみダメージを返していた。


「丁度アナタのHPも底をつきそうだから答え合わせってわけよゴーデス、アナタが次にその足を鎧から離した瞬間にとどめね」

「ブフ…!」


 ゴーデスの右足はカイザの鎧に触れていた、

 蹴りを決めている最中だったのだ。

 そしてゴーデスが次にこの右足を離した瞬間に死亡(ゲームオーバー)確定だ。


「落ち着けゴーデス!いいか、今回復を…」

「コイツを…」

「え?」


 ゴーデスが懐から袋を出す、

 その中身は金貨でいっぱいだった。


「これは…」

「コイツを俺の実家の母ちゃんのところに届けてほしいブフ…俺が今までここで働いて稼いだ金ブフ…」


 カイザがその袋を受け取ると、

 ゴーデスは清々しい笑顔で足を鎧から離した。


「うがぁぁあああっ!」


 今までゴーデスが蓄積したダメージが一気に襲い掛かる!

 ゴーデスの鎧を砕き、四肢を吹き飛ばし、最後にはゴーデスもろとも消え去った。


「ゴーデスウウウウ!!」


 カイザが手から袋を落とす、

 そこに溢れた分の金貨が散らばった。


「おい…あのゴーデスとか言うやつ"ネイティブ"だな?」


 デリトが睨みつける、それに対して笑い返す。


「ネイティブ?あぁ、原住民…だっけか。そうだよアイツはNPCさ」


 その一言を聞いた時、

 デリトの歯が「ギリッ」と音をたてた。


「お?キレたか?」

「フフ…なぁに怒りを表情に出すのはともかく、それを行動に出すのは阿呆のすること。さっさとそこのクインとかいう女を出しなよ」


 ギルマスが手を叩くとクインと呼ばれる女が前に出る、

 デリトも共に前に出る。


「ほう、まぁまぁってところか」

「あら、意外と強口を叩くのね」

「ま、戦うのは私じゃないがな」


 デリトが剣を地面に突き立てると、

 そこには紫色に輝く魔法陣らしきものが出現した。


「紹介しよう…」


 魔法陣の中から誰か出てくる、

 どうやら女性のようだ。

 鎌を持ち、黒いドレスを纏っている。


「カルマだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。