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Read New World  作者: りのあ
新世代編
40/55

14話 「ゼノの居ない世界」

 現実に戻ってきた、

 あんなに修羅場だったにも関わらず現実は静かなものだ。

 やはり所詮はゲームの世界、ということなのだろうか…


「出かけるか」


 家を出て本屋に向かう、

 なんとなく久しぶりに感じる外の空気は俺の身体へと染みわたる。


「この本買おうかな、いやでも財布が痛いなぁ」


 日常、

 何も変わらない暇つぶし程度の日々。

 本を元の場所に戻して本屋を出た。


「刺激が足りないってことかな…」


 刺激、スリル。

 生と死の駆け引き、これが生き甲斐だったのかもしれないな。


「帰るか」


 放心状態に近い精神状態のまま家へと帰宅する、

 ここまで来たらもはや麻薬(ドラッグ)と同レベルだなゲームも。

 と思ってしまう。


「今から、ログインって出来るかな」


 機械を装着し、ゲームを起動する。

 初めてプレイした時と同じタイトル画面が浮かび上がり、

 ログインウィンドウが飛び出てくる。


「…」


 無言で自分のID、パスワードを入力していく。


「ログイン…」


 ログインボタンを押した、がログインが出来ない。

 画面には『あと10時間ログインを制限されています』とだけ表示されている。


「ハァ…だーもうっ!」


 勢いよく頭の装置を外して投げ飛ばす、

 そう簡単には壊れないとは思うが…やりすぎたか?


「あぁ…ゲームしてぇ…」




 ◆ ― ルーラー/酒場 ― ◆


「納得いきません!」


 シロが酒瓶が揺れるほどの勢いでテーブルを叩く、

 デリトはそれを受け流していた。


「ログアウトさせるにしたって、殺す必要は無かったじゃないですか!」

「ハァ…何もわかっていないんだな、あいつはきっとああでもしないとログアウトしない」


 それってどういう…


「アイツの情報をこっそり調べていたのだが、あいつは"本気"と書いて"マジ"と読むタイプのゲーマー。もといゲーム廃人だ」


 ゲーム廃人…


「そういう言葉を使うと批判を買うかもしれないが、事実あいつはゲーム無しでは生きられない」

「そんな…いくらなんでもそんなことは」

「アイツの元やっていたゲームがそうさせたんだ」


 ゼノの元やっていたゲーム、

 それは廃人になるまで悪化させるようなゲームだったのだろうか?


「ま、そんなことはいいさ。それよりもアイツが来る前に敵のアジトに向かうぞ」

「え?」


 ゼノを置いていくってこと?

 もしそうだとしたら一体どうして、

 いやゼノの努力は?


「何余計なことを考えているんだ、ゼノを置いていきはしないさ。その妄想を止めろ」

「す、すみません…」


 これが本当の思い過ごしってやつでしょうか…


「まぁ、アイツのリスポーン地点にはリンクもいることだしな。こっちに飛ばしてもらえるだろ」

「なんだそのチート、俺の時にはしてもらえなかったぞ」

「当たり前だ、リンクはいわゆるGM(ゲームマスター)。そう易々と手を貸すわけないだろ。」


 確かに、

 私はまだ死んだことが無いので世界樹を見たことはありませんが、世界樹にはこの世界を維持している女神が居るとか。


「ま、女神というよりは精霊だけどな」

「え?」

「いや、そんなことよりもう出発するぞ」


 まだデリトは何かを隠している、

 確信はないがなんとなくそう思う。

 態度、表情、その他諸々を踏まえてそう思っている。


「過去にいったい何が…」




 ◆ ― ??? ― ◆


「あー、ゲームしてぇ!ゲームが足りないっ!」


 布団の上をのたうち回る、

 しかしどうあがいてもあと10時間はログイン出来ない。

 この現実は変わらない、受け止めるしかない。


「仕方ない、寝るか」


 果報は寝て何とやら、

 ゲームのメンテも寝て待つのがベストアンサー。


「ということでお休み」


 俺は布団にくるまった。




 ◆ ― ルーラー・ズ・シティ/北の野原 ― ◆


「さてゲテルグルブまではここを北に真っすぐ、ってところか」

「よくもまぁ、こんな長い道のりを越えてまでラクスラズルに根をはろうとしたもんだ」


 ルーラーではアイテム屋に寄った、

 そこで『スケルトン・マント』やその他諸々を購入し、情報も得た。


「そういえば酒場の店員の言っていたあの話、ちょっと引っ掛かるな」

「あぁ『Joker』とか言うやつだろ?私も気になっていたところだ」

「それって俗にいうP(プレイヤー)K(キル)プレイヤーでしょうか?」


 カイザは首を傾げるだけで答えない、

 きっと情報も殆どないのだろう。


「そのJokerってやつも"レッド・スコーピオン"について嗅ぎまわっていたという話しだ、戦闘の覚悟くらいはしておけ」


 シロは唾を飲みこむ、

 きっとJokerは強い。

 それは人々の間で噂になっている時点でわかりきっていること、

 回復役の私なんかに勝ち目は無い。


「大丈夫、シロちゃんは僕が守るからさ~」


 いきなり後ろから抱きつかれたものだから思わず「ひゃあっ」と声を上げる、

 そして振りきった際の勢いに乗せて手の平でミロクの右頬を一撃。


「わ、悪かったよ~」


 痛みを和らげるように自分の右頬を撫でるミロク、

 シロは目を合わせない。


「全く、何を遊んでいるんだお前たちは。もう行くぞ」

『はーい』


 デリト達はルーラーの町を北に向かって後にした。

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