13話 「三日目」
なんやかんやで結局ミロクをパーティーに入れてしまった、
戦力が増えるのは嬉しいことなのだがコイツに関しては危険意外に感じられるものがない。
「一応、お前のクラスと武器を聞いておきたい」
「僕のクラスは魔法剣士で武器は『疾風のレイピア』、さっき戦っていた時に使っていたヤツだよ」
俺は念のためミロクのステータスを確認する、
攻撃力や魔力は勿論のこと武器も確認する。
『疾風のレイピア』 レア度:☆☆☆
攻撃力+10
魔力 +5
効果:攻撃時に素早さを+10される。
なるほど、
確かに魔法剣士はお似合いの武器だ。
「魔力も上がるし素早さもその名の通り上がる、か」
「そうそう、結構気に入ってるんだよなぁ」
「まぁ、それに比べて俺の武器ときたら…」
自分のステータスウィンドウを開いてため息をつく、
ミスリルソードってもう初期武器と大して変わらない強さだ。
「まぁ、その程度の武器も使いこなせていないようだからな。まだまだ未熟だ」
「そういうデリトはどんな武器を使ってるんだよ?」
デリトは意表をつかれたような表情を見せ、その後しぶしぶ武器を見せてくれた。
「なんだこれ…カッコいいな…」
「僕は見たことが無い武器だね」
「俺も見たことないぞ」
「私もです」
全員テーブル上に置かれたデリトの武器に目を惹かれていた、
それどころか他のプレイヤーまでチラチラとこちらを見ている。
「ちょっと君、その武器を見せてもらってもいいかな?」
いかにも戦士ですというような容姿をした女性がデリトに話しかける、
デリトが無言で頷くと女性はすぐさま剣に飛びついた。
「うーん、見たことが無い剣だなぁ…ん?」
酒場にいる全プレイヤーがその女性とデリトの剣に注目していた、
それもそのはず、あの剣はどこか誘惑的な魅力がある。
細身の刀身に加え、光に当たるたびに輝く美しく煌びやかな翡翠色をした刃、
こんな精巧な作りをした剣がレアじゃないわけがない。
時々、
見掛け倒しの武器もあるがコイツはそんなレベルじゃない。
「武器名は…『ナイトメア・ソード』…」
武器名を見た女剣士は一瞬にして青ざめる。
手が震え、持っていたナイトメアソードを地面に落としてしまう。
床は物理破壊不可能オブジェクトであるにも関わらずナイトメアソードは酒場の床に突き刺さった。
「ヒィッ!」
酒場にいたもの全員が俺とデリトを除いて後ずさりをする。
剣から発せられる力、そこからはただならぬパワーを俺でも感じ取れた。
「わかったか、お前らに扱える代物じゃないわかったら…」
「なぁデリト」
「ん?」
なんとなく、
本当になんとなくだったのだが…俺は言ってしまった。
「俺にその剣で稽古をつけてくれないか」
「ほう?」
場が一瞬にして凍り付く、
すぐにカイザが「やめとけ!」などと制止に入ったが俺は推しきってしまったのだ。
「時間も丁度いいし、いいだろう。表に出ろ」
(あれ?この展開、どこかで見たような…)
言われるがままに酒場の外へと出る、
デリトはすぐには剣を抜かずに片手を前に出して構えていた。
「いいのか、これでもLv.20にはなったんだぜ?」
「身の程を知れ馬鹿者」
もう一度あの技を使えば勝てるかもしれない、
速度が上がるあの技なら!
「うおおおおおっ!」
足に力を入れ、剣を強く握る。
狙うはデリトただ一人、遠慮はいらない。
ただまっすぐに"斬る"!
「今だ!」
デリトの間合いに入る直前、
俺は"あの技"を発動した。
(来た!)
周りが止まって見える、無論デリトもだ。
これが人知を超えた速度の世界、俺の秘技。
「貰った、これを使えるのは今は3秒だけど…十分だ!」
デリトに切っ先を向け、
一気に右足に力を入れる。
「貰ったぁぁぁあああっ!!」
デリトの喉元、
そこに剣を突き刺す!
「え?」
足が浮く、
というよりも雲を踏んだように空ぶる。
◆ ― ルーラー・ズ・シティ/酒場前 ― ◆
「!!」
瞬間、
私にはゼノが消えたように見えた。
でもその後、点滅したように現れて…
「そんな…」
ゼノの右足が消えた。
「なん…だと…」
デリトが背中のナイトメアソードをゆっくりと引き抜く、
そして引き抜き切ったと思った次の瞬間には既に鞘に納められていた。
「一体何が?」
そう言う間もなく目の前のゼノはバラバラに、八つ裂きになった。
「いやぁぁああっ!」
そして消滅エフェクトと共に消滅した。
「おいデリト!なんてことを…」
「いや、丁度時間だったものでね」
デリトさんが…
ゼノさんを…
「どうして殺したのかって聞いてんだよ!」
「だから時間だったと言っているだろう」
時間?
何の?
わからない。
「逆に、今殺して強制ログアウトさせていなかったら"ゼノ本体"が死んでいたぞ」
「どういうことだ?」
デリトは答えずに店内へと戻っていった。
◆ ―???― ◆
「ん…んう?」
目が覚める、
見覚えのある天井と見覚えのある壁。
「戻ってきたのか…」
身体の節々が痛い、
ちょっと動かすだけで筋が切れそうだ。
「ふぅ…」
それと…
「お腹すいた…」
約3日間も飲まず食わずでずっと眠っていたんだ、
正確には仮眠状態に落とされていたんだが。
「何かあったっけなぁ…」
頭をかき、布団から出る。
「今日はゆっくり休むか」
日常に戻ってきたんだ。




