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Read New World  作者: りのあ
新世代編
31/55

05話 「クエストの受注」

 俺はデリトにとある建物の中へと連れてこられた、

 そこらの建物よりも数周りは大きい建物である。


「ここって…」

「『クエストカウンター』とでも言っておきましょうか、ここでクエストを受注できるのよ」


 なるほどな、

 と思いながらあたりをうろついてみる。


「お?」


 ふと、

 いくつか先のクエストカウンターに見覚えのある姿を見つける。


「あの娘は…」


 シュミレーションルームの廊下でぶつかった僧侶姿のアバターを使っている少女だ、まわりには4人の男キャラが居る。


「気になるな…」

「そうですね…って、何でお前まで見てるんだよ!」


 唐突に耳元で聞こえたデリトの声に驚いて反応する、

 がしかしそのせいで彼女を見失ってしまった。


「あの娘、笑っていなかった」

「そうですか?別にクエスト前に笑っている必要なんてないと思うけどなぁ」

「そうじゃない、周りの男どもと比べて…だ」


 確かに女キャラ1人に対して、

 男キャラ3人というのもどうかと思う。


「まぁ、リアルでは女かどうかもわからないんだけどな」

「いや?彼女は女だぞ」

「どうしてわかる?」


 するとデリトはメニューを表示させて俺に見せる、

 メニュー画面は俺のとは少し見た目が違うようだが。

 どうやらそこには先ほどの娘のデータと思しき画面が表示されていた。


「これが…てかどうしてこんなものが」

「最初に様々なものを身体に装着したはずだ、あれでお前たちプレイヤーのデータは大体わかる」

「てか、どうしてお前がそんなもの持ってるんだよ」


 デリトは「さぁ?」という素振りだけを見せてカウンターへと戻っていった。


「なんなんだよ全く…」




 ◆ ―ルーラー・ズ・シティ・酒場― ◆


 酒場というのは想像通りにガラの悪い人々が意外と集まるもので、

 ルーラーにおいては更に治安が悪い。


「おいっ!酒だ、酒を持ってこい!!」

「は、はい!ただいま!」


 カウンターに大きく股を開きながら座る男の怒鳴るような注文に、

 店員はビクビクしている。


「たっくよぉ…」


 完全に酔っている男は、

 ブツブツと文句を言いながら自分の武器を磨いていた。


『キィ…』


 ドアを開ける音とともに一人の男が入ってくる、

 男はそのまま真っすぐに席へと向かった。

 酔っ払い男の隣の席へ。


「んだぁ?見ねぇ顔だなぁ?ん~?」


 早速、

 隣に座った男へと絡み始める酔っ払い男。

 しかし、男は微動だにしない。


「シカトこいてんじゃねぇぞゴルァ?」

「臭いな…」


 やっと男が口を開く、

 がそれは挑発の言葉を出すためだった。


「んだとぉ!?もっぺんいってみろぉ!」


 すると静かな男に対して酔っ払いは磨いていた斧を振りかざす、

 男は冷静にそれを避けると、酔っ払いのイスを蹴り飛ばして足を酔っ払いの股の下へと入れる。


「大股開いて酒を飲まれると、テメェの小便臭くてたまらねぇって言ったんだよッ!!」


 男は勢いよく酔っ払いの男の股間へと足をけり上げる、

 無論酔っ払いのほうは大ダメージを受けて口を開いている。


「床にでも寝そべっていろ」


 その言葉に操られているかの如く、

 酔っ払いは地面へと倒れた。


「あ、あの!」


 カウンターには先ほど奥へと下がっていった店員が戻ってきていた、

 客の視線もこちらへと集まっている。


「あ、ありがとうございます!」

「なに、この店の店長から連絡を貰ってね」


 店員が店長のほうを見ると、

 申し訳なさそうに店長は笑っていた。


「あ、そうそう。これをテイクアウトしたいんだが…」


 男がメニューを指さして見せてくる、

 勿論頼まれたものは持ち帰り用に包んで渡した。


「ありがとう、また何かあったらここに連絡してくれ」

「は、はぁ…」


 男から名刺のようなものを渡され、

 店員は少し反応に困った。

 が、名刺にしては黒かった。


Joker(ジョーカー)…?」


 その名刺には"Joker"という文字だけが書かれていた。


(あの人の名前かな…?)




 ◆ ―ラクスラズル・東の平原― ◆


 街はずれの広い草原でゼノは剣を振るっていた。


「この世界に草原なんてないって言ってたのに、あるじゃないか」

「ここは草原じゃない、待ちまずれの未開拓の土地だよ」

(別に草原でもいいと思うのだが…)


 デリトの言う修行というのは、

 ただ剣を振るうだけなのだろうか。

 そう思い始めていた矢先、次の課題が出される。


「よし、じゃあ次よ。」

「やっとか…」

「この土地には三種類のモンスターが居るわよね?」


 確かに三種類いる、

「ブルート」というイノシシのようなモンスター、「バグナイト」という空中攻撃系の虫系モンスターと「グラード」というサイのようなモンスターだ。


「その"ブルート"を50体狩りなさい」

「50体も!?」

「それと、ブルート以外のモンスターへの攻撃は禁止よ。もし相手から攻撃してきたら避けて、ブルートだけを狙いなさい」


 無茶苦茶だ、

 どうしてほかのモンスターには攻撃してはいけないのか…


「ほら、さっさと済ませる」

「はいはい…」


 俺は言われた通りブルートへと斬りかかった、

 ブルートは突進以外の攻撃はせず、比較的倒しやすいモンスターだ。


「よし!まずは一体目!」


 だがそう思い通りにいきもしない、

 ゼノは後ろから走ってきていたもう一体のブルートに弾き飛ばされる。


「うあっ!!」


 そのまま草の上へと背中から着地した、

 間髪入れずにブルートが次の攻撃へと入る。


「くそ…だが次は油断しない!」


 ブルートを迎え撃つようにゼノは剣を構える、

 それと同時に腕に痛みが走る!


「なにッ!?」


 腕は麻痺して剣を落としてしまった、

 ゼノの腕を刺したのはバグナイトだった。


「畜生、この虫ヤロ…」


 剣を左手で代わりに拾いなおして、

 バグナイトに斬りかかろうとしたその時、

 デリトの言葉が脳裏をよぎった。


『ブルート以外のモンスターへの攻撃は禁止よ』


 ゼノは「チッ」と舌打ちをすると、

 バグナイトから攻撃目標を変え、ブルートへと剣を向けなおした。


「いいぜ、やってやんよ…!」


 ここからあと49体を倒さなければならない。

 ここからゼノの猛烈な修行が始まるッ!


「さて、私は昼寝でもするかな」


 その頃、デリトは眠りにつこうとしていた…

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