04話 「路地裏の痕跡」
辺り一面に輝くような緑の草達、
気持ちの良い風の香り。
鼻につくような鉄の香り…
「鉄ッ!?」
俺はハッと起き上がった、
辺りを見回すとデリトが立っていた。
「ほう、起きたか」
恐らく、
先ほどの鉄の匂いはデリトの持つ剣からだ。
「起きたなら早速顔を洗ってこい、近くに湖があるはずだ」
なぁんか話し方も変わってるし、
妙に意気込んでいるんだよなぁ…
俺は言われた通りに近くの湖へと行き、
そこで顔を洗った。
「ふぅ…さっぱりしt…」
ん?
なんか妙に静かな湖だな、
物音ひとつしないぞ。
「ちょっと、不自然だな」
後ろへと軽く後ずさりをしたその時、
足元の小枝を踏んでしまった。
『パキッ!』
「しまっ…!」
海面に何かが映る、
そう思ったのと同時に勢いよく影が飛び出した!
「な、ななな…っ!?」
海面からは青い鱗が輝く大きな竜が勢いよく飛び出てきた、
あたりには雨のようにあふれた水が灌ぐ。
「ヤバイ…ヤバすぎる…ッ!!」
俺は急いで踵を返してデリトのいる丘へと戻ろうとしたが、
先ほどの水で足が滑ってしまった。
(あ…これ死んだ…)
そしてその水竜が大きく口を開き、
俺へと勢いよく顔から…
『ガブッ!!』
ブザーが響く、
あたりの草や木が消えて普通の床へと戻る。
周りは何もない無機質な空間だ。
「え?」
俺が驚いて口を開けていると、
剣を収めながらデリトが近づいてくる。
「ハァ…お前ってやつは」
「これって…?」
デリトは呆れながら説明を続ける。
「『シュミレーションルーム』だよ、今のこの未来的ゲームにあんな大草原なんてあるわけないだろ」
「た、確かに…」
デリトは出口に向かいながら手招きした、
俺はそれに申し訳なさそうについていった。
「それにしてもここは広いなぁ…」
『うわっ!』
廊下の広さに気を取られていた俺は他のプレイヤーにぶつかってしまう。
「あっ!ご、ゴメン!」
すぐに手を貸して立たせる。
「い、いえ…こちらもよそ見していましたし…」
容姿は近代的でありながらも清楚さを忘れないような…
なんていうんだろうか、僧侶(?)のような姿をしている。
「えっと、じゃあ俺はこれで!」
マズい、
俺は女の子とは会話が続かない。
会話が続いたデリトは女ではないのだろう…!!多分!!
俺は急いでその場を離れた。
◆ ―ラクスラズルシティ・路地裏― ◆
「ここって…」
さっきまで俺が戦っていた場所、
のはずだが。
「気づいたか?」
「あぁ…」
そこには誰も居ない、
というよりも荒れ果てていた。
「誰かが襲ってきたのか…?」
「いや、こいつは恐らくお前の追っていたギルドと関係がある」
そう言うと、
デリトは地面が数か所へこんでいることに気がつく。
「これは…ッ!!ゼノ!上だッ!」
「何!?」
言われた通りに急いで上を見上げると、
斧を持った大男が勢いよく落ちてきた。
「うっ!」
急いで剣を出し、
なんとか攻撃は防いだがかなり重い。
「ヘヘッ…こいつを防ぐとはやるじゃねぇか」
図太い声が路地裏に響く、
どうやらこいつが犯人のようだ。
「このヤロウ…いきなり襲うなんてきたねぇぞ!」
「お?汚いからどうした、俺はどんな手でも使う…ぞッ!」
男は斧の下のほうについているチェーンを飛ばすと、
リングにいるデリトへと絡みつける。
「グフフ…『チェーン・グラビティ』!!」
男がスキルを発動させると、
デリトに巻き付いている鎖に重力がかかる!
「うっ…」
耐えきれずリングの表面にデリトが片膝をつくと、
鎖は更に重みを増した。
「ぐふふ、捕まえた捕まえた~」
しかし何だろうか、
妙にエロイ…
「で、デリトー…い、いまた、助けるぞ!!」
「お前助ける気ねぇだろ」
確かに無い。
顔を赤らめながら鎖で縛られ、
地面に伏せられてる少女を見るのもまた一興。
「ほ~れッ!!」
デリトは投げとばされ、
壁に当たり落ちる。
「こ、これは…!」
うまい具合に壁にあてたのか、
デリトの服が際どい破れかたをしている…ッ!
胸の部分が見えそうで見えない程度に、
スカートらしき部分が破れてぱ、パンツが…ッ!!
「グホァ…!!」
「な、何見てんだお前は!」
仕方ない、
ゼノは役に立たないし…
私が片づけるしかないか!
「『スウィフトソード』…!」
「グヒッ?」
瞬間、
男の背中に勢いよくデリトの武器が突き刺さる!
「グヒィィイイッ!!?」
男はその場に倒れ、
デリトは解放された。
「ふぅ、口ほどにもないわね」
「もう少し見ていたかった…」
「ア゛?」
「何でもないです…」
デリトは倒れた男のほうに近づくと、
その男から剣を抜いた。
「さて、単刀直入に言う。アンタのボスはどこだ?」
「グヒィ…ゲテルグルブの東の酒場だよ…」
「ご苦労」
男が話し終わると、
デリトは勢いよく男に剣を突き刺し、殺した。
「なっ…殺すことなかったじゃないか!」
「悪いな、これが"私のやり方"だ」
その時、
俺は何も言えなかった。
デリトの目が異様に殺意に染まっているように見えたからだ、
それと同時に喜びに震えているようにも見えた…
「どうしたゼノ、行くわよ?」
その後、
すぐにいつも通りのデリトに戻っていた。
しかし、
俺は見てしまった…デリトの本性を。
「お、おう…」
恐らく、彼女は危険だ…




