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Read New World  作者: りのあ
新しい世界 -New World-
26/55

番外 「その後 ~後編~」

 俺はすぐさまラクスラズル・シティに戻って世界樹へと向かった、

 どうやらアップデートしてからはラクスラズルは中級冒険者用のマップではなく冒険者のスタート地点となったようだ。

 つまりはPRSシステムもこのラクスラズルに導入されているはずだ。


「リンク!」

「おかえりなさいませセト様」


 リンクは丁寧にこちらへと小さく礼をする。


「頼みがあるんだ。PRSについて教えてくれ!」

「PRSですか。簡単に説明しますと…」


 俺は急ぎながらもリンクの説明を聞いた。

 どうやらリンクが言うにはPRSとはジャンが言ったように個人部屋を貰えるらしい、家具・壁紙なども変更可能という現実世界のような徹底ぶりだ。

 入浴なども出来て、ルームロックなどもかけられるらしい。


「特定の人に会いたい場合はどうしいたらいい?」

「フレンドリストから行けるはずですよ」


(そういえば俺はクエスト前にあの子とフレンド登録していたはず…)


 そう思い、

 俺はフレンドリストを開いた。

 が、

 そこに彼女のIDはなかった。


「あれ…?」

「セト様…少々、怪しいので私がお探ししましょうか?」

「あ、あぁ…頼む」


 俺はリンクに頼んでその子を探してもらった、

 勿論、すぐに見つかった。


「この子ですか…」

「見つかったのか!」


 俺は確かめようとリンクの表示しているモニターへと向かった。


「っ!?」

「どうした!?」

「い、いえ…それより、この方…名前が無いですね」

「…そういえばそうだ」


 名前が無いとは、

 やっぱり何かありそうだ…


「てかさ、セトがストーカーに見えてきたよ私は」


 デリトが喋りだす。


「あのなぁ、俺はリノアと何か関係があるかもしれないと思ってだなぁ…」


 リンク達の顔が途端に暗くなる。


「いや、この話はやめておこう。そんなことより、その子もラクスラズルにいるんだろ?」

「え?えぇ…」

「じゃあ、部屋の場所を教えてくれ」


 俺はリンクから部屋の場所を教えて貰うと、

 すぐさま走り出した。




 ◆ ―ラクスラズルシティ・ルームエリア― ◆


 えっと、

 リンクが教えてくれたのは…


『LK-3』


「ここか」


 俺はルームの扉の前に立った。


「ん?開かないぞ!?」

『当たり前だ馬鹿、自宅の玄関を自動ドアにする奴がいるか?開閉ボタンか何かあるだろ。』

「あ、そうか」


 俺はsetoに言われた通り開閉ボタンを探した。


「これだな!」


 押した…が、開かない。


「は?」

『あー、これがルームロックってやつか』

「マジかよ!?ここまで来て…そりゃないぜ」


 俺は終わってたまるかと、

 その子の"名無しID"へとメールを送った。


「お、もう返ってきた」


 思ったより返信は早いようだ。


『何でしょうか?』

『今、もしかして自宅にいる?』

『いますが?』

 

 いるのか…


「押してみるか?インターホン」

『好きにしろ』


 俺は唾を一度飲みこむと、

 恐る恐るインターホンをワンプッシュした。

 するとちょっと間が空き…


『なんでしょうか?』

「ちょっと話があってな…開けてくれないか?」

『……』



 いきなり出会って「部屋に入れろ」はまずかったか…?


『どうぞ』

「え?あ、どうも…」


 思ったよりもあっさりと開けてくれた、

 これは予想外。

 やはり俺の思い過ごしだったのだろうか…

 できればそうであってほしい。


「お邪魔しまーす…」


 とりあえず部屋の中を見回してみる。

 リンクが言うにはアイテムや家具などを置けるはずなのだが…

 そこには最初から常備されている倉庫以外には何もなく、

 彼女が部屋の窓から外を覗いているだけだった。


「えっと…」


 入ったはいいけどなんて話を切りだせばいいのかわからない、

 このままじゃ不審がられる。


「なんて言えばいいのかなぁ…」


 そうして試行錯誤をしていると、

 相手から話を切りだしてきた。


「あのう、クローンアイテムの件でしょうか?」

「えっ…」


 いきなり図星で焦る。

 何も言っていないのに自らクローンアイテムと察してきた、

 つまり…


「なぜ、クローン武器だと…?」

「いえ、最近そういうのがあったと聞いて。私の行動はきっと疑われちゃってる…かも、と思いまして…」


 なるほどな、

 どうやら深読みしていたみたいだ。


「念のために言いますが、あなたに差し上げたのは私が前作で入手したアイテムです」

「あ、なるほど」

「引き継げた分はこれしかなかったので…」


 でも、

 これだけでも十分なアイテムだけどなぁ…


「これだけのレアアイテム、ということは君は前作では相当な強さだったんだね」

「いえ、これはとある二人のプレイヤーさんに手伝ってもらって手に入れたものなんですよ」


 ほう。

 じゃあやっぱり俺の勘違いか!


「いや悪かったな、いきなり押しかけて」

「いえ、私も少しだけど話をして楽しかったので」


 俺はそのあと、

 その部屋を出た。

 ふと振り向くと、ドアが閉まるまでの一瞬だったからよく見えなかったけど


 笑顔の彼女の目から涙が流れている気がした。


「そういえば、あの子…大切にしているアイテムがあるって言っていたな…なんだろ?」




 ◆ ―LK-3・セト退出後― ◆


 そこにいる一人の女性キャラプレイヤーは「ホッ」と息をつくと、倉庫メニューを操作し始めた。

 倉庫の端末を操作している彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいた、がそれとともに満足そうな笑顔も浮かんでいた。


「あ…」


 一瞬「ハッ」としたような表情を浮かべたがすぐに先ほどのような笑顔へと表情を戻して、さらに強く涙を流した。


『フォン…』


 アイテムを倉庫から取り出した際のSE(効果音)とともに彼女のアイテムメニューへと名前が追加される、武器系アイテムである。


「これで、よかったのかな…」


 彼女はその武器を装備して強く握ると、そのままどこかへと消えていった…


 彼女の装備した武器のアイテム名は…



 『ルナティック・スフィア』


  効果: …想いを繋ぐ…

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