第387話 アルベール家を調べろ
少女の検査が終わった後。
リオンは執務室に戻っていた。
机の上には、マサラ王国で見つかった資料と、馬車の商人風の男から見つかった紙が置かれている。
その中央にあるのは、アルベール家の印章だった。
「……偶然とは思えない」
リオンは印章を見つめていた。
マサラ王国の人々が消えた。
地下には謎の魔方陣があった。
そして、その後に見つけた少女からは強力な魔力が確認された。
さらに、その少女を運んでいた男はアルベール家の印章を持っていた。
「調べるしかないな」
リオンは通信機を手に取った。
「暗部部隊を呼んでくれ」
しばらくして、数人の男女が執務室へ入ってきた。
ガルリオン共和国の暗部部隊。
普段は表に出ることのない、情報収集を専門とする者たちだった。
「国王陛下」
「アルベール領を調べてほしい」
リオンは紙を見せる。
「レオルディア王国、アルベール領。そしてアルベール家」
隊員たちが印章を見る。
「徹底的にだ」
「どこまで?」
隊長が尋ねる。
「表向きの情報だけじゃない」
リオンは静かに答えた。
「アルベール家の人間関係、商取引、最近の出入り、マサラ王国との関係。過去の記録も調べてくれ」
「承知しました」
「ただし、勝手に手を出すな」
リオンの声が少し低くなる。
「目的は調査だ。証拠を集めろ。アルベール家に気付かれるようなことはするな」
「了解しました」
隊長が頭を下げる。
隊員たちはそのまま部屋を出ていった。
リオンは椅子に座り直す。
「……アルベール家」
頭に浮かぶのは、眠り続ける少女だった。
身体の中には、正体不明の剣のような物体。
そして異常なほどの魔力。
「一体、何を隠してるんだ……」
リオンは机の上の印章を見つめた。
その時、通信機が鳴った。
『リオン』
ガルヴァンの声だった。
「どうした?」
『少女の様子を見に行ったら、まだ寝てるぞ』
「……そうか」
『ゼオンが横でずっと見てる』
「分かった。俺も後で行く」
通信を切ったリオンは、再びアルベール家の印章を見る。
事件の糸は、少しずつレオルディア王国へ伸び始めていた。




