第386話 少女の中にあるもの
少女が目を覚まさないまま、数日が過ぎた。
リオンは日本側の調査団にも少女の調査を依頼することにした。
「魔力だけじゃなく、身体そのものも調べてほしい」
「分かりました」
少女は日本側の施設へ運ばれ、慎重に検査を受けることになった。
まずは全身のCTスキャン。
少女を装置へ入れ、身体の内部を撮影していく。
「……ん?」
画像を確認していた医師が、画面を見つめた。
「どうしました?」
リオンが尋ねる。
「ちょっと、こちらを見てください」
画面には少女の身体の内部が映し出されている。
そして、その中心付近に奇妙な影があった。
「……何だ、これ?」
リオンが画面に近づく。
「剣……?」
ゼルファも画面を見る。
そこには、細長く伸びた物体が映っていた。
形だけを見るなら、まるで剣のようだった。
「体の中に剣があるのか?」
ガルヴァンが驚く。
「いや、それが……」
医師が首を横に振る。
「金属ではありません」
「金属じゃない?」
「少なくとも、一般的な金属の反応とは違います」
さらに詳しく調べる。
CTの角度を変えても、そこには確かに細長い影が存在していた。
「骨……でもないですね」
「異物には違いない?」
「それも断言できません」
医師は慎重に答えた。
「何なのか、現時点では分かりません」
リオンは少女を見る。
眠ったままの少女には、苦しんでいる様子もない。
「取り出すことは?」
「無理です」
医師は即答した。
「位置が特殊すぎます。それに、普通の手術で取り出せるものなのかも分かりません」
「魔法で取り出すのは?」
リオンがゼルファを見る。
「危険だ」
ゼルファは首を横に振った。
「下手に刺激したら、少女の中にある魔力までどうなるか分からない」
「そうか……」
結局、それ以上の検査はできなかった。
少女の身体の中にある、剣のような物体。
それが何なのか。
なぜ存在しているのか。
どうやって入ったのか。
何一つ分からない。
「現状では、経過観察しかありません」
医師が言う。
リオンは頷いた。
「分かった。無理に取り出すのはやめよう」
眠り続ける少女を見つめる。
身体の中には、強大な魔力。
そして、正体不明の剣のような物体。
「……一体、お前は何者なんだ?」
リオンの問いに、少女は答えない。
ただ静かに眠り続けていた。




