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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田✴ソラ


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第376話 地下に残されたもの


 馬から話を聞いたあと。


 リオンとゼオンは、マサラ王国で祭りが行われていた場所を探していた。


「祭りなら、国の中央でやってた可能性が高いな」


「人が集まる場所だもんね」


「まあ、普通はそうだよな」


 二人は地図を確認しながら、マサラ王国の中央部へ向かった。


 しばらく歩くと、開けた場所に出た。


「ここか?」


 リオンが周囲を見回す。


 かなり広い。


 周辺には店が並んでいたと思われる建物があり、祭りで使われていたらしい簡単な施設も残っている。


「ここなら、祭りをやっててもおかしくないな」


「うん」


 二人は周囲を調べ始めた。


 だが――。


「……何もないな」


 リオンは地面を見ながら呟いた。


 焼け跡はない。


 建物が壊れた様子もない。


 大きな穴が開いているわけでもない。


 魔法陣らしきものも見当たらなかった。


「馬が言ってた光と轟音が、ここだったのかも分からないな」


「うん……」


 ゼオンも困ったように辺りを見回す。


「でも、他に人が集まりそうな場所もないよ」


「そうなんだよな」


 リオンは腕を組んだ。


「ここが違うなら、また最初から探し直しだ」


「……」


 ゼオンも地面を見つめる。


 二人とも、しばらく黙っていた。


 その時だった。


「あっ」


 ゼオンが突然声を上げた。


「どうした?」


「精霊の女王様から借りた道具」


「……ああ」


 リオンも思い出した。


「あの調査用の道具か」


「うん。これなら地下も調べられるかもしれない」


 ゼオンは持っていた道具を取り出した。


 以前、精霊の女王から借りた、魔力の流れを探るための道具だった。


 ゼオンが地面に置き、ゆっくりと魔力を流す。


 淡い光が道具から広がっていく。


「どうだ?」


「ちょっと待って」


 ゼオンは目を閉じ、魔力の反応を探る。


 しばらくすると、道具から伸びていた光の一部が変化した。


「あれ?」


「何か見つかったか?」


「うん」


 ゼオンがしゃがみ込む。


「ここ」


 地面を指差した。


「地下に何かある」


「本当か?」


 リオンもすぐに隣へしゃがむ。


「どれくらい深い?」


「かなり深いと思う」


「土ドラゴンの時に使ったのとは違うのか?」


「うん。あの時は魔力の流れが分かったけど……」


 ゼオンは道具を見つめる。


「今回は、何かがそこにある感じがする」


「形まで分かるのか?」


「正確な形までは分からない」


 ゼオンは首を横に振った。


「でも、ただ魔力が溜まってるだけじゃないよ」


「何かがある……か」


 リオンは立ち上がった。


「日本側に連絡しよう」


 無線機を取り出す。


「日本側、聞こえるか?」


『聞こえます』


「地下に何かある。掘って調べたい」


『分かりました。深さは分かりますか?』


「かなり深いらしい。正確な深さはまだ分からない」


『了解しました。地下調査用の掘削機材を準備します』


「頼む」


『到着まで少しお待ちください』


「分かった」


 通信を終える。


「本当に持ってくるんだな」


 ゼオンが少し驚いたように言う。


「日本なら、こういう時の道具は結構あるからな」


「便利だね」


「便利すぎて、こっちの世界の常識がおかしくなりそうだけどな」


 リオンが苦笑する。


 それからしばらくして、日本側から大型の掘削機械が運び込まれた。


「……でかいな」


 リオンは機械を見上げた。


『地下調査用に改造したものです。地盤を確認しながら、ゆっくり掘ってください』


「分かった」


 調査隊が周囲を確認し、安全を確保する。


 そして、掘削が始まった。


 ガガガガガッ。


 機械の音が広場に響き渡る。


 地面が小さく震え、土が少しずつ掘り進められていく。


 ゼオンは、その様子をじっと見つめていた。


「……何があるんだろう」


「さあな」


 リオンも掘削地点から目を離さない。


「でも、ここに何かが残ってるなら……」


「祭りの夜のことが分かる?」


「ああ」


 リオンは頷いた。


「馬が見た光と、聞いた轟音。それから、国民が消えたこと」


 そこまで言って、リオンは少し黙った。


「……全部つながってるかもしれない」


 ゼオンも頷く。


「何か見つかるといいね」


「そうだな」


 リオンは地面を見つめた。


 何も分からなかった。


 だからこそ、ここで何か一つでも見つかってほしい。


 そんな気持ちだった。


 無人になったマサラ王国。


 祭りの夜に起きた光と轟音。


 そして、突然消えた国民。


 その謎につながる何かが今、地面の下から少しずつ姿を現そうとしていた。




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