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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田✴ソラ


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第344話 王都へ帰還、説教タイム


 精霊の都市での騒動も、ようやく終わった。


 ゼオンが精霊王であることも判明し、精霊の女王との話し合いも済んだ。


「そろそろ王都へ帰るぞ。」


 リオンが言うと、リゼ、ルナ、アレリーナも頷いた。


 もちろん、子供たちも一緒だ。


 ラミ、ゼオン、リオナ、アレン。


 四人は精霊門の前に並んでいた。


 精霊たちがゼオンの周囲に集まる。


『精霊王様! また来てください!』


「うん! また来るよ!」


 ゼオンは笑顔で手を振る。


 ラミも手を振った。


「また遊びに来るね!」


 リオナも笑顔で手を振り、アレンは黒龍の姿で翼を振った。


 そして、一行は精霊門をくぐった。


 王都。


 精霊門の光が消える。


「帰ってきた!」


 ラミが嬉しそうに叫ぶ。


 しかし。


 目の前に立っている三人を見て、ラミの声が止まった。


 リゼ。


 ルナ。


 アレリーナ。


 三人とも笑っていない。


「……。」


 ゼオンも固まる。


 リオナはアレンの後ろに隠れた。


 アレンは首を傾げている。


 リゼが口を開いた。


「ゼオン。」


「はい……。」


「勝手に森の奥へ行ったわね?」


「……はい。」


「心配したのよ。」


「ごめんなさい。」


 リゼはゼオンを抱きしめる。


「無事だったから良かったけど、二度と勝手に行かないこと。」


「うん。」


 次はリオナ。


「リオナ。」


「はい……。」


 ルナがしゃがみ込む。


「お母さん、とても心配したのよ。」


「ごめんなさい……。」


「森の奥へ行くときは、必ず大人に言うこと。」


「はい。」


 ルナはリオナを抱きしめた。


「無事で帰ってきてくれて、本当に良かった。」


「うん……。」


 そして、アレン。


「アレン。」


「……はい。」


 アレリーナが近づく。


「あなたも勝手に行ったの?」


「……うん。」


「黒龍の力は?」


「暴走しなかった。」


「それは偉かったわ。」


 アレリーナはアレンの頭を撫でる。


「でも、勝手に森の奥へ行くのは駄目。」


「ごめんなさい。」


「次からは絶対にしないこと。」


「うん。」


 アレリーナはアレンを抱きしめた。


 そして、最後。


 ラミ。


「……。」


 ラミはそっと後ろへ下がった。


 だが…。


「ラミ。」


「……はい。」


 呼んだのはリオンではなかった。


 ガルヴァンだった。


「こっちへ来い。」


「……。」


 ラミの顔が一気に青ざめる。


「ガルヴァンおじさん……。」


「話がある。」


「……はい。」


 ラミは渋々、ガルヴァンの前へ歩いていく。


 ガルヴァンは腕を組んだ。


「お前が冒険に行こうと言い出したんだな?」


「……はい。」


「ゼオンたちを連れて行ったのも?」


「……はい。」


「森の奥まで進んで、帰り道が分からなくなったのも?」


「……はい。」


「魔物にも遭遇した。」


「……はい。」


 ラミはどんどん俯いていく。


 ガルヴァンは怒鳴らなかった。


 ただ、低い声で言った。


「お前たちが無事だったから、こうして説教できている。」


「……。」


「もし誰かが怪我をしていたら。」


 ラミが顔を上げる。


「もし誰かが帰ってこなかったら。」


 ガルヴァンの表情は真剣だった。


「お前はどうするつもりだった?」


「……分からない。」


「そうだ。」


 ガルヴァンは頷く。


「分からないからこそ、勝手なことをするな。」


「……はい。」


「冒険がしたいなら、大人に相談しろ。」


「はい。」


「仲間を連れて行くなら、その仲間の命にも責任を持て。」


「……はい。」


 ラミの目に涙が浮かぶ。


「ごめんなさい……。」


 ガルヴァンは少しだけ表情を緩めた。


「分かったならいい。」


「……怒ってる?」


「怒っている。」


「やっぱり……。」


「だが、無事に帰ってきたことには安心している。」


 ラミは涙を拭いた。


「……ありがとう。」


 ガルヴァンはラミの頭を軽く撫でる。


「二度と、こんな心配をさせるな。」


「はい!」


 その様子を見ていたリオンが、小さく息を吐いた。


「……ガルヴァンに任せて正解だったな。」


 リゼも頷く。


「ええ。ラミには、ああいう叱り方の方が効きます。」


 ルナも笑う。


「もう二度と無茶しないといいですね。」


 アレリーナも頷いた。


 その横でラミが小さく呟く。


「……でも、冒険は楽しかった。」


「ラミ。」


 ガルヴァンが振り返る。


「はい!」


「もう一度説教するか?」


「楽しくなかったです!」


 即答だった。


 王都に笑い声が響く。


 こうして、小さな冒険者たちは無事に帰還した。


 そしてこの日。


 四人の子供たちは、それぞれの母親とガルヴァンから、しっかりと「勝手に森へ行ってはいけない」という大切な教訓を叩き込まれたのだった。




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