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スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田✴ソラ


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第329話 共犯は同じ罰を受ける


 数日後、王城・執務室。


 リオンは一枚の売上報告書を見つめていた。「……待て」


 隣には財務担当官バルド。

「どうしました?」


「クマ神様の利益、ほとんど教会じゃないか」


「はい」即答だった。


 リオンの額に青筋が浮かぶ。

「俺が作った魔導具だぞ?」


「そうですね」


「量産したのも俺だ」


「その通りです」


「なのに教会ばっかり儲かってる!」


バンッ!机を叩く。


「利権を返せぇぇぇ!」


 一週間後。


 話し合いの末、クマ神様の魔導具とクマ神様人形の権利は、ガルリオン共和国王家と教会の共同管理となった。


 日本への販売は共和国が担当、教会は監修、利益は折半。


 フィーナは不満そうだった。

「もう少し教会の取り分を……」


「駄目だ」


「むぅ……」


 日本では新型クマ神様の魔導具とクマ神様人形はさらなる大ヒット。


 限定版、踊る版、しゃべる版、親子セット、売れに売れた。


 日本側から届く売上報告。


「……」リオンは無言で物資の山を見る。

「これ全部?」


「日本からの利益です」バルドが笑顔で答えた。「陛下、大儲けです」


 リオンはゆっくり頷く。

「俺も銭亀になったな……」思わず苦笑した。


 翌朝の王城。


「いやああああっ!」今度はリオンの悲鳴だった。


 リゼとルナが部屋へ飛び込む。

「リオン!?」「どうしたのですか!?」


 扉を開け二人は固まった。

「……」「……」


 そこには巨大なクマのぬいぐるみ姿のリオンが立っていた。「脱げねぇぇぇ!」


 必死に引っ張る、取れない、まったく取れない。


 そこへ、同じ姿のフィーナが歩いてきた。


「あっ」「あっ」二人は見つめ合う。


 数秒後。


「お前のせいだ!」


「リオン様のせいです!」


「いやヘリオスだろ!」


「元を辿ればリオン様です!」


 二人はクマ姿のまま言い争う。すると祭壇から再び神託が届く。


『二人とも』


「「はい……」」


『子供達に奉仕せよ』


「またですか!」


『反省するまで』


 光が消え二人は肩を落とす。


 その日の王都広場。


「クマさんが二人!」

「増えてる!」

「かわいい!」


 子供達は大歓声、リオンとフィーナはクマ姿で手を振る。


「こんにちは……」


「皆さん元気ですか……」


 子供達は抱きつき、一緒に遊び、一緒に踊る、その横で二人は小声でケンカしていた。


「お前が欲を出すからだ!」


「リオン様もでしょう!」


「先に儲けたのお前だ!」


「後から乗ったのはリオン様です!」


 二人は子供達に囲まれながらも、ずっと言い争っていた。


 それを見ていたラミは大笑いする。

「二人ともクマだー!」


 ゼオンもアレンも楽しそうに笑う。


 リゼとルナは少し離れた場所で微笑みながら呟いた。


「……案外、お似合いですね。」


「しばらく反省してもらいますか。」


 こうして王都では、今日も二匹のクマが子供達を笑顔にしながら、仲良く喧嘩を続けるのだった。




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