第324話 クマ神様の正体
王都南広場。
大勢の子供達が輪になって遊んでいた。
その中心では『我は神なり』クマ神様が今日も神々しく光っていた。
「おおー!」
「クマ神様だ!」
「光ってるー!」
子供達は大喜びである。その前ではラミが胸を張っていた。
「すごいでしょ!」
「ラミ!」リオンの声が響く。
ラミが振り返った。「あっ、リオン!」
「それ返せ」
「やだ!」即答だった。
「お気に入り!」
「お気に入りじゃない!」リオンはため息をつく。
「クマ神様は没収だ」
「えー!」ラミは頬を膨らませた。
リオンは逃がさない。ラミの頭を軽く押さえ、その隙にクマ神様を取り上げた。
「あっ!」
『我は神なり』
「うるさい」
『崇めよ』
「黙れ。壊すぞ!」
クマ神様は相変わらずだった。
ラミは不満そうだったが、ゼオンやリオナが別の遊びに誘うと、すぐにそちらへ走って行った。
「鬼ごっこだー!」
「待ってー!」
子供達の笑い声が遠ざかる。リオンはようやく一安心する。
「やっと回収できた……」
その横でフィーナが恐る恐るクマ神様を見つめていた。
「ほれ……やる」リオンはクマ神様を差し出す。「調べてみてくれ」
「は、はい……」フィーナは慎重に受け取った。
次の瞬間だった。
フィーナの表情が固まる。「……え?」
両手で持ったまま動かない。
リオンが首を傾げる。「どうした?」
「こ、これ……」フィーナは青ざめていた。「神聖があります……」
「……は?」
「神聖です!」思わず声が裏返る。
リオンも目を丸くした。「嘘だろ?」
「嘘ではありません!」フィーナは慌てて神聖魔法を使う。
淡い光がクマ神様を包む、クマ神様はさらに神々しく輝いた。
『我は神なり』
フィーナは悲鳴を上げた。
「ひゃあっ!?」
「なんで強く光るんだ!」リオンも叫ぶ。
フィーナは震える手でクマ神様を見つめる。「こ、これは普通の魔導具ではありません……」
「俺が作ったんだけど?」
「それが意味不明なんです!」
リオンは頭をかいた。
「材料は普通だったぞ?」
「普通の材料で神聖は宿りません!」
『供物を捧げよ』二人は同時にクマ神様を見た。
リオンが小さく呟く。
「……ヘリオスのせいじゃないか?」
フィーナは真顔で首を横に振る。
「その可能性は否定できません……」
二人とも嫌な予感しかしなかった。神に気に入られているリオン、そのリオンが作った魔導具。
神聖が宿っていても、不思議ではない気がしてきた。それが一番恐ろしかった。
『我は神なり』
「……」「……」
二人は顔を見合わせる、同時にため息をついた。
「とりあえず……」リオンが言う。「ラミには二度と渡さないようにしよう」
「賛成です!」フィーナは力強く頷きながら、クマ神様を大事そうに抱えた。
その表情は、まるで爆発寸前の魔導具を持たされたように引きつっていた。




