第323話 クマ神様捜索作戦
翌朝。
リオンは執務室で書類と格闘していた、ペンを走らせる、判を押す、また書く。その繰り返しだった。
「あと何枚だ……」書類の山を見てため息をつく。
バァン!!執務室の扉が勢いよく開いた。
「リオン様!」飛び込んできたのは聖女フィーナだった、息を切らし、珍しく焦っている。
「どうした?」
「クマ神様を何とかしてください!」
「……またか」リオンは嫌な予感しかしなかった。
「何があった?」
フィーナは頭を抱える。
「子供達だけならまだ良かったんです!」
「うん」
「ラミさんが王都中を連れ歩いています!」
「……ああ」
「しかも!」フィーナは両手を広げた。
「皆さん本物の神様だと勘違いし始めています!」
リオンは固まった。「……は?」
「市場で光りながら!」
「『我は神なり』と喋るものですから!」
「……キリ」
「子供達がお供え物を置き!」
「……キリキリ」
「大人まで真似を始めました!」
リオンは机に突っ伏した。
「終わった……」
フィーナは真剣な顔だった。
「これは笑い事ではありません!」
「そうだな……」
「宗教問題になります!」
「なるほど」
それは確かにまずい、創造神ヘリオスを信仰するフィーナからすれば、放置できる話ではなかった。
「リオン様が作った物でしょう!」
「黒歴史なんだよ!」リオンは叫んだ。
「壊そうとしたんだ!」
「知っています!」
「ラミに盗まれた!」
「それは盗まれるリオン様に問題があります!」
リオンとフィーナは同時にため息をついた。
「……分かった」リオンは立ち上がる。
「まずはラミを探そう」
「はい!」
「クマ神様を回収する」
「それが一番です!」
二人は執務室を飛び出した。
王城の廊下、兵士に尋ねる。
「ラミを見なかったか?」
「さっき中庭にいました!」
中庭へ向かう、しかし、いない。中庭に居た兵士を捕まえて尋ねる。
「ラミはどこだ!!」
「市場へ走っていきました!」
二人は市場へ、市場にもいない。
「もう移動したぞ!北門だ!」
ラミはじっとしていなかった。
「待てぇぇぇ!」リオンは必死な顔をしながら走る。
フィーナも必死についていく。市場の人々に聞き込みを続ける。
「ラミちゃん?」フィーナは市場の人々に聞きまくる。
「さっき見たよ。クマ神様を抱えてた」
「やっぱりか……」リオンは頭を抱える。
「子供達を引き連れて南広場へ行ったぞ」
嫌な予感しかしない、リオンとフィーナは顔を見合わせた。
「急ぎましょう!」
「ああ!」
二人は再び駆け出した、クマ神様を回収するため、そして、これ以上、王都に新たな"神様"が増えないようにするために。




