表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル《家転移》で元傭兵の俺は静かに笑う。  作者: 山田 ソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

286/332

第276話 誰も助けない

 宴会は深夜まで続いていた。


 ドワーフたちは大騒ぎ、共和国兵たちも酒を飲み始め、自衛隊員たちですら若干困惑しながら肉を食べている。完全にカオスだった。


 そして。


「……ふぅ」


 聖龍は完全に出来上がっていた。銀髪を乱し、とろんとした目で酒杯を揺らしている。頬は真っ赤。普段の威厳などどこにもない。


「……お前、酒弱かったんだな」リオンは若干引いていた。


「弱く……ない……」


「いや絶対弱いだろ」


「龍は……強い……」


 そのままふらりと立ち上がる。危ない。リオンは反射的に支えた。「おっと」


 瞬間。


がしっ。


 聖龍の手がリオンの腕を掴んだ。「ん?」嫌な予感がした。


 黄金の瞳がじぃっとリオンを見つめる。

「……リオン」


「はい」


「貴様」


「はい」


「責任、とれ」


「何の!?」


 場が静まり返った。「ぶふっ!?」ガルヴァンが酒を吹いた。


「えっ」フィーナが固まる。


「待て待て待て!? 何の話だ!?」リオンは全力で後退しようとした。


「尻」


「まだ言うの!?」


「家」


「はい」


「置き去り」


「すみませんでした」


 即謝罪だった。しかし聖龍は離さない。


「許さん」


「理不尽!?」


 そのまま。ずるずる。聖龍はリオンを引きずっていく。


「お、おい!? 待て!?」


「来い」


「嫌な予感しかしねぇ!!」


 リオンは必死に周囲へ助けを求めた。「ガルヴァン!!」


「頑張れ」


「裏切ったな親友ォ!?」


「今回はお前が悪い」即答だった。


「フィーナ!!」


「ヘリオス様のご加護を……」  


「目ぇ逸らすな!!」


「リゼ!! ルナ!!」


 二人は優雅に酒を飲んでいた。リゼがにこりと笑う。「ちゃんと謝ってきて下さいね?」


「謝罪で済む空気じゃないんだが!?」


「死にはしないです」ルナは肩を竦める。


「信用が雑!!」


 誰も助けなかった。


 そして、宴会場の隅に作られていた木造小屋へ聖龍はリオンを引きずり込む。


バタンッ!!


 扉が閉まった。一瞬の静寂。そして。

「待っ、おい!? 本当に待!!」


『うるさい』


「ぎゃあああああああ!?!?」


 リオンの悲鳴が夜空へ響いた。


「わ、わぁぁぁぁ……」フィーナは顔を真っ赤にする。


「まぁ……生きろ」ガルヴァンは酒を飲みながら遠い目をした。


「止めないんですか!?」


「止めたら次、俺が標的にされる」


「最低な理由!?」


 小屋の中からは時々「痛っ!? 待っ!? 尻はやめ!!」


『貴様も味わえ!!』


「ぎゃああああ!!」などという声が聞こえていた。誰も近寄らなかった。

 

 翌朝。小屋の扉がゆっくりと開く。ぼろぼろになったリオンが這い出てきた。


「……朝日が眩しい……」


 髪はボサボサ、服もぐしゃぐしゃ。完全に満身創痍だった。後ろでは聖龍が満足そうに寝ている。


「……生きてたか」ガルヴァンはそっと目を逸らした。


「半分死んだ……」


「き、聞こえてました……」フィーナは顔を真っ赤にしたまま震えていた。


「忘れてくれ……」


 その時、リゼが静かに微笑んだ。「それで?」


 リオンの背筋に悪寒が走る。「……はい?」


「責任、取るんですよね?」


「……え?」


 「頑張れ、王様」ルナもニヤリと笑った。


 リオンは空を見上げた。「……誰か助けて」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ