第272話 害獣駆除作戦
『リオォォォォォォン!!!!』
王都の外から響く咆哮。窓ガラスが震える。城内の兵士たちが青ざめながら右往左往していた。
「また来たぞォ!!」
「白銀の龍だァァ!!」
「門を閉じろ!!」
フィーナは完全に涙目だった。「だから言ったじゃないですか!!絶対根に持つってぇ!!」
「いやでも、あそこまで怒るか普通?」
「家を乗せたまま置き去りにしたんですよ!?」
「……確かに」リオンも少し反省した。ほんの少しだけ。
「どうすんだよ……神話級存在が"個人的恨み"で王都来てるぞ……」ガルヴァンは机へ突っ伏す。
その時、リオンがふと顔を上げた。「……日本に相談するか」
「は?」
「専門家に聞こう」
「何の専門家だよ」
「害獣駆除?」
「スケールがおかしいんだよ!!」
数時間後。日本側施設。
共和国と繋がる極秘区域では、自衛隊関係者や政府職員たちが慌ただしく動いていた。モニターには上空を飛ぶ白銀の龍の映像。会議室は静まり返っていた。
「……確認ですが」スーツ姿の官僚が疲れ切った顔で言う。「これ、本当に実在するんですね?」
「します」リオンは真顔だった。「あと滅茶苦茶キレてます」
「理由は?」
「ちょっと尻撃ったり、家で潰したり……」
「帰って下さい」
「なんで!?」
自衛官たちが頭を抱える。一人の隊員が映像を見ながら呟いた。
「サイズは推定……大型輸送機クラスか」
「鱗の硬度は?」
「対物ライフルは一応通りました」
「"一応"って何です?」
「ロボットランチャーの直撃で爆発しながら突っ込んできました」
場の空気が重くなる。しかし一人の年配自衛官が静かに口を開いた。
「放置した場合の被害予測は?」
「共和国王都が消し飛ぶ可能性があります」
「日本側施設への到達は?」
「時間の問題かと」
沈黙。やがて。
「……対処が必要ですね」
会議室の空気が変わった。
「助かる」リオンが身を乗り出す。
「ただし」自衛官は真顔だった。「正式名称は"異世界大型飛行性害獣対策"になります」
「害獣扱いなんだ……」
「クマやイノシシと分類上は似たようなものです」
「雑ゥ!?」
翌日。共和国側では住民避難が始まっていた。王都上空には緊張が漂う。
その時、空が震えた。
ゴォォォォォ!!
日本側の極秘施設から戦闘機が飛び出してきた。
「うおぉ……」共和国兵たちが呆然と見上げる。
さらに大型車両、ミサイルシステム、対空装備。自衛隊部隊が次々と展開されていく。
「……これが日本の軍隊か?」ガルヴァンは遠い目をした。
「頼もしいだろ?」リオンは満足そうに頷く。
その頃、遠方の空。聖龍は共和国上空へ迫っていた。
『リオォォォォォォン!!!』完全に怒っている。
しかし、次の瞬間、警報音が鳴り響いた。
ピピピピピ!!
『……?』聖龍が空を見上げる。
高高度。そこには戦闘機。そして。
「目標確認」
「ロック完了」
「害獣駆除を開始します」
ミサイル発射。
シュゴォォォォ!!
『は?』
聖龍の顔が固まった。




