閑話 秘密の遊び
ガルリオン共和国王城。
その中庭では、今日も平和な時間が流れていた。
「がおー」
芝生の上で、ラミが骸骨ヘルメットを被ったまま四つん這いになっていた。その背中には「きゃー♪」「あぅー!」
ゼオンとリオナが乗っている。ゼオンはエルフ耳をぴこぴこ動かし、リオナは銀色の尻尾をぱたぱた振っていた。
「ラミドラゴンだぞー」ラミは得意げだった。
「きゃっきゃ!」「あぅ!」二人は大喜びだ。
周囲では侍女たちが微笑ましそうに見守っている。「平和ですねぇ……」「ええ、本当に……」
ただし。夜になると、この光景は少し変わる。
その夜。王城の一角に、リオンたちすら知らない"秘密基地"が存在していた。元々はラミが勝手に使っていた物置部屋だったのだが、今では完全に子供たちの遊び場になっている。
床には毛布、木箱、謎の石、どこから持ってきたのか分からないスプーン、そして大量のお菓子。
「今日は秘密の遊びをするよ」ラミは胸を張った。
「うー!」ゼオンが元気よく手を上げる。隣のリオナも「あぅ!」と真似した。
「絶対、リオン達には内緒だよ?」ラミが声を潜める。
ゼオンは真剣な顔で頷く。「なーしょ!」
リオナも尻尾を振る。「あぅ!」
「よし」ラミは満足そうに木箱を開けた。
中から出てきたのは大量の"精霊石"だった。淡く光る高級魔石。普通なら国家管理されるレベルの代物だ。
「ぴかー!」ゼオンが嬉しそうに持ち上げた瞬間、部屋の中へ大量の精霊が現れた。
ふよふよ、きらきら。風、水、火、光。様々な精霊たちがゼオンへ集まってくる。
「やっぱゼオンすごー」ラミは笑う。
すると。
「あぅ……!」リオナが不満そうに頬を膨らませた。
次の瞬間。
ボフン。
小さな煙のような魔力が溢れそこには"小型フェンリル"になったリオナがいた。もふもふだった。
「おおおおお!!」ラミの目が輝く。
「わんわん!」ゼオンも大興奮だ。
「がおぅ!」小型フェンリル状態のリオナは得意げに尻尾をぶんぶん振った。
すると精霊たちが今度はリオナの周囲へ集まり始めた。風の精霊が頭を撫で、火の精霊が尻尾の周りで踊り、光の精霊は腹の上で寝始める。完全に聖獣扱いだった。
「よーし、今日は精霊騎士団ごっこだ!」ラミが笑いながら言う。
「きゃー!」「がおー!」
数分後、秘密基地からは「進めー!」「きゃっきゃっ♪」「わふー!」という楽しそうな声が漏れていた。
なお、その頃。
「……ゼオン?」リゼは突然胸騒ぎを覚えていた。
「……リオナ?」ルナも耳をぴくりと動かす。
二人は同時に立ち上がった。母の勘は、時に未来予知より恐ろしい。




