パーティー
作者の名前から他の小説に飛ぶようにできる設定の方法をどなたか教えてください~割と不便で困ってます。
あの悪魔達の襲撃事件、通称『マギルサードの悲劇』と呼ばれるあの事件からはや2週間。
「あの少年が?」
「まだ子供じゃないか」
「騎士達は一体何を……」
周囲から俺に向けてヒソヒソと声が聞こえる。
俺は国を救った英雄としてマギルサード魔導国に扱われていた。俺としては面倒事はなるべく避けたかったがあの後騎士達に根掘り葉掘り聞かれた。あの魔力の跡のおかげで俺が魔法を放ったことはバレており下手に誤魔化す訳にはいかなくなりエリクシール様のことだけはなんとか隠してオベイロンのことを前面に出してあまり違和感が出ないように頑張った。
今はこの国のパーティーに招かれている。
この国を護った英雄としてパーティーに招かれたのだがすっごい居心地が悪い。なんと言うか場違い感が凄い。
「やぁリョーマ! 楽しんでるかい?」
「……どうもラッツ様」
俺に向かって笑顔で手を振りながら近づいてくるのはアインベルク王国の第2王子、ラッツ様。この人はあれ以来何度も話しかけてくる。そのせいでか益々視線がきつくなり胃の痛い思いをしている。
「お久しぶりです、元気そうですね」
「そんなに固くならなくてもいいじゃないか。まぁ仕方がないか」
そう言ってワイングラスを口元へ運ぶ。
この世界では成人は18歳からだが、飲酒に関しては16歳からである。これはほとんどの国がそうでありアインベルクも同様である。
まぁ俺は前世のルールが頭をよぎりまだ飲酒はしていない。なので今俺が飲んでいるのは果実ジュースだったりする。
「お兄さま! 待ってください!」
「おっとすまんなクリスタ」
突然ラッツ様のそばに銀の髪に透き通った青い瞳を持つラッツ様に顔立ちのよく似た少女が現れた。しかし俺は彼女のことを知っている。別に会ったことがある訳では無い。ラッツ様はあまり表に出ずに色々と頑張っているがクリスタ様は違う。
彼女の身分はラッツ様の2つ年下の妹である。彼女は産まれながらの『未来予知』のユニークスキルを保有しておりその希少性から他国に嫁に出されることも無く彼女に与えられた領地で暮らしている。
彼女は国民に人気でありよく演説などで国民の前に顔を出していた。
そして彼女は魔法の才能もかなりあり、かなり有用な道具として活用されている。
とはいえそう考えているのは1部の貴族のみであり父親である国王陛下はむしろそう言った貴族から守ろうとしているらしい。
それはさておきなぜそのクリスタ様がなぜここにいるのだろうか?
その疑問が顔に出ていたのかラッツ様が答えてくれた。
「クリスタはこの国のとある貴族とお茶会に来ていたんだ」
へ~そうだったのか。他国の貴族とお茶会とは流石はクリスタ様と言った所か。
「お兄さま? この方は?」
「この間の悪魔の襲撃を片付けたアインベルクの魔法使いだよ」
ラッツ様はアインベルクの所だけ強調して周囲の人間に俺がアインベルクの国民であると釘を刺した。
これでマギルサード魔導国に俺を取り込まれないように牽制したのだろう。
「はわわ! この間の! 私1度お会いしたかったです!」
クリスタ様はキラキラと目を輝かせて俺を見つめる。
「は、はぁ、ありがとうございます」
しばらく人間の悪意に触れ続けたせいでこういう純粋な善意に触れてとても癒される。
「あの! 質問なんですけどどうしてあんなに凄い魔法を使えるようになったんですか!?」
「まぁ修行ですかね……」
「なるほど!」
この子純粋過ぎないか!? 今ので納得するのは流石にどうなんだろう。
「お兄さま! 私も魔法の修行をします!」
「修行でどうにかなるものじゃないと思うけどなぁ」
そのやり取りが周囲のギスギスした空気をほんわかとしたものに変える。これも彼女の持つ才能なのだろう。クリスタ様の人当たりの良さはとんでもないな。
「おや? ラッツ様にクリスタ様ではないですか。お久しぶりですね」
「……やぁクロット殿、久しぶりだな」
「お久しぶりですクロット様」
そこに現れたのは魔法実技試験の際にアリスに話しかけてこっぴどく振られた男、クロットだった。
「ん? そこにいるのは……リョーマ殿ではないですか」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべて俺のことを見る。その様子を見てラッツ様とクリスタ様は顔を僅かに顰めるがクロットは全く気が付いてはいないようだった。
「全く……なぜ平民がここにいるのか……忌々しい限りだよ」
クロットは俺以外には聞こえないように小さな声でそう言った。
「どうせあの魔法だってお前がやったわけじゃないんだろう? 嘘をついてまで英雄になって嬉しいのかい?」
他の人に聞こえないようで本当によかった。もし今の会話を聞かれていたら色々と問題になっていただろう。クロットもそれは分かっているから小さな声で言ったのだろうが今回のパーティーで俺は割と注目されている。
それなのにクロットがこうしてそばで話しかけるからさらに注目を集めていることにクロットは気が付いているのだろうか?
というか俺が魔法を使ったのは世界一の魔法先進国であるマギルサード魔導国がハッキリと宣言したのだ。それを他国であるアインベルク王国の貴族の息子であるクロットが否定するということがどういう意味を持つのか少し考えればわかると思うのだが……
俺が何も言い返さないことに何を思ったのか鼻を鳴らしてどこかへと消えていった。
「すまないリョーマ、何を言われたのかは分からないがどうせろくなことじゃないんだろう?」
「本当にあの人は……ごめんなさいリョーマさん。せっかくのパーティーなのに……」
この2人にすらこの扱いをされるクロットが普段どのような人間なのか分かるな。
「まぁ気にしないでくださいよ。近所にも似たようなやつがいたので」
おっと、つい言葉使いが崩れてしまったな。
そう思って2人の方を見ると2人共苦笑いをしていた。俺が不思議がっているのが分かったのかラッツ様が答えてくれた。
「いやすまない、クロットを平民と同等に語るのが面白くてついな。くっくっく」
「クロット様が知ったら顔を真っ赤にしそうですね」
あ~そう言えばそうか。すっかり忘れてたな。
この世界で平民という言葉は別に見下している訳では無い。ただ身分を明確に分けるための言葉を悪意を持って使うから色々と言われてはいるが2人からは全く悪意を感じず、特に含むものもなかった。
「以後気をつけます」
「そうした方がいい、どこで聞いているか分からないからな」
「ふふっ、では私達は他の方にも挨拶をしなければならないのでこれで失礼しますね?」
「はい、ありがとうございました」
「ではまた学園で、リョーマならSクラスは余裕だろうからね」
そう言って2人は他の貴族の元へと挨拶をしに行った。やっぱり貴族って大変だな。俺は絶対にになりたくないや。
そして今ラッツ様が言っていたSクラスについてだが魔法学院ではその実力によってクラスが分けられる。今年はSクラスからDクラスまであるそうだ。
そうつまりあれだけ被害があったにもかかわらず魔法学院は問題なく運営できるということなのだ。
「流石は魔法先進国って所か。魔法に関しては抜かりないな」
正確には他国からも多数の貴族などが来るのだ。今さら運営できませんなんて言えなかったのかもしれない。
「……そろそろ帰らないとアリスが拗ねそうだけど……流石にここを離れる訳にもいかないよね」
後で機嫌を取るのが難しそうだがまぁしょうがない。そこら辺は頑張ろう。
「面白い」「続きを読みたい」という読者様はお気に入り登録、評価、感想をよろしくお願いします!




