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揃う役者達

後一、二話で悪魔変終わると思います。

ゴウッと風が吹き荒れる。

別に魔法によって発生した風ではない。

ナルナが身体強化でテュポーンへと突進したことにより発生した突発的な暴風。

それが辺り一帯に撒き散らされただけなのだ。


「死に絶えろ」


ナルナの勢いが死ぬ。

それに驚愕の表情を浮かべるがすぐに瞳を鋭く光らせるともう一度身体強化で


「死に絶えろ」


再度ナルナの勢いが死ぬ。

しかしもう一度、今度はとてつもない殺気と共に膨大な量の魔法を


「死に絶えろ」


その全てが消失する。

まるで最初から存在そのものがなかったかのように。


「だから言ったであろう? 無駄なのだと。貴様程度の実力で我に攻撃するなど不可能よ」


「一体何が……」


「……『宣告』ですか〜相変わらずとんでもない権能ですね〜」


『宣告』? それがあいつの使っている能力か……?


「当然だ。我は最強たる存在よ。貴様らとは違うのだ。……エリクシール、貴様は随分と弱くなったな?」


「まぁそうでしょうね〜今の世界はあの頃とは比べ物にならない程平和ですからねぇ〜私達神々が力で支配する時代は終わったのです〜世界も特に干渉しては来ませんし案外これが世界の望みだったのでは〜?」


どうやら世界は神であるエリクシール様の邪魔をすることができるらしい。

会話から察するに世界が上司で神は社員のようなものなのだろうか?


「それがどうした! 我はこの世界に生まれたのだ! であれば世界を支配したいと思うのは当然であろうよ!」


「別にそうは思いませんけどね~今を生きている人間達に任せておけばいいんですよ~私達のやることは世界が破壊されないようにバランスを整え管理することでしょ~? ならそれでいいじゃないですか~?」


「いいわけが無い! 我らは世界の支配者だぞ! 断じて世界の奴隷である管理者などではない! しかし貴様らはそれを受け入れてのうのうと生き続けやがって! もう我慢の限界だ! やはり貴様はここで果てろ!」


テュポーンから黒い靄のような何かが溢れ出るとエリクシール様に向かって来る。

それはまるで意思を持った生物のようにも見える。

しかしそれらは唐突に消え去ることになる。


「……忘れたのですか~? 私にあなたの力は効きませんよ~?」


パキンというガラスの割れるかのような音が聞こえると黒い靄は散り散りになって消えていく。

まるで最初から何も無かったかのようにそこにはさっきと何も変わらない光景が広がっている。


「忌々しい! 確か『白い箱庭』だったか?」


「えぇ正解です~まぁ私達の権能は特定の条件下で発動するものがほとんどですが私の『白い箱庭』には条件なんて無い分便利なんですよね~」


「ほう、条件の無い権能か……羨ましいものだな」


テュポーンはそう言って嗤うと右手を出す。

手のひらは上へと向けられていた。

すると手のひらから真っ黒な靄が現れ手のひらを覆い始める。

そして数秒後には所々が朽ち果てた真っ黒な盃が現れた。


「これは私の持つ神器の一つ、『黒血の盃』だ。能力は……まぁ体験してもらった方が早いな」


『黒血の盃』傾けるとそこから粘着性のある赤黒い液体がこぼれ落ちる。

するとその液体がこぼれた場所に液体と同じくらい赤黒い魔法陣が現れる。

そしてそこからぐにゃりと水が蠢き人の形をとる。

それはどう見ても目の前のテュポーンにそっくりだった。


「久しぶりに呼び出されてみればまさか神がいるとはな……おまけもそれなりにいるようだが別に無視して構わんな?」


「エリクシールの隣にいる少年には注意しろ。やつはエリクシールのお気に入りだ」


全く同じ顔と声で会話をしている光景を見るのはとても違和感がある。

液体のテュポーンは納得したように頷くと俺に向かって足元の水を飛ばしてきた。

しかし水は先程の黒い靄と同様に掻き消えていく。


「ほう、権能の無効化か……また面白い権能だな」


とりあえずエリクシール様の後ろにいればひとまずは安心らしい。

しかし安心したことで冷静に状況を観察することができるようになったな。

ナルナは攻撃が封じられたことで警戒し、中々近寄っては来ない。

テュポーンは自身と同じ姿の水の分身に任せ切りで動こうとしない。

エリクシール様は神力を纏いいつでも攻撃ができるように待機している。


「面倒だな……なぁ我、手伝う気は無いのか?」


「手伝わなければ駄目か? 力を失った女神なんぞ叩き潰すのは容易であろうに」


「やつの権能が無ければな。我はお前から記憶を引き継いではいるが急ごしらえ故に完璧では無い。であれば知っている我の援護があった方が楽なのだよ」


「……まぁいいだろう。ではまずやつの権能、『白い箱庭』についてだがその能力は一定範囲内の権能の無効化だ。つまりやつに権能による攻撃は一切効かない」


「なるほど、ではどうする?」


「簡単な話だろう。権能に頼らなければいい」


本物のテュポーンがそう言うと袖をまくり、また黒い靄が手を覆う。

そして煙が晴れるとそこには翼を広げた竜の装飾が施された黒い剣が現れる。


「神器『夜の闇』ですか~確か夜という概念を固めて作られた神剣でしたよね~」


「その通りだ。この剣は太陽神の怒りによって地上を焼き始めた太陽の光を中和するために作られた剣。つまりは太陽すらこの剣の前には無力よ! さぁ絶望するがいい! 全てを無に帰そう! さすれば世界は正しく生まれ変わる! その邪魔は何人たりとも許さんぞ!」


黒いオーラのようなものがテュポーンを中心に吹き荒れる。

恐らくこれが神力なのだろう。

確かにこれは次元が違う。


「おうおう! 大変なことになっておるのぉ」


誰も居ないはずの背後から声が響く。

また乱入者か!

どんだけ多いんだよ!


そこには真っ白な髭を持ちまるでどこにでもいる普通の老人のような雰囲気を醸し出していた。


「妖精王だと!? 貴様なぜここにいる!?」


「ありえん! やつは1000年前に封印されたはずだぞ! そもそもなぜここが分かったのだ!」


「……これは意外ですねぇ~まさかここに来るとは思ってもいませんでしたよ~」


この老人は妖精王と言うらしい。

……妖精王? まじで?


「わしも来ようとは思っとらんかったよ。しかしのぉ」


そこまで言うと妖精王は俺をチラッと見た気がした。

しかしすぐに視界を戻すとニヤリと好戦的な笑顔を浮かべる。


「さっき妖精鄉に5人程妖精が来てのぉ。流石に驚いて訳を聞いたら契約者がいる話から始まって、それから邪神に一度殺されたと言うじゃないか。まぁ流石にそれを聞いては世界の掃除屋として参加しない訳には行くまい?」


聞いたことがある。

妖精というのは世界を破壊しかねない原因を取り除くための役目を背負っているらしい。

そして全ての妖精達の父である妖精王はその存在だけで世界の安定させることができるらしい。


「神の奴隷である妖精風情が! 我に楯突くだと!? ふざけるなよ!」


「薄汚い掃除屋めが! 今すぐ消え失せよ!」


「人聞きの悪い。わしは貴様ら神の失敗の尻拭いをしてやってるのよ。感謝して欲しいのぉ」


「そう言われると何も言えないですね~」


エリクシール様はバツが悪そうに苦笑いしながら頬をかく。

なんとも可愛く見えるのはエリクシール様だからなのか中身がアリスだからなのか……

おっとこんなことを考えてる場合じゃなかったな。


「まぁいいわい。では改めて名乗ろう! わしの名は妖精王オベイロン! 妖精達の王にして世界の調律者よ!」


高らかにその名を唄う。


「くそっ! 今更貴様なんぞに邪魔されてたまるか!」


「その通りだ! 我らの悲願はもうすぐ達成される! 我らは正しき世界を求める者! 新たな始まりを唄う者! 世界は我々が修復する! 貴様らには、死による終わりこそが相応しい! さぁ渇望せよ! 我らはそれを認めよう! 至高の世界へ旅立つ時だ! 死毒の世界はすぐそこにある! 世界とはすなわち我であり、世界とは孤独と蹂躙が横行するもの! さぁ至れ! 我は新たなる王、絶対にして苦悶と微睡みの支配者! 怪物の神? 知ったことか! 我は全ての支配者! 凡愚な者共に測れる器では無いと知れ! フハハ、ハハハハハ、ハッハハハハハハハハハハ!!!!」


言葉と同時に躍りかかってくる!

しかしその攻撃が届くことは無かった。

なぜなら……


「テケリ・リイイイイイイ!」


天にも届かんばかりの絶後の咆哮が響く。

それは聞くものを狂気に堕とす。


というかあれショゴスだろ。

あいつテケリ・リって言ってたし間違いない。

……控えめに言って最悪では?


建物をまるでゴミのように蹴散らし、そして絶叫しながら無尽蔵に触手を伸ばしてくる。











今ここにエリクシール(女神)テュポーン(邪神)オベイロン(妖精王)ショゴス(狂気)が揃った。

破壊と創造の新たなる神話がここに作られる。

分かるのはただ一つ。

勝者はただ一人だということ。





はい、ショゴスでした。

詳しくは皆さん調べて見てください。

この小説に合わせてちょっと改変してあります。

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