貫く雨と地の牙
今回は地味に悩んだw
そしてお知らせです! 12日に新作を投稿します! 読んでくれると嬉しいです!
「オオオオオオオオオオオ!」
死の騎士は初の声を上げる。
しかしそれは声と呼べるものではなかったが。
死の騎士は腰に下げてあった黒いモヤを纏う剣を勢いよく抜き放つ。
そしてドンッという音を立てて地面を蹴り俺とアリスに向かって突っ込んでくる。
俺は咄嗟に『ファイアーボール』を放ち牽制する。
しかし『ファイアーボール』は死の騎士にぶつかった瞬間魔力が霧散し『ファイアーボール』が掻き消えた。
なんらかのスキルが原因か?
「オオオオオオオオオオオ!」
咆哮を上げて剣を振り下ろす。
ギリギリで横に飛び回避する。
さっきまでいた所を見ると剣を叩きつけた衝撃でクモの巣が張ったように地面が凹んでいた。
死の騎士はゆっくりと立ち上がり俺を睨みつける。
そしてまた俺に向かって走り出す。
「オオオオオオオオオオオ!」
横薙ぎに振られた剣が俺の顔目がけて振り抜かれる。
それを間一髪でしゃがんで躱す。
頭上で剣が通過したことによる風切り音がなる。
あっぶねぇぇぇぇぇ!
こいつほんとに強いな。
「なかなかの反応速度じゃな! ではこれはどうかな!」
ゴデアは懐からいくつかの目玉を取り出すと詠唱を始めた。
”暗がりを泳ぐ眠りの番人よ! 血に濡れたその身を晒しだせ!”ワイト!」
目玉がどす黒い紫色に輝きその形を人型へと変化させた。
それは骨と皮でできた人間の死体だった。
死無き屍は正確には人間の死体に取り付いた悪霊のことである。
取り付き方によってはそれは食屍鬼などと呼ばれたりもするがまぁそれはここではいいだろう。それよりも今は死無き屍についてだろう。
死無き屍は魔法を扱うアンデッドで人間と会話を行える程の高い知能を有している。
人間好きの死無き屍が人間と食事を共にしたという話が残る程だ。
とはいえ言葉が話せるようになるのは100年以上の時を生きているものでなければ会話にすらならずアンデッドの本能である生者を憎むという感情に従って暴れ狂うだろう。
そして今目の前にいる死無き屍はたった今生まれたばかりだ。
とてもじゃないが話し合いは不可能だろうな。
さてどうしようか……
「リョーマ。15秒だけ時間を稼ぐわ。その間にさっきのすごい魔法の準備をして」
そう言うとアリスは風のような勢いで俺の後ろから飛び出してった。
「アリス!? お前なにを!」
「いいから早く!」
アリスが構えた杖から黄色い魔法陣が現れる。
「ほう! 小娘! 貴様1人でワシを止められるとでも思ったのかい?」
「えぇ、15秒くらいならなんとかなると思うわ」
ゴデアはピキリと青筋を浮かべると凄絶に笑った。
「いいだろう! その挑発に乗ってやろう! 行け!」
死の騎士は剣を持ち突っ込み、死無き屍は『ファイアーボール』を連射する。
「”輝け黄金の天壁、夜を弾き昼を仰げ!”『シャイニングウォール』!”」
光り輝く四角い壁が現れ俺とアリスを囲んだ。
光属性中級魔法『シャイニングウォール』
光属性の魔力で障壁を作りあらゆる魔法の威力を減衰させることができる。
闇属性の魔法なら完璧に消滅させられる。
まぁそれはさておきアリスも頑張ってくれてるんだ。
俺も頑張らないとな。
「”それは留まることを知らず、流れ、降り落ちる、善悪を問わずただ降り続く! 悲しみは天を落とす!”『レイニーアロー』!”」
その時、アリスの結界が音を立てて破れて漆黒の剣と燃え盛る火球がアリスを襲いかかる。
しかし間一髪でそれらは全て外れた。
メアの幻術によって違う位置にアリスが見えていたのだろう。
そしてイグニスとオルヴィアナが俺のそばに連れてきた。
そしてそれと同時に魔法が完成する。
空を覆うほどの巨大な青い魔法陣が生まれそこから雨が降り注ぐ。
万物を貫く死の雨が。
水属性妖精魔法『レイニーアロー』
大量の魔力を含んだ雫を降らせて敵を貫通する魔法。
『グングニル』や『テンペスト』と同じように範囲殲滅を目的とした妖精魔法となっている。
「がァァァァァァァァァ!?」
ゴデアが悲鳴を上げる。
とんでもない速度で降りしきる雨はゴデアとその召喚獣達を貫いた。
俺とアリスは結界の中で雨が止むのを待っている。
しかしただ待っている訳では無い。
俺は既に次の魔法の準備をしている。
杖に魔力をを集めていつでも詠唱が行えるように準備する。
そして数秒後にようやく雨が晴れゴデア達の姿が見えた。
死の騎士剣が半ばからポッキリと折れていた。
鎧のあちこちに穴が開き左足が千切れる寸前だった。
そもそも死の騎士は珍しく物理攻撃が普通に効くアンデッドなのだ。
アンデッドは肉体を持っているかどうかで攻撃が効くかどうかが決まる。
死の騎士は鎧そのものが本体という極めて珍しいアンデッドなのだ。
まぁ正確には鎧に取り付いた末期の感情が取り付いたというアンデッドなのだが。
だから死の騎士には物理的な攻撃が効く。
そして死無き屍はと言うと頭部の左半分が欠け両腕と左足が根元から無くなっていた。
死無き屍も肉体があるため物理的な攻撃が通じる。
しかし全員とも生きていた。
恐らくゴデアが魔力を展開し威力を減衰されたのだろう。
まぁ関係ないけどな。
「”地を呑み地を這い地を喰らえ! 餌はお前の上にある! その顎を開くがいい!”『グランドファング』!」
地面が割れた。
そして死の騎士と死無き屍を飲み込み、閉じ込めた。
底が見えないほどの大きく、そして深い亀裂。
そこに落ちた上に亀裂が閉じたことによってプレスされているのだ。
助かるはずがない。
「貴様ァ!」
ゴデアが吼える。
その目は怒りに染まっていた。
俺もこいつに対する認識を改めよう。
今まで妖精魔法で仕留められない敵はいなかった。
俺はついさっきまでこれで正直油断していた。
妖精魔法があればなんとかなる。
そう思って戦ってきた。
しかしこいつに限ってはそれは通用しない!
俺はこいつをよく観察して弱点を探り、挙動の一つ一つを警戒する必要があるのだ。
油断して勝てるような相手じゃない。
俺はこいつに勝つ!
♢♢♢♢♢
エスゲルから遠く離れた山脈にて
「……ケ……リ」
遠く離れた悪魔の群れに反応し狂気が目覚め始めていた。
なんか最後の方の主人公がジョジョっぽくなってしまった……




