フェイ登場です
タイトルは後々変えるかもです
「じゃあ遊びに行ってくる」
「おう! 楽しんでこいよ」
両親に見送られて家を出る。
前世では両親は朝早くから仕事に行っていたためそんな事は1度も無かった。
だから見送られるというのは俺にはとても嬉しいことなのだ。
まぁとりあえずいつもの所に遊びに行こうかな。
多分アリス以外はいると思うし。
流石にアリスは昨日の今日で来ないだろう。
「やぁリョーマ! 久しぶり!」
「フェイか。久しぶり」
呼ばれたので振り返ると青色の髪に黒い瞳、そして眼鏡をかけた少年がいた。
「アリスのことは聞いたか?」
俺がそう聞くとフェイは真面目な顔をして答える。
「あぁ聞いたよ。襲われたんだってね」
「だから今日はみんなを誘ってお見舞いに行こうかなと思ってな」
「いいんじゃないかな? じゃあ僕はみんなを誘うからリョーマは先に行っておきなよ」
「え? みんなで一緒に行けば……」
「リョーマ? 僕はみんなを誘うからリョーマは先に行っておきなよ」
……こいつ、俺とアリスを二人きりにしようとしてないか!?
あいつこの所結構アピールしてくるから色々耐えるのきついんですよ? ほんとにあいつ5歳かよ……
俺の中身は前世合わせて21歳だからね? 色々と来るものがあるんですよね……
21歳が5歳興奮すんな? 身体は5歳だから地味にそっちにも引っ張られるんだよ。
しかしフェイは俺をじっと見つめ続ける。
そんな顔すんなよ。罪悪感が湧くだろ?
……分かったよ! 行けば良いんだろ!
どうなっても知らないからな。
いや、俺からどうこうすることはないけどさ。
ただ情けない話最終ラインは守るとしてもギリギリまでは押し切られそう。
情けないと思うなかれ。
女は怖いのだよ。
「はぁ……分かったよ。行けばいいんだろ?」
「そうだよ。初めからそう言えばいいのさ」
フェイはこんなやつだ。
俺とアリスを見てるともどかしくてイライラするそうだ。
早くくっついてしまえと顔を合わせる度に言われる。
お節介だとは思うが俺達の為を思ってたけど悪い奴ではない。
そしてアックスがアリスを狙っていることも俺達幼なじみは全員知ってる。
そして俺たち全員がアックスの事が大っ嫌いである。
だからアックスにはアリスを絶対に渡すものかと俺とアリス以外の幼なじみが団結してる事を俺は知ってる。
何を隠そう目の前にいるニコニコ笑ってるこの男、フェイこそがそのグループの創設者だったりする。
「じゃあ後からちゃんと来いよ」
「あぁもちろん。ちょっと時間がかかるかもだけどあまり気にしないでね」
「さらっと俺とアリスの二人だけの時間を増やそうとしてんじゃねぇ!」
ほんとに油断も隙もない。
まぁしかし今回はそんな事にはならないだろう。
昨日あんなことがあったばかりなのだ。
色々と落ち込んでいるはず。
フェイもそれは分かっているのだ。
だからこの会話は空気が重くならないようにというフェイの気遣いなのだろう。
こいつこそほんとに5歳なのかと聞いてみたい。
まぁ全部がそうという訳ではなさそうだけど。
さっきの話も少し本気だったしな。
「全く……早く来いよ?」
「ちっ分かったよ」
おい、今舌打ちしただろ。
笑って誤魔化そうとすんな!
聞こえてんだよ!
♢♢♢♢♢
全くあの野郎。
いらない気を回しやがって。
そんな事を思いながら歩いていると今アリスがいる教会の孤児院に辿りつく。
アリスの家は昨日の騒動で帰れなくなったためリズ婆さんの提案で教会の孤児院で一時的に預かられている。
「リズ婆さん~いる?」
扉を開けながらそう尋ねると奥の部屋から
リズ婆さんが出てきた。
「……リョーマかい」
なんかあからさまにほっとした顔をされたな。
「何かあったの?」
そう聞いたがこっちをじっと見た後思いっきりため息をつかれた。
「全く……本当に気づかなくていい事に気づく子だよ……」
「……何かあったんだね?」
そうじゃなかったらこんな反応はされないだろう。
多分……
「……まぁあんたになら言ってもいいか……さっきね、ガディアスの馬鹿息子が来たんだよ」
アックスが?
何しに来たかは何となく分かるな。
分かりたくもないが。
「あの馬鹿はアリスに向かって自分の妻になれと言いに来たのさ。傷心のアリスに向かってだよ? 思わず殴った私は悪くないと思うね」
良くやったリズ婆さん!
「あのクソ馬鹿! このタイミングで来んのか!」
「落ち着きな。アリスに聞こえるよ」
おっとそうだった。
本来の目的を忘れる所だった。
「アリスは?」
リズ婆さんの顔が曇った。
「実はアックスが来てからまた部屋に塞ぎ込んじまってね……しばらく出てこないのさ」
ほんとに余計な事しかしないな!
今度会ったらとりあえず殴っとこう。
「まぁあんたが会おうとすれば出てくるかもね。頼めるかい?」
「分かったよ。そのために来たようなもんだし」
とにかくどうするかは会ってから考えよう。
意を決して扉をノックする。
「アリス?入ってもいい?」
ガチャ
「……速攻で鍵開けられたんだけど……閉じこもって出てこなかったんじゃなかったの?」
リズ婆さん……アリスは意外と元気じゃないですか……
「全くあの子は……まぁとにかく問題なくて良かったよ。さっさと相手しといで」
「分かったよ。じゃあ入るよ」
しかし扉を開けた瞬間部屋の中に引きずり込まれた。
「ちょっ!?」
ガチャ
そして速攻で鍵を閉められた。
「アリス! いきなり何す……アリス?」
文句は途中で言えなくなった。
何故かと言われればアリスが泣いていたからだ。
「一体どうしたんだよアリス。アックスの馬鹿なら今度俺も殴っとくから、元気出せって」
「……それはよろしく……ってそうじゃなくて……ちょっと見て欲しいものがあるの」
そう言って突然服を脱ぎ出した。
「ちょっ!? 駄目だってアリス! いきなり服を脱ぎ出すな……」
文句はまたも途中で形にならなかった。
理由はアリスの後ろの首筋にある黒い紋様を見てしまったからだ。
それは……
「奴隷紋……?」
奴隷紋は奴隷が奴隷であるとはっきり示すための紋章で闇属性魔法の特級だったはずだ。
「マジかよ……それは誰かに見せたか?」
「見せてない……こんなの見せられるはずないよ! ねぇ私どうしたらいい!?」
それはおさない少女が背負うにはあまりに残酷な運命だった。




