第6話団長との決別
「見捨てるというのか、だと? 寝言は寝て言え、愚かな人間め」
絶望するガイル団長を見下ろし、ルシエラが冷酷な笑みを浮かべた。
彼女から放たれる圧倒的な魔王の威圧感に、聖騎士たちはそれだけで失禁しかけている。
「れ、レン! なぜお前が魔王と一緒にいるんだ!? まさか、魔王軍と手を組んで国を滅ぼすつもりか!?」
「いや、手を組んだっていうか……ルシエラは今、うちの『全自動・畑耕し係兼門番』として雇ってるだけだけど」
「はぁぁぁっ!? ま、魔王を、雇う……!?」
ガイルたちは、脳の理解が追いつかないという風に白目を剥いた。
世界を滅ぼす魔王が、エプロン姿(※レンがバグで作成した)でクワを肩に担いでいるのだから当然だ。
「フン、その通りだ。私はこのレンの圧倒的な『バグ技』に敗れ、現在は彼の配下としてこの楽園を守っている。……ガイルと言ったか。貴様らの戦い、私も特等席で見せてもらったぞ」
ルシエラはガイルの前に歩み出ると、フンと鼻で笑った。
「貴様らは、レンが裏で私の軍勢を完全にフリーズさせていたからこそ、安全に手柄を立てられていただけのハリボテだ。その恩人を『突っ立っているだけで何もしていない』と罵り、ゴミのように追い出したのだろう? レンという最強の盾を失えば、自分たちがただの肉塊に成り下がることも分からずにな」
「う、うぐ……っ!」
「己の無知ゆえにすべてを失い、いざ窮地に陥れば、放り出した相手に泣きつく。――人間の強欲と醜さには反吐が出るわ。よくもまあ、そんな恥知らずな面を下げてレンの前に現れたものだ。消え失せろ、戦う価値もない無能どもが」
魔王ルシエラによる、完璧な正論のフルボッコ。
ガイル団長は反論の一言すら見つけられず、ただただ屈辱と恐怖でガタガタと震え、涙を流すことしかできなかった。
「レン、もうよいだろう。こやつらの【存在フラグ】を書き換えて、消滅させてしまっても構わんか?」
「いや、そこまでしなくていいよ。敷地外に放り出しちゃって」
「承知した」
ルシエラがパチンと指を鳴らす。
すると、ガイルたちの身体の座標がバグり、凄まじい速度で空の彼方へと弾き飛ばされていった。
「ぎゃあああああーーーっ!?」という情けない悲鳴が、遠くの空に消えていく。
【全自動・不審者強制射出システム】の稼働は今日もバッチリだ。
「ふぅ、片付いたな。手伝ってくれてありがとう、ルシエラ」
「ふふん、門番の仕事としては当然だ。それよりもレン、さきほどの肉の続きが食べたいぞ! あと、温泉の温度をもう少し上げてくれ!」
「はいはい、今バグらせて調整するよ」
遠くの王都で騎士団が完全に崩壊し、国がひっくり返ろうとしている裏で。
俺たちの全自動スローライフは、今日も最高に平和で、最高に快適なのだった。
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