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ほら吹き姉さんってなんだよ





 独裁官ラスアジィンニコフ・カエセリオンのマレ・ノストルム再統一から2年後、星暦356年。アルペン=フランク属州のとある場所には今年10歳になったばかりの少年が住んでいた。


 「暑いな……」


 夏も中盤に差し掛かり、酷い暑さが体を襲う。なので俺は今日は川で水浴びをする事にした。そして今、川の上で浮いている。


 「あ、怒られるよ。服のまま泳いでさ」


 綺麗な格好をしたお姉さんが小さな橋の上から俺に話かけた。この人の名前は知らない、でもよく俺の話相手になってくれる人だ。


 「いいでしょ別に。どうせ汗まみれになって洗濯するんだから、汗触るより水触った方が不快感なくて楽でしょうが、選択する側も」


 「お貴族の坊ちゃんは洗濯をした事ないからそう言う」


 俺はこの人をほら吹き姉さんって呼んでる。ちょっと酷いが、この人の吐く嘘に比べれば酷くない。だってこの人、自分の事をヘリオース・エルガーベラスって言ってるんだ。殺された皇帝の名前、しかもヘリオース・エルガーベラスって言ったら民衆から飯をとりあげて美少年奴隷を買い漁ってたような無能で変態の皇帝だ。そんな人の名前を騙るなんて正気とは思えない。


 「お貴族の坊ちゃんで悪いですか」


 「世間知らずで人の上に立つのは怖いよ」


 川から上がって上着を絞って水気を取る。正直世間知らずで上に立つよりも俺は貴方が怖いけどね。だって経験してない癖に国家元首を経験したような口ぶりで語ってるんだ。


 「またそんな事を……ヘリオース帝はそんなに世間知らずだったのですか?」


 「まぁね。すぐに思いつきで行動するような人だから、私」


 姉さん俺の手を握ってから振り返った。


 「その服じゃ帰れないでしょ。うちで食べていきな」


 手を握って少し歩き、姉さんの住む家に辿り着いた。なんと言うか、高そうな家だ。赤煉瓦と白の外壁の家、屋敷ほどの大きさはないが、豪華さとか手のこみようでは俺の上にも負けていない。


 「入りなよ」


 食器棚に並べられた食器にはなんと言うか統一感というものがない。同一の地域で作られている感がないのである。この人、行商人でもやってて、1発デカい山を当てたら金余りすぎてその後全部余生みたいになってるんだろうか。でも商人特有の口調から感じられる腹黒さとか寛容さは感じられない。だからなんだろう、この人何やってる人なんだろうか。


 「あ!珍しいね貴方が人連れてくるなんて」


 綺麗な女の人だ。紫の瞳と煌びやかな金髪をしている。


 「そうかな。それでさ、ご飯作っとくからこの子に風呂貸してやって」


 「ん、いいよ。んじゃいこっか」


 大きなバスタブに姉さんと一緒に住んでいる金髪の姉さんと入った。なんだろう、お互い裸になっているのになんと言うか、この人は怖く感じる。ニコニコして優しい人なはずなのに、この金髪の姉さんはなんか怖い。


 「ん、そういや名前聞いてなかったね。君なんて名前なの?」


 「クローヴィス・オーレンです」


 顎に手を当てて考えている。当然だろう、この辺に住んでいてオーレンの名を知らないと言うのは中々ない。


 「ソレイユ、貴方フランク総督のご子息なの?なら大変じゃない?ラスアヅィンニコフ・カエセリオン暗殺事件とか起こってさ」


 1ヶ月前、終身独裁官ラスアヅィンニコフ・カエセリオンが暗殺された。政務院のパトシキ・トカーやブルースとかいう人たちは彼が皇帝になるのが恐ろしかったらしい。最後の最後で梯子を踏みはずなんて、可哀想な人だよ。


 「はい、中央がゴタゴタですから属州の総督が独立するべきか否かとかそういう話をしてます、父さんも」


 「貴方はどう思うの?」


 貴方は、ってなんでそんな事を聞くんだろう。だって俺に決定権がある話じゃないだろう、独立なんて。だから意味のはない話なのに。


 「独立……するべきなのかもしれない。共和国の首都のノストルムとこことじゃ文化が全然違う。別々の国である方がいいとは思います」


 「そう、だとしたら名前とかって何にするの?」


 名前……もし自分が国をなるならこうだろう


 「フランク……いやソレイユ王国とかですかね。太陽なんて、いいじゃないですか、暖かくて」


 「んじゃ貴方はクローヴィス・ラソレイユでクローヴィス一世だ」


 「気が早いですよ、別に俺はそんな事したい訳じゃないんです」


 風呂から出て身体を拭く。その最中、なんか香ばしくスパイシーな香りが鼻を刺激する。嗅いだことがない料理の匂いだ。


 「あ、また作ってんだ」


 さっきまで来ていた服をもう一度着るが、なんか乾いていて暖かいし薔薇みたいな匂いもする。魔法で洗濯したんだろう。あの人意外と器用なんだな。


 「ほら出来てるよ」


 二人で風呂場を出て、食卓に向かった。そこには何かデカいパンと赤色で水分が少なそうなスープがあった。


 「何です?これ」


 初めて見た料理。こんなデカいパン食べれるのだろうか。


 「ナンとカレーだよ。遠い国の料理なんだけど私がこれ好きだからさ」


 これが私、初代ラソレイユ国王クローヴィス一世の幼少の記憶である。


 

これにて終了です。最後の方時間取れなくて駆け足気味になっちゃったかも。


んで次のシリーズですが絶対にふざけます。古代エジプト冒険物にします、政治宗教の話はメインにはしないけど、どうせ我慢できなくてやっちゃうでしょう。

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