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GREEN MOLES  作者: 沖見 るもい
第12章 人魚の守り人
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「あっ、フル! ダダコにフッカも」


 フッカ達が見つけたという穴のところへ向かうと、そこにはコラダと人間の姿のハナがいた。どうやら彼らも手頃な隙間を探しているうちにここへ行きついたらしい。


「ハナ、中を見ましたか?」

「ええ、さっき……」


 そう話すハナの表情が曇っているように見えた。


「どうしたんです」

「中に人が……」

「フッカから聞きました。こちらに気付いているのでしょうか」

「どうかしら」


 そう言って自分の目線よりわずかに高いその穴を指差す。フルは小さく頷いて覗き込んだ。

 中はやや広い空間になっていて、おそらく天井には光が入るほどの穴が開いているのだろう。中心には巨大な鍾乳石が数本垂れ下がっており、それは美しい半透明である。その空間は、差し込んでいる星々の光のためか、はたまたそれ自身に発光する性質があるのか、その巨大な鍾乳石を中心にほんのりと青白い。間違いない、アレが【人魚の涙】だ。そしてどこからか流れてきた地下水がそれらをぐるりと取り囲んでいる。辺りは苔のような植物がびっしりと生い茂り、幻想的な風景であった。

 ただ、そこにたたずむみすぼらしい老婆を除いては。

 老婆は何をするわけでもなく、じっとマーメイドの雫がしたたり落ちるのを眺めている。


 何をしているのだろう。


「どうするの、フル」


 穴から目を離し、振り向くと、心配そうな顔を向ける面々がいる。


「とりあえず、ネズミの姿で中へ入ります。ただ、一応、採取に関しては、我々は手を出してはいけないということになっておりますので、私が合図をしたら、フッカはマーメイドの先端を狙撃してください。ダダコかコラダ、回収をお願いします」

「一人で大丈夫、フル?」


 ダダコは眉間にしわを寄せて、フルを見上げた。


「私は01ですよ。なるべく傷つけないように、とは思いますが……」


 そう言ってダダコの頭に手を乗せ、軽く撫でる。


「ダダコ、穴に手を掛けていただけますか」


 橋にするつもりなのだろうと理解したダダコは小さく頷くと、手を伸ばして穴に手を掛ける。気付くとフルの姿はあっという間に真っ白い毛皮のネズミに変わっている。するするとダダコの腕を駆け上り、穴の縁に立つと一度振り向き「では、行ってきます」と言って、穴の中へ下りた。

 小さな穴を競い合うようにして覗こうとする三人を、ハナは苦笑しながら見つめている。


『アンタ達、端末にはカメラが付いてるって知ってるわよね?』


 フッカの肩の上でいまだ蛙の姿でいるグニウがけらけらと笑っている。

「あ……」


 それに気付いたコラダがポケットから端末を取り出し、慎重に穴の縁に乗せた。


「二人共、僕の端末と繋いで」


 その言葉でダダコとフッカは慌ててポケットをまさぐる。コラダの端末と回線を繋ぐと画面に穴の中が映し出された。

 画面にはネズミ姿のまま、ゆっくりと老婆に近づいて行くフルの姿が見える。

 老婆は滅多にない客人の姿に気が付き、ゆっくりと身を屈めた。


「フル……」


 大丈夫だとは思っていても、何だか祈らずにはいられなかった。



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