現状の呆れ
前回のあらすじ
目の前の少女エレナと会話し、もう一度頑張ろうと奮起する守。
そして自分の知らないまま恵令奈と契約してしまったのだった
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「お兄ちゃんは冒険者試験受けるの?」
冒険者認定試験を受けるつもりで入るではある。
問題は受かるかどうかだが、まぁ、でも……。
「受けるよ、君達と一緒に冒険したいし」
「__そっか」
とはいえ、どうするか……。
彼女にはああいったが、彩花の件をどうするべきか考えている。
あんなことを言った手前、「もう一回一緒に冒険しよう!!」なんて図々しいこと言えるわけがない。
今回は許してくれるかわからない。
あんな表情をする彼女は初めてだったから、いつもならあからさまに不機嫌になって数日たったらいつも通りだが、今回は長い。
「ねぇ、お兄ちゃん。もしかして、彩花ちゃんと何かあった?」
「あ~、うん。ちょっとね」
僕は彼女に全てを話した。
自分が彼女に酷い事を言った事、彼女がそれに対して怒った事。
それを話し終えると、彼女は「なるほど」と納得したように頷く。
「まぁ、お兄ちゃんが全面的に悪いね」
彼女はそっけなく言った。
事実だが、言われると少し凹む。
「それで、どうするの? このまま喧嘩別れしたままにはしないよね?」
「うん、そのうち仲直りしようとは思ってる」
「そのうちって、いつ?」
「……そのうち……」
そういうと、呆れたように深く彼女は溜息を吐いた
その溜息、傷つくなぁ~。
自分が悪いと再認識させられる。
「今彩花は何処にいるの?」
「多分、お気に入りのあの場所にいるんじゃないかな」
彼女の日課は把握している。
彼女の行動がシンプルというのもあるが、僕も付き合わされてきたので大抵彼女の行動は把握しているのだ。
「あの場所?」
「うん、彼女お気に入りのスイーツ店」
彼女がいるとすればスイーツ店もしくは訓練場のどちらかだ。
今日に関しては週に一度のチートデー?とか言う彼女特有の時間だ。
甘いもの解禁日、普段彼女が節制している代わりにその日に一気に食べる日らしい。
「スイーツ……」
おや?
スイーツ、好きなのかな?
そう思っていながら歩いていくと、彼女お気に入りのスイーツ店に着く。
名を果物の雨、果物盛りだくさんをおモチーフに考えたそうだ。
ここは名の通り、フルーツがメインで、生クリーム等のカロリーを抑えたお店で女性に人気の店だ。
「いらっしゃいませ!!って守じゃないか!!」
元気一杯に接客するのは、この店の看板娘の澪音ちゃんだ。
甘栗色の綺麗な髪に、幼げな大きく開かれた丸い瞳、可愛らしい見た目とは違い活発で男勝りなおんなのこだ。
「こんにちわ、彩花いる?」
「あ、彩花? さぁ、私にはわかんないなぁ~」
瞳を泳がせながら怪しさ満載の嘘を吐く彼女、彩花に口止めされているのだろう。
「空いてる席ある?」
レインにそういうと、彼女は「はい、追加ね」そう言って席に案内してくれる。
そして案内された場所の近くに彩花がいた。
「こちらの席でよろしかったでしょうか?」
わざとらしく彩花に目を合わせないように僕に言った。
僕が「ありがとう」と言葉にすると、「ごゆっくり」と素早く去って行った。
「久しぶり、彩花」
恵令奈が彩花と目を合わせいった。
「ん? 恵令奈? 恵令奈じゃない、久しぶり」
彼女を一目見た瞬間にそう言った。
「まぁ、座りなさいよ」
恵令奈にそういうと、貴方もねっと言わんばかりの氷のような瞳で見つめてくる。
「ここ、何がお勧め?」
「苺尽くしとかいいんじゃない? 恵令奈、苺すきだったでしょ?」
「覚えててくれたんだ、嬉しいな~」
えへへっと嬉しそうに笑う彼女を見て照れくさいのか、彩花は頬を少し赤らめながら鼻を鳴らす。
この感じ、懐かしいな。
彼女は天真爛漫で思った事を口にするので、彼女は照れ臭くなるいう構図が毎回起こっていた。
「ご注文は?」
ベルを鳴らし、 しばらくして澪音がやってくる。
「苺尽くしってありますか?」
「苺尽くしですね、かしこまりました」
そうしてしばらくして、彼女は苺が多く積まれたいち後に加えて底に雪のような形をした紅いかき氷の料理が運ばれてくる。
「なにこれ!? かき氷じゃないの!?」
底の方を見て、彼女は目を輝かせながら見ていた。
そして彼女はフォークで苺を突き刺し、小さなお口いっぱいに広げ頬張るように口に含む。
彼女は口でモグモグしながら幸せそうな笑みを浮べる。
「んで、君は何の用?」
美味しそうに食べる恵令奈をよそに彼女はじっとこっちを見てくる。
「彩花、食べ終わったら話せないか?」
「……今じゃ駄目なの?」
「せっかくの料理なら、美味しく食べた後に話した方がいいだろ?」
「それもそうね」
そう言ってお互いに食事を終えるまでは一時休戦す事にしたのだった
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