ご馳走様と謝罪
前回のお話
『ご馳走様でした』
食事を終え、皆で手を合わせそう言った。
そうして改めて僕と彩花は向き合う。
「彩花、ごめん!!」
彼女に向かって頭を下げる。
これしかなかった、僕が全面的に悪いのだから。
沈黙が流れる。
彼女は何も言わなかった。
それが凄く緊張感があり、頭を下げ続けている時間が凄く重苦しい。
「なんで、あんなこと言ったの?」
少しして彼女は口を開いた、その言葉で僕は顔を上げ真っ直ぐ彼女を見つめる。
「君が有名になっていくと同時、僕の蔑んだ誹謗中傷に近い記事を知ってるだろ?」
「あぁ、あれね……ちゃくちゃ不快だったわ。 君を蔑むような感じで……それで? その事で悩んでたの?」
「……あぁ」
「気持ちはわからなくはないけどさ」
彼女は言葉を切り、目を細めながら言った。
「ボク、傷ついたよ?」
「……ごめん」
これ以外何も言えなかった。
否、言った所で言い訳にしかならないのだ。
「それで? 謝ってきたって事は何か思い直す事でもあったのかな?」
そう言って彼女は恵令奈の方を見る。
恵令奈は目を合わせると両手を上げ、知らぬ存ぜぬといったポーズで彼女を見つめる。
その姿をみて諦めたように溜息を吐くと、再び視線がこちらに向く。
「それで? 君は僕とパーティーを組もうってそういう事かしら?」
「君が良ければそれでお願いしたい、償いはさせてもらうつもりだ」
僕がやらかした事だ。
責任はとらせてもらう。
「……そう」
そういうと、彼女は近くにあった領収書を取り、僕に渡す。
「これでチャラにしてあげる」
彼女は優し気な笑みを浮かべ、「感謝しろよ?」と言い放った。
先程の冷たい視線ではなく、いつもの優し気で明るい雰囲気の彼女だった。
「だけど、約束して? 二度と諦めないって……何を言われようと僕等から離れないって」
真剣な表情に変え、そう言った彼女に対して僕の返答は。
「あぁ、約束する」
「そっか、ならボクはもう何も言わないよ」
そういうと、彼女は右手を差し出した。
「これで仲直り」
そう言って笑う彼女の手を取る。
よかった、何とか仲直りできて……それに、これで約束が果たせる。
恵令奈の方を見ると、嬉しそうに握手している手を見つめていた。
そして僕らは会計を済ませるのだった。
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次の日、僕は彩花と訓練場に来ていた。
恵令奈は事前に学園に申請し、一日入学生として傍にいる。
「二人とも、がんばれ~」
彼女の声が訓練場を響き渡る。
目を閉じ、集中力を上げる。
彼女に勝つという気持ちを高め、そして目をあけ、彼女を見つめる。
目をあけると、勝気な瞳で彼女はこっちを見てくる。
僕が構えると、彼女も同じく構える。
静寂が辺りを包む。
一瞬でも気を抜けば、彼女の攻撃が僕に届くのだ。
少しして彼女は大きく腰を落とし、屈む。
お得意の突進だ。
僕は感覚のまま剣を向け受けの体勢に入ると、擦れる音がするのと同時に彩花が現れる。
重い!!
これに関しては避けれそうで避けれない。
彼女とつばぜり合いをしていると、遅れて地面を蹴る音が鳴り響く。
そしてお互いの剣技が舞う。
僕は彼女の猛攻を必死に防ぐ。
固有を使ってないとはいえ、この速度は流石天才だ。
「あげていい?」
余裕の表情で彼女は言ってくれる。
「あぁ」
僕がそう言うと、少し彼女の速度が上がる。
致命傷を彼女が避けていてくれてはいるが、一方的に僕の身体に痛みが走る。
そして一方的にやられ続け、力が抜け落ちていき膝をつく。
彼女はそれを見て距離を取り、こっちを見る。
まだいけるでしょ?と言わんばかりに見てくる。
少し休み息を整え、僕は立ち上がって構える。
再び距離を彼女が詰めてくる。
そしてまた何度も打ち付けられ、休んでを繰り返した。
そのまま打ち合い続け、休憩した。
相変わらず、全く歯が立たなかった。
固有を使わない制限とはいえ、まるで歯が立たなかった。
固有を入れれば歯が立たないのは明白だった。
「お疲れ様、二人とも」
そう言って澪音が僕らに飲み物を渡してきた。
彼女特製のフルーツジュースだ。
疲れた身体に聞くジュースだ。
「彩花、強くなったね」
恵令奈の言葉に彩花は照れ臭そうに「まぁね」と言葉を返す。
「ねぇ彩花、私とも一戦やってくれない?」
「えぇ、構わないけど……」
そしてエレナは武器庫の場所へ向かい、木剣を選ぶ。
そして選び終えると、恵令奈と彩花は僕等から距離を取り構えるのだった。
今回の話はいかがでしたか?
主人公守と彩花の差を感じさせるような描写に重きを入れたのですが、上手くいかないものですね。
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