ショルの固有スキル 1
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鏡を出したオババ様がショルに「入んな」と立ち上がっていたショルを突き飛ばしてから、私の手を軽く握って鏡の中に入った。
てっきりおじいちゃんの前に出るものだと思っていたら、何処かで嗅いだ匂いがして、やっぱりオババ様の手に引かれてついて行くと、オババ様の家の中に有る別の部屋の鏡に出たようで、初めに来た、いろんな道具が置いてある部屋に戻ってきた。
ショルさんもオババ様を追いかけて来たが、面倒くさそうな様子を隠さずにオババ様に従っている。
「今から人の屋敷に行くから姿を隠蔽しな」
「えー、面倒くさいー」
なんだか本当に子供っぽい人だな。
「あんたがそんな態度だと、外を見たい他の木族が迷惑をかぶるんだ! いいから隠蔽しな!」
耳に隠蔽のピアスを付けていないのに、ショルさんは魔法? で顔を変えた。
とにかく普通の顔で、良くも悪くも無く、印象に残らなそうだ。
金髪と透き通るような青い瞳が印象的で、それ以外には目が向かないとも言う。
オババ様がまた鏡に入るように言うと、今度は素直に従って、面倒は早く片付けてしまおうとでも言うようにショルさんが鏡の中に素早く入ったので、私もオババ様も続いた。
鏡を通ると、おじいちゃんの驚いた顔をやっぱり面倒くさそうに見たショルさんはオババ様に「早く案内して」と急かす。
本当に自分の興味以外で動く気が全く無さそうだ。
オババ様が足の短い私を抱っこしてついてくるようにおじいちゃんに言ってから、素早くショルさんを連れて部屋を出るが、おじいちゃんは部屋の外に出てから鍵を閉めて、驚く老騎士さんに説明する時間も無く、足の長い木族の2人を追いかけた。
オババ様は迷子にならずに、よく知る場所だと言わんばかりにスイスイと歩いて行くが、良く見るとショルさんは腰を曲げて歩いている。
姿勢が良ければ姿だけでもカッコいいのにな、と残念な気持ちになりながらも抱っこされたまま、おじいちゃんが頑張って早歩きでついて行く。
おじいちゃんが息を乱しているのが心配になり「おじいちゃん、私、走るよ」と言うと「おじいちゃんに任せろ!」と息を乱しながらも力強い返事が返ってきたので、できるだけ軽くなろうと、体に力を入れてバランスをとった。
「なんだか見覚えがあるなー」とか考えていたら、オババ様は扉をノックしないで部屋に入ったようで、部屋の中から驚いた声が聞こえた。
ジョエル兄様の部屋の前に居た騎士に「今から誰も入れるな」とおじいちゃんが命令した後に扉をきっちりと閉めてから鍵をかけた。
そうして、私を床に下ろすとジョエル兄様が寝ているベッドのある方から話し声? いや、叫び声が聞こえてきて、おじいちゃんと慌てて隣室に飛び込むと、オババ様に動きを止められている伯父さんと、ジョエル兄様の服を乱暴に脱がすショルさんの姿があった。
おじいちゃんは呆気に取られた顔をして、どう動いたらいいのか迷っているらしく、私は下半身を裸にされた少年の股間に目をやった。
いや、異性の性器って興味があるじゃんね?
しかし、ジョエル兄様の抵抗の甲斐なく(下半身不随なので動けないが)、すっぽんぽんにされたジョエル兄様は、股間を隠そうとするも、うるさい! とばかりにショルさんに叩かれていて、ジョエル兄様の上着を捲り上げたと思ったら、上半身の服も脱がそうとしていて、おじいちゃんが困り果てていたのだが、なんだか服を腰まで露出させたらショルさんは満足したように、ジョエル兄様の下腹部に手を当てていて、その裏側の腰(多分神経)に手を当てて診察?した後に、私にも感知出来るくらいの魔力をジョエル兄様に注ぎ始めた。
ジョエル兄様の足や下半身は、私が想像していたように壊死しかかっていてマダラに変色していたのだが、良く見ると、ショルさんが強い魔力を注ぐに従って変色が治り、元の健康な肌色に戻っているようだった。
しかし、私が気になるのは伯父さんの次の跡取りのジョエル兄様のぞうさんである。
下半身不随の為に成長出来なかったと思われるジョエル兄様の赤ちゃんのようなぞうさんを何とか立派にできないかと、もう抵抗していない伯父さんの近くに立ちながら成り行きを見守っているオババ様に相談してみると、ショルさんと強力な再生魔法の持ち主なら未熟な下半身を今の成長に合わせた体格に出来る可能性があると言って、部屋から素早く出て行ってしまった。
そうなのだ。
私はジョエル兄様の股間にばかり目がいっていたが、ジョエル兄様の足は細くて小さく、成長出来ていなかったのだ。
これではせっかく健康になっても周りとの違いが辛くなり、元の生活よりも差別に晒されるかもしれないと思い、オババ様に相談したのだ。
そして、ジョエル兄様の壊死しかかっていた足が膝のあたりまで綺麗な色に戻ったところで、ショルさんがいきなり魔力を注ぐのをやめてしまった。
「えっ!? そこでやめるの!?」と、ショルさん以外の誰もが思っただろう事に、子供の私がツッコんだ。
「ショルさん! 全部治してよ!」
ショルさんは、あっけらかんと言った。
「魔力が無くなったから治せない。僕は頑張ったから、あの良い匂いがする物をちょうだい」
ご褒美をねだる子供のように言った。




