陽だまりの君
恵理香が円に初めて会ったのは幼稚園に入った時だった。
今まで会った同年代に感じた事のない複雑な心理状況にとても驚いた事を今でもはっきり覚えていた…まるで大人のようだ…と。
恵理香を見る円は今にも泣いてしまいそうで表情がではなく心が懐かしさ・嬉しさ・悲しみと色々ごちゃごちゃしていたのだ。
それは恵理香のような種類の力を持っている人しかわからない悲鳴みたいなモノ。
幼い恵理香は許容量を越え熱を出したのも今となれば経験値の1つになったと言えよう。
小学校に上がる時に芽吹と言う男の子を見て熱を出したのは円を初めて見た時と同じ理由。
彼の方がより複雑だったので前回の経験値では足りなかった。
力比べ以降の円はよく笑うようになったと恵理香は感じている。
内面だけじゃなく感情表現が豊かになったと言うか表情にも出すようになった。
特に叶真を見ている時は乙女だ。
これに関しては円は隠しているつもりなので恵理香は言及しない。
あくまで恵理香には態度や力でバレバレなのだから。
「何ニヤニヤしてるのかい?」
どうやら恵理香はニヤニヤして円を見ていたようで気付いた彼女に訝しげに見られていた。
「今日も平和だなーって」
「最近は試験も近いから落ち着いてるのだろう」
「あー…忘れてた!道理でたつりんも最近休み時間も良く復習とかしてたのか」
「お馬鹿ねぇ」
少し慌てる恵理香に今度は円がニヤリと笑いながら言う。
「風紀副委員長が赤点とかは示しがつかないぞ」
「円様っ!古典…古典と現代文を教えてー!」
「どうしようかな~」
悩むふりをする円に必死に頼む恵理香と些細なやりとりは凄く和やかだ。
「かわりに英語教えてね」と笑う円は可愛かった。
円が笑ってくれてれば良い。
昔みたいな泣きそうに全てを我慢する君は見たくないんだ。




