29話
久々の扶桑主役回
2021年5月18日05時30分
マニラ沖、日米豪合同艦隊旗艦・扶桑CIC
「・・・・・・いよいよ時間ですね。艦長」
腕時計を見て副長で砲雷長の猪口中佐がそう言う。
「うむっ・・・・・・副長、主砲誘導砲弾の準備は出来ているか!!」
西村艦長がそう言うと猪口は静かに頷く。つまり準備は出来ていると言う事だ。
「12㎝砲射管レーダー異常無し!」「衛星通信装置異常無し!」
砲術員達が次々に報告をすると猪口は射撃命令を下すべく、口を開ける。
「・・・・・・用意!!ってぇええー!!」
猪口がそう言うと前甲板に装備された64口径12㎝速射砲が火を噴く。
扶桑艦橋天蓋
「いよいよ始まったのね・・・・・・マニラ奪還作戦が・・・・・・」
私がそう言った次の瞬間、主砲から低い射撃音が響き、砲煙から出て来たその砲弾は緩やかに上空へと上昇し、曲線を描く様に目標へと向けて降下を開始した。
そしてその砲弾は宇宙から送信されてくるGPS情報を元にその砲弾は中国軍の臨時司令部となっているマニラ市内の国際空港へ飛翔する。
そしてその数秒後、マニラ空港の近くに砲弾が着弾し、炸裂したのである。
扶桑CIC
「弾ちゃーく!今っ!!」
砲術長の山本大尉がそう報告すると西村大佐がすぐに結果を聞く。
「さっきの砲弾はどうなったか!?」
西村に言われた事に対して山本大尉がすぐに報告をする。
「はっ、空港の数十m手前に着弾、司令部には命中しませんでした・・・・・・」
「そうか・・・・・・まぁ、次弾装填、対地戦闘継続!!」
西村がそう言うと”対地戦闘継続”を砲雷長や砲術長、砲術員が復唱し、12㎝砲に第2射目以降に放たれる誘導砲弾が装填される。
そして再び64口径12㎝速射砲から誘導砲弾が放たれる。
今度は10秒おきくらいに連射される。何故なら誘導砲弾は通常型の砲弾と違って発射のタイミングも緻密でなければならない為、連射する事は出来ないからだ。
放たれた砲弾は最初に放たれた砲弾と同じく緩やかに上昇して曲線を描いてマニラ市内の中国軍司令部となった空港へと向けて降下する。
その間、砲術員達はモニターを睨み続け、刻一刻と変わる状況を報告する。
発射から3分ほど経過すると1人の砲術員が大声で状況を報告した。
「第4射目の弾が空港ビル(※1)に着弾しました!」
「そうか・・・・・・第2、3、5射弾の状況はどうだ?」
西村がそう聞くとさっきの報告をした砲術員とは別の砲術員が報告する。
「はっ、2射目のは空港付近の幹線道路に着弾、3射目のは空港内に駐機していたH-6に直撃、付近の整備員や操縦士を殺傷した模様です!」
彼がそう報告すると大型モニターをGPSマッピングモードに切り替える。
GPSマッピングモードに切り替え、戦果を確認すると早朝からの出撃に備えて、対艦ミサイルを搭載したばかりと思われる戦略爆撃機からどす黒い煙が出ており、司令部の火災と合わせて臨時司令部の消火要員たちは慌てて泡を食っていた。
暫くすると次の砲弾が中国軍臨時司令部となった空港ビルに再度着弾し、逃げ惑う司令員たちに散弾はその威力を発揮、多くの将兵を殺傷したのである。
(いくら憎っき敵とは言えこれ以上攻撃するのは忍びないな・・・・・・・・・)
西村はそう思ったが、ここは戦場である以上、容赦したほうが負けなのである。
「南投方面にレーダー反応!!味方航空機隊です!」
「で機種は?」「F-16C戦闘機、三沢基地所属の対地攻撃部隊です!」
「三沢のF-16か・・・・・・頼むぞ!」
報告を聞いた西村がそう言うと砲撃をやめるように命じた。
あらぬ誤射などを考えれば、ここで射撃を中止するように命じるのは賢明である。
そして西村が射撃中止命令を下し、今度はSSM-3の発射待機を命じた。
理由は簡単だ、航空攻撃が終わった直後に混乱している敵司令部や滑走場に対してSLCMによる攻撃を加え、被害を拡大させると言う話だ。
西村が発射準備命令を下すと西田が僚艦に対しても発射準備命令を下す。
西田の命令を聞いた各艦も一斉にミサイル発射準備を始める。
数十秒後、F-16がJDAMを中国軍司令部に向けて放ち、F-16が一斉に離脱したのと合わせて、水上からも多数の巡航ミサイルが発射されたのである。
そして私は艦橋の天蓋で軍刀を空に掲げ”撃て!!”と雄叫びを挙げていた。
どうなるか楽しみね・・・・・・今後の戦局が。
私はそう思いつつも軍刀を空に掲げ続けた。
(※1 旧空港は占領前に空港ビルとして使われていたと言う意味である)




