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28話

今回でマニラの空戦は終わり、最後の扶桑がチラッと出ます。

マニラ市から約東方に約数十㎞、上空7000m


翔鶴とエンタープライズから飛び立ったF-35Cが陣形を組んで飛行していた。

そして翔鶴第4飛行隊長の俺も愛機F-35C(ライトニング2)JSF(統合打撃戦闘機)の操縦桿を握り、目標地点であるマニラへと向かっていた。

俺の名は野下五郎、階級は中佐で、翔鶴搭載のF-35中隊の隊長だ。

どうでも良いが今はレーダーは全て切っている。理由は簡単だ、E-3(セントリー)早期警戒管制機(AWACS)から送信されてくる情報を受信して、それと内蔵の地図情報とGPSを加えて目的地まで向かう慣性航法をとっているからだ。

グレース1(エンタープライズ1号)よりジョーカー1(翔鶴1号)、マニラ市上空にこれより侵入する!中国軍の迎撃機に気を付けろ!』

「ジョーカー1、了解!これより戦闘態勢に移行する!」

俺は片言の英語でそう返答すると火器管制装置(マスターアーム)のキーをオンにし、主翼下に懸架した4発の赤外線対空誘導弾(AAM-7)と2発の電波式対空誘導弾(AAM-6)に電気信号が行き渡り、AWACSからの情報がミサイルへ入力され、俺が被っているHMD(照準装置付ヘルメット)にも敵情が入る。

そして俺はレーダーを一瞬だけ起動させた。理由は簡単だ、敵機からのレーダー波をF-35が感知し、それの正しい照射元を特定するためだ。

そして俺の機体が照射したレーダー波は敵機の位置を確実に捉えた。

俺はすぐに長射程(Long Range)誘導弾(Missile)と書かれたミサイル発射用のトリガーを絞り、いつでも撃てる様にする。

『こちらスカイ・コマンダー、ミサイルの発射を許可する!尚、ミサイルを発射次第、マニラ市に強行突入し、ロメオ・チャーリー(中国軍)コマンドポスト(司令部)への爆撃を敢行せよ!』

「ジョーカー中隊、了解!」『グレース中隊、了解!』

俺とエンタープライズの飛行中隊で構成されるマニラ奪還支援飛行隊は敵機の未来位置に照準装置の十字を合わせ、スカイ・コマンダーから発射命令を待つ。

『スカイ・コマンダーよりジョーカー隊及びグレース隊、発射を許可する。尚、敵機はJ-11(チャイナ・フランカー)が3、J-10(猛龍)が6だ!数ではそっちが多いかもしれないが、決して油断するな!!』

スカイ・コマンダーの誘導管制官(俺が感じたのは声楽団にいそうな位、綺麗な声をした中年のおっさんであると言う事だけ)がそう言うと俺とグレース中隊の中隊長であるジェームズ・アンドレイ中佐が”了解”と返答する。

そして俺の乗機含む12機のF-35が中距離空対空誘導弾(17式とAMRAAM)を放つと一斉に降下し、敵機のレーダー照射をかわそうとする。

いや、と言ってもその敵機(J-11とJ-10)もしつこくレーダーを照射してくる。

そしてマニラ市上空に侵入するまでに僚機から約3機がR-73(アムラームスキー)もしくは格闘戦(ドッグファイト)の末によって撃墜され、敵機3機を撃墜して戦果はほぼ五部と五部であり、数から見ればこっちの負けとも言えた。

敵さんも流石に司令部防衛となると死に物狂いか・・・・・・

俺はそう思いつつも爆弾を市街地にあると思われる中国軍の臨時滑走路に投下し、すぐに囮として空中戦に復帰し、対司令部攻撃部隊から敵機を遠ざける。

だが、俺の愛機に残された空対空ミサイル(AAM)は小型AAM用連装ラックに搭載された3発のAAM-7(19式空対空誘導弾)だけだ。

本来なら1発は格闘戦で放ったが、当て損ねて無駄な消費となった。

2発のAAM-6は1発を最初の戦闘で使用し、もう1発をその次に放っていたと言う事もあって、すでに残っていない。最も格闘戦には使えないけどね。

操縦桿を激しく左右に傾け、俺は敵機のレーダーを誤魔化す。

敵はすでに俺をロックオンしているだろう。そう思った俺は敵に対して後方にミサイルを発射して奇襲してやろうと思い、後方確認カメラを起動した。

そして油断しているであろう敵機に対して前方にミサイルを発射したように見せかけ、そのミサイルが数十m先まで行くと旋回し、そのまま後ろへ向かった。

敵機は突然の奇襲に急旋回をして回避を試みるが、その際に操縦を誤ったのか、地上に翼端を接触し、そのまま墜落して炎上したのである。

ジョーカー1(翔鶴1号機)敵1撃墜(スプラッシュ1)!」

俺がそう報告した次の瞬間、司令部への攻撃が成功したとの報が入った。

『こちらグレース1、敵司令部へのJDAM命中を確認、繰り返す、JDAM我的司令部へ命中、現在、敵司令員と思しき多数の兵員が建物から逃走中!』

その報告を聞いた俺は愛機を慣性操縦モードに切り替え、母艦(翔鶴)と入力しようとした次の瞬間、グレース1からの通信が途絶えたのである。

『こちらスカイ・コマンダー、グレース1が敵機に撃墜された。マニラ上空の各戦闘機隊は状況を報告せよ!!』

「こちらジョーカー1、燃料残量に問題無し、あと2時間戦闘飛行が可能です。武装はIRHAAM(AAM-7)が2発残っています」

『こちらグレース3、あと1.7時間の戦闘飛行が可能です。武装に付きましては1発のMRARHAAM(AMRAAM)と3発のIRHAAM(AIM-9X)が残っています』

『こちらジョーカー3、燃料残量は戦闘飛行1.2時間は問題無し。武装はIRHAAMが2発とMRARHのAAMが1発残っています!』

『こちらグレース6、燃料は2.1時間の作戦飛行が可能。武装はIRHAAM(AIM-9X)が2発のみです!』

残りは既に燃料ランプに燃料切れを示すエンプティーマークがつき、既に翔鶴とエンタープライズに向けて帰還しようとしていたのである。

そして4機からの報告を聞いたスカイ・コマンダーはすぐに命令を下した。

『了解した、各機、母艦(2隻の空母)へ帰還せよ!』

”了解!!”

俺らはそう言うとグレース1の無事を祈りつつ翔鶴とエンタープライズへ向かう。

だが、グレース1が無事であると言う望みを打ち砕く悲報が帰投した直後の俺らに襲い掛かるとはこの時、予想だにしていなかった・・・・・・・


一方、スールー海を北上している日米豪3か国合同艦隊にフィリピン軍の歩兵隊を乗せた米揚陸艦が合流し、マニラ市へと向かっていた。

扶桑FIC(艦隊指揮所)”午後2時50分”

「マニラ市の司令部に対する攻撃は成功、在比中国軍の指揮統制は乱れています」

通信士官がそう報告すると西田少将はペンを片手に地図と睨めっこしていた。

「そうか・・・・・・良し、鳳翔と日向に乗ってる陸さんご自慢の第1空挺団が乗るCV-22(オスプレイ)及びCH-47(チヌーク)隊と米海兵隊輸送ヘリ(V-22)を日向と鳳翔搭載のF-35戦闘機の護衛の元、マニラ市上空へ強行突入させるんだな。悪くない」

西田がそう言うとCIC(戦闘指揮所)に表示されている地図がモニターに表示された。

そして暫くすると西田司令が艦隊無電である命令を下した。

そう、”LPH-4005・鳳翔”と”CVH-181・日向”からF-35が最初に飛び立つと続いて鳳翔から複数のCV-22(オスプレイ)が、日向からはそれよりやや小振りのCH-47(チヌーク)が飛び立ち、マニラへと向かう。

当然、米揚陸艦サラトガからもV-22が飛び立つ。

そしてF-35Bもそれを追う様に飛び立つのであった。


扶桑艦橋天蓋”午後3時ジャスト”

私が空を見上げるとそこには多数のローター音とターボファンのエンジン音が轟き、上空を多数の飛行機雲と航空機が去っていく。

いよいよ作戦が終盤を迎えているなと私は感じ、隣にいる霧島さんと話しをする。

「霧島さん、明日には私達も上陸援護射撃をするのね・・・・・・」

「そうね・・・・・・でも艦砲射撃と聞くから楽しみなのよねぇ・・・・・・」

あぁ、そう言えばあんたにとって艦砲射撃と言えば前世で南太平洋紛争中に米軍がグアムに建設した航空要塞に向けて大量の3式弾やら徹甲弾やらをぶち込んで、新鋭爆撃機B-29や在来型のB-17爆撃機を全て焼き払ったグアム沖艦砲射撃をやってのけて、その記憶が凄い鮮明なのね・・・・・・

私はいっつも鈍足の輸送船団を護衛してたからそんな経験は無かったけどねぇー。

「はぁ、羨ましいわ・・・・・・そんな輝かしい戦果があるなんて」

私がそう言うと霧島さんが突っ込み返したのである。

「いやいや、アンタも凄いよ・・・・・・何せ数隻の敵艦と刺し違えったなんて、あんたの前世くらいしかいないと思うよ・・・・・・」

そう言われると私もそう言えばそんな経験したなと思いだしたのである。

まぁ、それは兎も角、マニラ市まではあと7時間となったのである。


そしてこの作戦の成果によって奪還作戦の成功か不成功かが決まるのである。

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